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現実


 改めて何も知らない人間は振り回される他にないのだなと痛感する。無知であることが不利なら有利な立場に立てるように頑張れば良い。なんて言えるのも個人の権利が認められていればこそだ。そもそも道筋が与えられないのだから可能性すら見えない。ログラントだけではなくて、現代世界でもそうかもしれない。

目隠しをして手足を封じてしまえば面倒なことは何もない。そんな考えだから私の現代世界の人生は試合終了となり灰色に沈んでしまったんだ…。なんて、ヤケクソ気味に投げ出したくなるくらいには、私も色々あった。大人には生意気にしか聞こえないかもしれないけど、気付いてしまう時は結構早くに来るのだ。私はまだ、道が無いわけではない。ちゃんとわかってはいる。

 顔も知らないけれど、ウィノ君には優しくしてあげようと思った。慎重に話さなければ。なんとなく憧れているだけの子供に、うるさい現実や厳しい結果を見せたところで、せっかく好きだったものをブチ壊すことにもなりかねない。

意識している訳では無くても、彼は魔法に可能性を見ているのかもしれない。

 好きだという事は、そういう事だ。

 きっとそうなる。私も、そうだった。

 ……ナンテナ。

 キレイな自分は独り言ちて浸るだけで、

 クソの役にも立たんのだ実際。チクショー。

なんでこんなにまでして私達は生きなければならないんだろう。私のような奴は、どう生きるかなんて余裕のある事をカマしていられる立場じゃない。ただ必死。それでも他に選択肢など無いと迫られて正直ゆっくり考える暇もないのが現実。それは現代世界でもログラントでも一緒なのだった。



 随分待ったと思っていたのに、ナクタ少年は眠る気配がない。部屋には時計がないから時間も解らなかった。少年は先程からずっと売り物を眺めている。こんなに長く無言でいられる子供もいるんだなと少し見方が変わってきた。自分も過去を思いだせば、このくらいの歳なら大人の前では猫被ったりも出来るわけで、調子がいいのは営業用なのかもしれない。

竜と大魔女の話は魔法使いでなくては理解出来ない訳では無い。魔法に興味がある方が話も早いかと思ったから、ウィノ君という魔法好きの登場を待ってみたのだけどあまり意味はなさそうだ。むしろ竜の力を不本意ながら体験してしまったナクタ少年に話す方が理解されるのでは…。

「ナクタ君…竜を起こしても大丈夫かな?」


「てか、起きてるでしょ?

 静かなところだと判るから、俺。」


「え?わかるって…?」


「多分ね、気配とか。ヒトは鈍いもんね。

 自分が判らないから、誤摩化せると思った?」


 …ほほぅ…いや、なかなかの性格。

「成程…誤摩化して、何すると思ってた?」


「知らない。なんだろうなと思ってた。」


正直で最高。君よ永遠にこのままであれ。まぁ、そんな無責任なことは口には出せないけれど。とりあえず、会話しないことには始まらない。

「リッカちゃん、には竜を見せないつもり?」


「え〜〜?どうしよっかなぁ。」


ナクタ少年はあからさまに眉間に皺を寄せた。悩んでいるのか嫌がっているのか…。


「ウィノはファルーの一族だけどさ。

 リッカは俺と同じガーディードだし。

 基本はあんま興味ないかも。」


 !?今なんて?

これだから。まずは会話してみないことには、始まらないというのだ。

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