表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/160

入浴


 廊下まで湯気と湿度を感じるお風呂場には、脱衣所の前に水回り専門の使用人を名乗る男性(多分)が待っていた。さっきはいなかったのに、どこから現れたのか。

ドアの向こうを実際に見せてもらい、パロマさんからお風呂の使い方を簡単にレクチャーされて、基本的には日本とそんなに変わらない事を知る。見た目も、ただ浅いだけで、風呂は風呂だった。トイレもそうだったが、水回り設備の周りにはタイルを使う事が多いようだ。タイル貼りの細工は精巧で美しいし、石鹸もあるし(髪も石鹸で洗うのは物足りないけど)、スポンジのような繊維質のモジャモジャ(正体不明)や、タオルのように使う布も貸してくれた。お湯が少なくなると、外から継ぎ足すという。男性がカタコトで、必要なら呼んでほしいと言って出ていったが、どうやって足すのか分からないから、呼べるわけがない。まさか男性が入って来るわけでは無いだろうけれど。


「分からない事もおありでしょうから、

 ご一緒させてもらいますわ。」

パロマさんは、すでに竹製の籠を二つ手に持っていて片方をこちらに渡してきた。私の籠には服が一揃い入っている。

「お着替え下さい。

 そちらの服は洗っておきましょう。」


「……ありがとうございます。」

びっくりするほど至れり尽くせりだ。

名誉挽回のためとはいえ、エルフにおもてなしの心を見せて貰える機会なんて滅多にない。(あくまでもユイマの知見に依る)

私自身はファンタジー小説やアニメでしか知らないエルフという種族が、すぐ隣で入浴の用意をしているという現実がシュールで信じられない。

 私が男子だったら大喜びするところかな。

 年齢不詳の美人…でもオトナだ。かなりの。

 話し方とか、お母さんみたいだし。

服を着たままでもスタイルの良さは分かったが、服を脱いでもやはり美しい。他人のものとはいえ、腕で身体を隠しながら歩く私の前を、隠す必要などないとばかりに颯爽と歩いて行く。ユイマは日本人の目で見るとスタイルがいいのだが、恥ずかしいのはまた別の問題だ。自分にコンプレックスがあるから余計に気になってしまう。

 やっぱり、あまり見ないようにしよう…。

裸まで隈なく見てしまうのは罪悪感もあった。


「最初に身体を洗っていただきます。

 この椅子と桶を使って下さい。

 石鹸を流すお湯はこちらからお使い下さい。」

湯船とは別に、丸くタイル床が掘ってある。上から流れ込むお湯が貯めてあり、掛け流しのようだ。

一通り説明を終えた後でジッと私を見て、

「後でいろいろとお話をしましょう。

 湯船は膝下まで浸かるのがマナーですの。

 ゆっくりお話ができますわ。」

そう言って、また微笑むパロマさんは悪い人には見えない。裏がないわけがないとは思いつつ、気安く話して良い空気を作ってくれている。

 上手く聞き出したいのは、お互い様かもね。

竜といない私に何の価値があるのか解らない。本物の魔女が考えることなど、所詮私には想像できるものではないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ