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領主


 グラという家について話すと、どうやら領主様とやらと上手くいっていないことが分かった。

これは、私がルビさんから聞いたことだ。彼女はむしろこの事を誰かに話したがっていて、領主様からは、私と竜を隔離させ、自分が直接会いに行くまで引き止めておくよう言い付けられていることまでも教えてくれた。

領主様の奥方様は"この地の魔女"と呼ばれる腕利き魔法使いで、資格や学会認定はないものの、その実力で地域貢献している偉い人なのだそうだ。


 ちなみに"魔女"というのは、主に人類社会の中で使われる呼称で、周囲が魔女と認めれば魔女である。環境によって名誉であったり不名誉であったりするものだ。この辺りでは、"この地の魔女"は"地元の星"みたいな称号であるらしい。


優しいルビさんは、さらにこう訴えた。

「領主様は優しい方です。

 ですが奥方様が勝手なところがあって、

 グラ家の魔法の価値を認めたくないのです。」


 あぁ成程。これが一番言いたかったことか。

不当な扱いとかパワハラとか、いろいろあったのかもしれない。

だとしたら申し訳ないけれど、

「他の大魔女様がどうかは知りませんが、ウチは竜が本体の無能な大魔女なんです。お力にはなれません」

という本当の事を何とかショックの少ないうちに伝えなければ。


「いつもなにを言っても理解されません。

 今は雷の竜の君の行方が解らないから

 兄は困ってしまっています。」


 兄?……そしてなんか竜が迷惑かけてる?


「おにいさんて、

 もしかしてラダさんの事ですか?」


ルビさんは私の目を見ながら、ゆっくり頷いた。


 ……本題はこっちか。

 つまり、竜の行方を知らないか、と。

 何とかしてくれないと責任が、ということね。

 悪いけど、それは私も知りたいくらいだ。

 てか、ラダさん男だったんだ………

 現代世界の私よりカワイイあの見た目で、

 大人の男の人………

 …………複雑……


しかしなぜ私が知っていると思うのだろう。眠ったまま運ばれたはずだ。

「ラダさんは竜から何か話を聞いていると

 言ってましたよ。

 その後に居なくなったんですか?」


「そうです。御二方にお部屋を案内して、

 私もその後ろについて一緒に入りました。

 鍵の魔法をかけましたと伝えた時には

 もういらっしゃいませんでした。」


 ………何しとん。あの竜。

 まるで密室トリックものみたいな

 話の流れで失踪すんなよ。

 タイミング考えろって。

 そりゃ混乱するわ。

 

「ご迷惑おかけしてすみません。

 多分戻ってくるはずなんですけど……」

とりあえず謝った。

あの光球の件もあるから特に心配していない。

竜なんてファンタジックな生き物は、自由に空間も時間も越えて気ままに息抜きでもしてるんじゃないだろうか。私のことなど忘れて。腹立つ。

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