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標高150センチメートルの眺め(前編)

作者: 津田沼祥太郎

 人生が変わる瞬間はどこにあるかわからない。そこらへんの道に落ちているかもしれないし、どこかに厳重に保管されてるかもしれない。わからない、だからこそ人生は面白い。

 

 この言葉を初めて聞いたとき、そんなもののどこが面白いのだろうと素直に思った。でも今ならわかる、人生の面白さも楽しさも。

 僕にとっての『その時』は本当に思いがけないところにあった。

 それを見つけたのは、寒さが本格的に顔を出し始めた高一の秋の終わりの頃だった。その日は気だるけな進路講演会が行われ、有名予備校の講師が僕たちの気持ちとは対照的に熱く受験について語っていた。

 僕は将来の夢もなければ、特にしたいことがあるわけでもなく、ただ年収のいい仕事につければいいと思っている。年収のいい仕事につくにはある程度の学歴が必要だから、とりあえず勉強を頑張っているのだが、最近の僕の成績は思うように伸びていなかった。

「ーであるからですね、ここ片瀬高校のような進学校の生徒でも、早いうちから受験の準備をしておく必要があるんですね」

 そんな調子で、終始堅苦しい口調を保ったまま、二時間の講演会が終わった。 

 キンキンに冷えた体育館の固い床に長時間座らせられるから体に堪える。うちの学校は俗にいう自称進学校で、こういう進路講演会がそれなりの頻度で行われるから、こっちとしてはたまったもんじゃない。せめてパイプ椅子かなんかを出して欲しいと毎回思う。そんなことを思いながら、他のクラスが体育館から出て行くのを待っていると、聡史が僕に寄りかかってきた。

 あくびを一つしながら聡史は言う。

「はぁぁ、疲れた。俺、最初の方から寝ちゃってて何も覚えてないけど」

「…はぁぁ、僕も途中危なかった」

 僕も聡史のあくびがうつったのか、あくびをしながら言った。

「っていうか今週の掃除当番、俺たちだっけ?」

「先週休みだったから、確か今週は北校舎トイレ掃除でしょ」

 体育館と校舎を繋ぐ渡り廊下を歩きながら僕が言った。そこに冷たい潮風がその渡り廊下を吹き抜ける。

「うぅ、寒。去年ってこんなに寒かったっけ?」

「まぁうちの学校すぐそこが海だし、こんなもんじゃない」

 そっかーと適当に返事をしながら聡史は続けた。

「こんな寒いなか掃除とか、最悪すぎ。なー掃除やらずに帰ったらだめ?」

 だめに決まってんだろと聡史の話を一蹴する。そうだよなー、だめだよなーと笑いながら聡史は言った。

 二人で笑い合っているうちに階段を上がり教室に着いた。それからショートホームルームを終え、僕と聡史は掃除へ向かう。

 僕たちの高校、片瀬高校は体育館と校庭に挟まれるように北校舎と南校舎の二つの校舎がある。北校舎は主に音楽室や調理室、化学室などの特別教室があり、南校舎は一階から一年生、二年生、三年生の教室になっている。どちらも三階建ての作りとなっているが、各階に渡り廊下があり移動がしやすくなっている。これは校舎が建て替えられた十二年前の校長のこだわりらしく、県庁まで直談判に行ったという噂さえ残っているほどだ。そのお陰で校舎間の移動がそこまで大変でないから、昔の校長には感謝しなければならない。そんな不思議な形をした校舎だからか、北校舎のトイレはあまり使われておらず、掃除する必要がないと思うほど綺麗だ。だから、さっきの聡史の掃除しないで帰りたいというのもわかる。だが、北校舎一階トイレ担当の先生は怒らせると面倒くさく、すぐに反省文を書かせる先生なので下手に逃げることもできず、いやいや掃除をするしかなかった。

 億劫な掃除をぱっぱと終わらせて教室に戻っているとき、また聡史が僕の方に寄りかかってきた。

「なぁー優斗、今度さ演劇部で単独公演やるから見にきてよ。二年生の先輩、これで引退なんだ。俺も出るから、ね、いいでしょ?」

「えぇー、めんどくさいよ」

「頼むって、マジでお願い」

 手を合わせてこの通りだと言ってくるが、あいにく、演劇には興味がない。だけど一応いつやるのか聞いてみる。

「いつ?その単独公演」

 さっきまで暗かった聡史の顔がパァっと明るくなる。

「え!きてくれるの!」

「まだ行くって決めたわけじゃないって、予定空いてたらな」

 僕は釘を刺すように言った。

「えっと確か来週の土曜日だから十一月二十五日のはず」

 自分の部活の発表の日ぐらいしっかり覚えろよと思ったが、こういう少し抜けたところが聡史らしいから何も言わないでおいた。

「じゃあ、あと確認しとくわ」

 わかったーと言い聡史は部活へ行ってしまった。智と違い、帰宅部の僕は一人取り残される。僕も部活をしようと帰路についた。

 

 月曜日、学校に来るといつもすぐに絡んでくる聡史の姿がない。聡史のやつ珍しく寝坊かなと思いながら、窓側の後ろから二番目の自分の席につく。つくや否やすぐにワイヤレスイヤホンを手に取る。クラスに友達はいるが、僕は自分から声をかけられないタイプの人間だ。だから、みんなで楽しそうに話している輪に入っていけるわけもなく、一人で自分の世界に入ることにした。イヤホンのノイズキャンセリングをつけるとすぐに教室内のざわざわした騒音は聞こえなくなった。

 そういえば最近、聡史がハマったというロックバンドの曲でも流してみるか。そう思って僕は音楽配信サービスを開きそのバンドの曲をシャッフルに流した。すると、ロックバンドとは思えないようなゆっくりした曲に言葉が乗ってくる。

 『ー百歳までよろしくね。百一年目がこんなに早くくるとは思わなかったよー』

 そんな言い回しの曲が聞こえてきた。聡史はこんな恋愛ソングを聞くのかと少し驚いたけど、よくよく考えてみれば、聡史はこの手の恋愛ソングが好きだったなと思い、一人で納得した。何曲か同じバンドの曲を聞いたが、どの歌も歌詞がよくて僕はこのバンドをお気に入りプレイリストに入れる。他にもいい曲がないかと探していたが、チャイムの音がノイズキャンセリングを破って僕の耳まで伝わってきた。僕はイヤホンを外した。

 担任の先生が少し暗い顔で教室に入ってきて、ショートホームルームを始める。僕は窓から見える秋特有の高い空ををぼーっと眺めながら、それを聞き流していた。担任の口調が暗くなり、なんだろうと思ったとき、担任が言った。

 

「えー…私たちのクラスの高野聡史さんが金曜日、事故に遭いました」

 さっきまで聞き流していた僕の耳が詰まった。クラスがざわめく。僕は体が急激に寒くなるのを感じながら担任をみる。担任は続けて言った。

「幸い命に別状はなかったそうですが、手を何針か縫ったそうです。なので、二週間学校を休むことになります。ですから、皆さん、授業のノートを見せてあげたりしてくださいね」

 命に別状はない。その一言を聞いて、僕の寒気は引いていった。だが、また別の不安が僕の心の中に生まれる。聡史が二週間学校に来ないということだ。

 

 学校がはじまってすぐの頃、聡史と僕は席が隣だった。僕の中学からは僕しかこの片瀬高校にいかなかったから、周りが全員知らない人で僕は緊張していた。初めて聡史と話した時も、話しかけてきたのはやっぱり聡史の方からで、なんか趣味ある?と何の前触れもなく話しかけてきた。急に話しかけられたものだからびっくりしたが、丁度そのときは受験が終わって今まで貯めていたアニメや漫画を見ていたから、震える声でアニメとか漫画かな、と答えた。すると俺もアニメ好きなんだ!と僕の倍はある大きな声で聡史は言った。そんなやりとりから始まった僕と聡史の仲だけど、最初は聡史のことが苦手だった。

 でも、聡史はそんな僕の気持ちなんてお構いなしにというか、僕が聡史を避けていたことに気づかず話しかけてきた。

 だけど、次第に聡史と話すのが楽しくなってきて、今ではこの高校の中で一番仲がいい友人になっている。だから、僕は聡史のその鈍感さのおかげで聡史とこうやって仲良くやれているのだ。

 

 そんな唯一と言っていい友達が二週間学校に来ない。これを機に友達を増やそうだなんて思えるほど、僕は人と関わるのが得意ではない。それよりも何よりも、二週間聡史と会えないのが嫌だ。そう思い、僕は担任に聡史のお見舞いに行きたいと聡史が入院している病院を特別に教えてもらった。

 

 聡史がいない日をなんとか過ごし、僕は担任に教えてもらった病院に行く。しかし、手ぶらで行くのはなんかお見舞らしくないと思い、何かいいものはないかと学校の近くの本屋さんへ行った。二週間も入院なんてきっと暇すぎるだろう。この際だから、僕のおすすめのラノベでも買っていってやろうと、適当に何冊かお気に入りの本を選んで、僕は本屋を後にした。それから僕は江ノ電にのり病院へ向かった。病院の最寄り駅で降りると、雪虫が僕の目の前をふわふわ飛んでいくのを見て、改めて冬の訪れを感じた。あと数週間後には雪が降っているのだろうか。そんなことを思いながら僕は病院がある坂道を登っていった。最寄り駅から歩いて十分くらい歩いたら聡史が入院している病院が見えてきた。そこは海が見える大きな病院だった。いろんな棟が繋がってできていて、まるで迷路のような病院だった。

 聡史の病室を探して大きな病院内をうろうろしていると、天井が開けた場所に出ていた。すると小さな男の子が僕の前に走ってきて、僕を見上げて言う

「めがねのお兄ちゃん、絵本読んで!」

 眩しいくらいの笑顔で僕を見てくる。その小さい男の子の右手には小さな絵本が握られていた。僕が返答に困っていると少し遠くから大人の女性の声が聞こえる。

「こら、ゆうくん!他の人に迷惑かけちゃだめでしょー」

 そう言いながら、看護師さんが走ってきた。

「すみません、ほらゆうくん謝って、ごめんなさいって」

 どうやらこの小さな男の子はゆうくんというらしい。ゆうくんは不貞腐れたように下を見ている。僕はなんだかゆうくんがかわいそうに思えて、全然大丈夫ですよといった。

 僕がそう言うと、看護師さんは思い出したように言う。

「あ、ほーらーゆうくん検査があるんだから行くよ」

「やだ!やだ!」

 看護師さんがペコリとあたまを下げて駄々をこねるゆうくんを連れて行く。ゆうくんも最初は抵抗していたが、看護師さんがゆうくんの耳元で何かいうとと、ゆうくんはあっさりと抵抗を諦めて看護師さんに連れていかれた。看護師さんに連れられていくとき、僕に手を振りながら言う。

「お兄ちゃん今度あったら読んでよ!約束だからね!」

 一方的な約束を取り付けてゆうくんは病院の検査棟に消えていった。

 あんなに小さい子もこんな大きい病院に入院していて検査を受けているのかと思うと少し胸が締め付けられる。周りを見渡すとかなりご年配の方、お腹の大きい若い女性、点滴と一緒に歩いている僕と同い年くらいの男子など、老若男女が入院しているのだなと当たり前のことながら、改めて健康でいることの大切さを知った気がした。

 

 かなり病院内を歩いてようやく、僕は聡史の部屋についた。そこは病院側の配慮か個室部屋で、聡史は夕日に照らされている海を見ていた。

「おーい、生きてっか」

 僕の声を声を聞いて、驚いたのかすごいスピードで僕の方を見て言う。

「え、優斗、お前なんでここに?」

 僕は担任の先生から入院している病院を聞いたこと、今日あった学校のこと、そしてさっき不思議な小さな男の子に出会ったことを一通り話した。

「それで、何で事故ったの?」

「いやーそれがさ、金曜日クラスの友達とチャリで並走して帰ってたら、ハンドルが絡まっちゃって。バランス崩して倒れたんだけど手で受け身取るしかなくて、思い切りやっちまった」

「馬鹿だなぁほんと」

 えへへと笑いながら聡史は加賀をしてない方の手で頭を掻いていた。

 少しの静寂が聡史の病室を埋め尽くす。

「ちょっとお願いしたいことがあるんだけどいいかな」

 聡史は様子を伺うように続けて言った。

「来週、演劇部の単独公演あるじゃん?そこで俺の代役をやって欲しいんだ」


「え、」

 

 思いもよらない頼みに僕の頭がついていかない。代役?たいして演技をやったことのない僕が?僕の演技経験といったら、小学生の頃の学習発表会でやった泥棒役と塾に行きたいくないときにする具合悪い演技くらいだろう。そんな僕の頼むものかこれは。まして僕はあがり症ぎみだから出たところできっと馬鹿にされるのがオチだ。

 

「…ちょっと厳しいかな」

「そっか……」

 明らかに聡史の顔が曇るのがわかって僕は心が苦しくなる。僕は付け加えるように断った理由をいった。すると聡史は納得したような顔をして言う。

「じゃあ照明の仕事だけでもやってくれない?ほら、照明なら別に人前に出ないし、ね?」

 もう一押しで僕が頷くと思ったのか聡史は続けて言う。

「うちの演劇部部員少なくて人手が足りないんだよ、だから頼む!」

 入院服をきた友人にそこまで頼まれたら断るに断れない。

「……わかったよ、照明の仕事、やるよ」

「え!!いいの!」

 聡史の嬉しそうな顔を見て僕も嬉しくなる。

「照明って電気つけたり消したりすればいいんでしょ?」 

「うん!か・ん・た・ん・な、お仕事だよ」

「失敗しても知らないからな」

 大丈夫だよーと笑いながら聡史は言った。

 

 聡史が学校に来れなくなってから二日が経ったが、まだ聡史のいない日々に慣れていないのが正直なところだ。今日、僕は聡史に頼まれた照明の仕事の確認のために演演劇部に行かなければならない。うちの学校の演劇部は月、水、金曜日に活動していて、そこそこ強く年によっては関東大会に行くこともあるのだと聡史が我が物顔で豪語していた。そんな演劇部の活動場所は体育館のステージ裏らしく、僕は体育館へ足を運んだ。ステージは体育館の奥にあるのだがステージは幕が閉まっていて、僕は曜日を確認する。高校入学の際に買った真新しい時計の文字盤には水と書かれていた。体育館で活動しているバスケ部、バレー部の横をサササッと通ってステージ裏へ向かう。

 十二年前に校舎の建て替え工事があったが、なぜかその時、体育館だけは建て替えられなかった。だから、体育館はかなり古くて天井に何個もバレーボールが挟まっている。僕は恐る恐るステージ裏につながる古いドアを開けた。ギィィという、まさに古いドアを開けたような音を立てながら開いたドアの向こうには、バレー部のボールやバド部のポールが置いてあった。小さい窓から差し込んでくる夕日がこの空間を照らして、埃が舞っているのがわかる。演劇部はここで活動しているんじゃないのかと思っていると、奥の方から発声をしている声が聞こえてきた。少し奥に進むと、目の前にある階段を何段かあがったステージの上で発声をしている演劇部の姿が見えた。ステージのかなり上の方に綺麗に横一列に並んだライトが暖かくステージを照らしている。

 なんて声を掛ければいいか分からず、色々考えているとステージ脇で作業をしていた演劇部の一人が僕に気づいて声をかけてくれた。

「あの、どうかしましたか?」

「あ、えっと…聡史の代わりに照明のお手伝いをすることになった蒼井優斗です」

 目を合わせてしゃべることが苦手な僕は古い木の床を見て言った。

「あー、君が聡史くんが言ってた優斗くんか。あ、あがってあがって」

「玲那ー、その子が聡史くんの代わりに照明やってくれる子?」

 遠くで発生をしていた女子がはっきり聞こえる声で言う。そこそこ遠い距離にも関わらず、ここま聞こえるなんて、流石演劇部だなと一人で感心した。

「うん、そうだよー一回きてー」

「あ、えっと私は二年の鈴森玲那、一応副部長やってます。いやーほんと今回はありがとね」

 ニコリと笑顔を浮かべて言った。続けてさっき、ステージの奥の方で発声をしていた女子が言う。

「私は二年三組の佐藤華、演者やってます!」

 華先輩はよろしくねと頭を軽く下げる。

 早速で申し訳ないけど、と前置きをしてから鈴森先輩が言う。

「聡史からどんくらい聞いてるかな?」

「人数が足りないから照明だけでもやってほしいとしか言われてないです」

「そっかー…じゃあまず台本渡すね。あれ、どこやったっけな」

 先輩は台本を探しにステージの幕のさらに後ろへいった。

 初めて体育館のステージ裏に入ったが、そこはだいぶ年季が入っていて、白い壁がかなり黒ずんでいる。埃っぽいし、窓も一個しかなくて薄暗い。

 僕がステージ裏をジロジロ見ていると先輩が台本を持ってきてくれた。

 はい、これが今回の単独公演の台本だよと言われ先輩に渡された台本は、中学の時に配られたが一回も使ったことがない書写の教科書のような分厚さでページいっぱいをびっしり文字で埋め尽くされていた。

「こ、これを一回の公演でやるんですか?すごい分厚いなって思って」

 僕は驚きのあまりに聞いてみた。

 すると鈴森先輩はさも当然のように答える。

「うん、今回の単独公演は二時間やるつもりだからそのくらいになっちゃうかな。あ、でも二時間同じ演目をやるんじゃなくて、一時間台本一本と三十分台本を二本だから、ちょっと照明の仕事は増える、かな」

 出演する人はこれを全部覚えるなんてすごいですね。そう言うと、初めてみたらびっくりするよね、私も一年生の時びっくりしたもん、まぁ慣れるよ、そう笑顔で先輩は答えた。

「じゃあ、打ち合わせしよっか。今は、こっちゃんいないけど華は『オムライス』のあのシーンやってて」

 わかったーと言いながら華先輩は舞台の方に行く。こっちゃん?誰だ?と思ったが、きっと演劇部の部員なのだろう。

 聡史から散々照明は簡単だから、初めてでもできるからと聞かされていて、僕でも簡単にできるんだろうなと甘くみていたせいでこの後が大変だった。

 先輩との打ち合わせは照明のつける、消すタイミングだったのだが、ただつけたり消したりするのではなく、色々な照明のさまざまなつけ方、消し方があり、その一つ一つに意味があるのだ。

 例えばパーのフェードイン。これはパーライトという比較的広範囲を照らすライトを場面が始まるときにじわじわ明るくしていく照明の付け方だ。他にもスポットのカットアウト。これはスポットライトという一つのものや人だけを限定的に照らす照明を場面が終わる時に一気に消す消し方だ。と言った感じに、本当に多くの消し方付け方があって僕は先輩との打ち合わせの四十五分間必死にメモを取った。

「こんな感じかな、日数が少なくて申し訳ないんだけどよろしくね」

「頑張ります…」

 僕は苦笑いを浮かべながら答える 最後に何かわからないことがあったら聞いてと鈴森先輩とラインを交換して、その日は終わった。

 僕は帰路につきながら心の中で、今度聡史のお見舞いに行くときは聡史の嫌いなトマトジュースを持って行こうと決めた。

 

 金曜日、リハーサルがあるから来てくれると嬉しいと鈴森先輩からラインが入った。僕はまた古いドアを開けてステージ裏に行く。

 するとそこには水曜日見かけなかった人が何人かいたので軽く自己紹介をした。

 自己紹介を終えて、リハーサルが始まった。

 いつもはバスケ部やバレー部、バドミントン部から、照明が眩しいという苦情が理由で幕が閉まっているらしいのだが、今日はリハーサルをやるということで特別に体育館を演劇部で独占した。だから本番と同じように体育館の電気を全部消して、鈴森先輩と僕がやる舞台照明だけの明かりでリハーサルが行われる。今回の単独公演は鈴森先輩が言っていたように三つの演目『オムライス』『今日』『虹』を上演する。

 

 『オムライス』

 主人公は母親から虐待を受けている子供を一時的に保護し、料理を振る舞うのだが、子供はそのオムライスの味をどこか懐かしく感じる。本格的に母親から逃げ出そうと、一回家に帰って準備して家を出るという子供と一緒に主人公はその子供の家に行った。家には母親がいて、子供を叱りまた暴力を振おうとする。すると主人公はその母親の顔を見て思い出す。主人公もその母親の子供で過去に虐待を受けていたのだ。実は主人公とその子供は父親は違えど兄弟で、主人公の作るオムライスの味は主人公が小さい頃に食べていた母親のオムライスの味だったのだ。ここにいると危ないと家を飛び出して、兄弟で暮らすことにした。その子供、いや弟はまたオムライスを作って欲しいと今までで一番の笑顔で兄にせがむのだった。

 

 『今日』

 主人公は女子高生で、近頃親や友達との関係がうまくいかずいっそのこと死んだ方が楽なんじゃないかと思っていると、彼女の前に突如死神が現れる。死神から、あなた明日死にますと余命一日を言い渡された主人公は、どうせ明日死ぬなら後悔を残したくないと親や友達と本音で話し関係を戻す。主人公は最期の一日を過ごし、死神に連れて行かれそうになるが、やっぱり生きたいと抵抗する。すると死神のもとに一本の電話が入る。電話の内容は、死神が死を言い渡す人を間違ったということだった。主人公は死を免れるが、主人公と間違えられたのは主人公と違う県に住んでいる主人公と同い年で同姓同名の人だった。主人公は自分もいつ死ぬかわからないのだから今日という日を後悔のないように全力で生きようと心に誓ったのだった。

 

 『虹の向こう』

 主人公は普通の高校にいき、普通の大学を出て、普通の会社に入り、いたって普通の生活をしていた。しかし、ある日腹部に痛みを覚え病院へ行くと肝臓がんと診断される。発覚した時にはすでにステージⅢまで進行しており五年後の生存率は三十%以下と診断されてしまう。それから辛い闘病生活を送ることになった。生きることに希望を持てず死んだ方がいいとまで思っていた主人公が屋上であるおばあさんと出会い、希望を持って生きる。いつもおばあさんとは屋上であっていたが、ある日おばあさんは来なくなってしまう。おばあさんは亡くなってしまったのだ。また、前のように希望を失ったかのように見えた主人公だが、おばあさんの言葉を思い出し、おばあさんの分まで前向きに生きようと上を向いた時、そこにはくっきりとした大きな虹があった。

 

 今回の単独公演で上演される演目の大まかなストーリーはこのような感じで、この三つ全て鈴森先輩が書いたのだという。僕なんて行事ごとに書かされる感想文ですらまともに書けないというのに、自分と一個しか変わらない人がこんなすごいお話を書いていると思うと、すごいという言葉以外が出てこない。

 いよいよリハーサルが始まった。リハーサルが始まると、一気に体育館全体の空気に緊張が走る。僕たちは体育館を囲うようにある体育館二階のギャラリーの左右から照明を操作する。

 僕は水曜日、必死にメモした台本を見ながら照明をする。僕は基本的にパーライトの操作で、場合に応じてスポットライトの補助をすることになっていた。ここでパーライト、フェードアウトして、すぐにここでスポットライト、カットイン。そんな調子で僕は思ったよりも忙しなく動く。体育館二階のギャラリーというか、体育館が全体が寒い。僕の高校の体育館は古いから暖房設備が付いているはずもなく、かろうじてあるのは大きい石油ストーブくらいだ。しかもそのストーブはお客さんが来るときや式典以外の時は使わせてもらえない。手が冷たくて震える。息も白くなりそうだった。

 リハーサルが始まって三十分くらい経った頃だろうか『オムライス』が終盤に差し掛かった時、それは起きた。

 華先輩演じる、虐待を繰り返す母親が本格的に家出をしようとする子供を止めるときのセリフがきっかけだった。

 

「ふざけないで!」

 たった六文字だったけれど、その六文字に母親の心情が乗っていて、母親の心が手に取るように伝わってきた。その迫力のある華先輩の演技によって空気が変わるのを感じた。一気に物語の世界に引き込む、僕はその演技に見入ってしまう。気がつくとパーライトをカットアウトするはずなのにつけっぱなしだった。つけっぱなしにされたパーライトは、誰もいない舞台を照らし続けている。僕は焦ってパーライトを消した。

 やってしまった。僕は照明の仕事を引き受けたことを後悔したが、鈴森先輩が気にしなくていいよと笑顔で慰めてくれた。その後僕は気を引き締め続け、なんとかリハーサルを終えた。

 リハーサルを終え、少し落ち込みながら駅へ向かう。優斗くんのミスはそこまで大失敗ってわけじゃないから気にしなくていいよと華先輩からも言われたが、失敗の大きさに僕は落ち込んでいるのではない。自分が失敗したという事実に落ち込んでいるのだ。そりゃあ初めて舞台照明をやったわけだから失敗してもある程度しょうがないだろうが、僕は単純な操作ミスではなく、劇に見入ってしまったから起きたミスだ。だから、経験問わず自分が悪いように思ってしまう。僕は江ノ電の中でため息をついた。

 トマトジュースをバックに入れて病院に向かった。聡史の病室の前まで行くとどこかで聞いたような子供の笑い声がする。ガラガラとドアを横に開けるとそこには知らない男の子と聡史がいた。僕は一瞬入る部屋を間違えたかと思い、ドアの利用者名をみる。そこにははっきりと高野聡史と書いてあった。もう一度部屋を見ると部屋にいた知らない男の子が言う。

「あ!メガネのお兄ちゃん!!」

 その言葉を聞いて僕は思い出す。この前、聡史のお見舞いに来たときに急に声をかけてきたあの小さい男の子、ゆうくんだ。

「ねぇお兄ちゃん、絵本読んで!約束したでしょ」

「なんでこの子がここにいるの?」僕はそう聞くと、聡史が答える。

「いやそれがさ、病院にいて暇してたらこの子が話しかけてきてそっから仲良くなって、で」

 自分のことを気づいてもらおうと、目の前にいるのに僕の胸の下くらいの身長で背伸びをして手を振る。

「ねぇー、聞いてるお兄ちゃん、約束は守らなかったら針千本のますんだよ!」

 助けてという顔で聡史を見るが、聡史は読んでやれという顔で僕を見かえす。

 僕はバックを近くの椅子に置いてから、ゆうくんから絵本をもらう。

「これ読めばいいのね?」

 ゆうくんは満面の笑みを浮かべて頷く。僕も諦めて本を読み聞かせる。僕は自分の声が嫌いだ。変に高くて、男っぽくない。小学校の頃も声が周りよりも高くてクラスの日とから声が変だという理由で軽いいじめを受けた。それから僕は、人と関わるのが苦手になった。人と話していると自分の声が変だと思われてないかいつも気になってしまう。聡史の代役を断ったも自分の声が理由の一つにある。ここでも、できれば読み聞かせをしたくなかったが、きっと断っても駄々をこねるだけだから、僕は読み聞かせをすることにした。

 ゆうくんが選んできたの本は二匹のネズミの兄弟が森で拾った大きな卵を使ってパンケーキを作る話だった。僕も幼い頃に読んだことがあったから、昔おじいちゃんが読み聞かせてれたことを思い出しながら読み聞かせた。

「ーめでたし、めでたし」

 全てを読み終え、お決まりの台詞を言うとゆうくんはキラキラした目をして言う。

「お兄ちゃん、絵本読むの上手だね!」

「な!優斗って朗読とかうまいだな」

 今まで言われたことない言葉をもらって僕は少し嬉しくなる。今度はこの本を読んでよ!!ともう一冊持っていた本を僕に手渡してくる。僕は読み聞かせを褒められたことが嬉しくて、結局その日は四冊くらいの絵本を読んだ。ちょうど四冊目を読み終えると、コンコンとノックをして、この前の看護師さんが聡史の部屋に入ってきた。

「ゆうくん!ご飯の時間だから自分の部屋に戻りなさい」

 僕は二つのことに驚いた。一つはゆうくんがここにいると思われるほど、聡史とゆうくんは仲が良くて、ゆうくんはよく聡史の部屋に遊びきていると言うこと。二つ目はもう夕食の時間だと言うこと。確かここにきたのは、午後五時を少し過ぎたときだった。今は七時。となると二時間弱ここで小さい男の子ことゆうくんと聡史と僕の三人で本を読んだり、話していたことになる。

 またゆうくんはあの日のように看護師さんに連れられて自室に帰っていった。

 ゆうくんが帰ってからは今日あったリハーサルのことやそのリハーサルで失敗してしまったことを話した。聡史はその話を聞くと、最初はそんなもんだってーと笑いながら言っていた。

 ここ数日間で、看護師さんがゆうくんを探しにここにくるほどゆうくんと仲良くなったのが、どこか引っかかっていて、僕は聡史に聞いてみる。すると聡史は神妙な面持ちで答えた。

「いや、あいつここでそれなりの期間入院してるらしくて。病名までは聞いてないんだけどさ、なんか話聞いてると結構重い病気みたいなんだよな。検査とか大変なんだって。だからさ、検査とかしてない時くらいは一緒に遊んで笑っていてほしくて。だから、こういう少し自由な時間は相手してやろうって思って一緒に遊ぶようになったら好かれちまったんだ」

 最後の方は微笑みながら話していたが、聡史なりにゆうくんについて真剣に考えているんだなと思った。

 じゃあ明日単独公演本番だから、今日はもう帰るわ。そう言うと、明日はミスるなよーと聡史がからかうように言うから、こっちもからかうように、もう同じミスはしませんよーといった。二人で笑い合ってから僕は部屋を出て、病院を後にする。

 病院を出るとそこは、怖いくらいに静かな空間が広がっていた。静かだが、遠くから波の音が聞こえてくる。僕は引き寄せられるように砂浜へ歩いた。坂道を下っていると、バックに聡史に渡すはずだったトマトジュースが入れっぱなしになっていることに気がつく。

 渡しそびれたがもういいやと思いながら、僕はトマトジュースを開ける。プシュッという音と共にプルタブを開けると中にはドロドロした、まさに聡史が苦手なタイプのトマトジュースが入っていた。僕はそれを飲みながら砂浜へ向かった。

 冬だからか、砂浜には誰もいない。砂浜からは水平線まで何もない海が見えた。夜の海は、この世の何もかもを吸い込んでしまいそうな色をしている。

 僕はこの海の色が好きだ。なんでも受け入れてくれそうな気がする。僕はそんな海を何も考えずにしばらくただ眺めてから家に帰った。

 

 いよいよ今日は単独公演本番だ。なんとも言えない緊張感が僕の胸をいっぱいにして、朝ごはんもあまり喉を通らなかった。今日の単独公演は午後一時から三時までの二時間、体育館で開催され、座席は百席用意される。僕と演劇部員は午前中から集まって、その座席の用意、メイクや衣装の確認、照明の最終チェックをした。

 それらを済ませ、後は本番を待つのみとなった。

 僕と演劇部員はお昼休憩から古い体育館の控え室でスタンバイしている。お昼休憩といっても部員の顔には大きな文字で「緊張」と書かれていて、箸が進んでいるものは誰一人としていない。

 僕は照明をやるだけであって、出演することなんてないのに開演時間が迫るにつれて心臓が早く脈打つのがはっきりわかる。

 僕の鼓動の速さと比例するように体育館に人が集まってくるのが、控え室についている小さな窓枠から見えた。

 開演時間まで残り十分を切った時、鈴森先輩が口を開く。

「よし、みんなこの舞台を楽しんでね!」

 そういって、手を前に出す。部長が続いて出し切ろうといって鈴森先輩の手に手を重ねる。一人、また一人と部員たちが手を重ねていく。僕はただの助っ人だからと控え室の隅っこから見ていた。だが、華先輩がほら、入んなよ!と笑顔で僕が入れるスペースを作ってくれて、僕はそこから手を伸ばして部員十人ちょっとの手の上に僕の手を乗せる。鈴森先輩の目配せに合わせて十一本の腕が一斉に上がる。もうお客さんがいるから声は出せなかったけど、心が通じ合うのを肌で感じた。僕と鈴森先輩と照明担当の部員で照明の定位置である体育館二階のギャラリーにつく。今日はお客さんがいるからストーブがついているはずだが、寒いことには変わりはなかった。定位置からはお客さんの様子と舞台がよく見える。パッとみると座席は八割くらい埋まっていた。

 ざわついている体育館に始まりのブザーがけたたましく鳴り響く。幕がゆっくりと開きついに舞台が始まった。僕はメモ書きを何度も見返しながら慎重にパーライトをつける。大道具や音響、演者、それぞれミスなく順調に進んでいた。『オムライス』のあのシーンがくる。

「ふざけないで!あなたのために私どれだけお金使ったと思ってるの!何があっても家を出るなんて許さないから!!」

 いつも以上に迫真の怒号が体育館に響いて、体育館の空気を完全に華先輩が支配するのを感じる。次第にリハーサルで僕が演技に見入るあまりミスしてしまったところが近づいてきた。僕の手が震える。もうこの手の震えが寒さによるものなのか緊張によるものなのかは、誰にもわからない。僕は一つ深呼吸をして、タイミングを見計らう。先輩がはけていくのを確認してパーライトを消す。タイミングもバッチリで、嬉しくなった僕は鈴森先輩を見る。すると鈴森先輩も笑顔で僕を見ていた。

 その後も滞りなく本番は進んでいって、気がつくと公演を始めてから一時間十分が経とうとしていた。最後の演目『虹』が始まる。

 さぁ、これが最後の演目だぞと気を改めて引き締めるように一人つぶやく。『虹』のラストに行くにつれて、体育館では鼻水を啜る音があちらこちらで聞こえ出してきた。

「ーわかった。僕もう少し生きてみるよ、あなた分まで。だからそこから見ててね!」

 『虹』の最後の台詞を部長さんが言い、パーライトやスポットライトで虹を演出して、閉幕のブザーがなった。幕が閉じ切る前からすでに体育館は拍手の音でいっぱいになっている。はぁ、終わったと一息つこうとしていると、カーテンコールやるから行くよと言われた。カーテンコール?と僕の頭の中に疑問符が立つ。先輩に言われるがままついていくとステージの上に並ばされていた。わけがわからずにいると再び幕が開く。部長が今回の公演に来てくださった方々に感謝を述べ、部員を一人一人紹介していき、最後に鈴森先輩の名前を言う。

「演出・脚本 鈴森玲那」

 鈴森先輩は一歩前に出てお辞儀をした。

 すると部長が続けていう。

 

「以上が部員ですが、今日の公演は部員だけでは開催できませんでした。実は部員の一人が怪我をしてしまい、今も入院中です。そんな彼の仕事を急遽、引き受けてくれた、照明 蒼井優斗」

 

 僕は隣に並んでいた華先輩に背中を押され一歩前に出る。

 そこは不思議な場所だった。目が見えなくなるほどの眩しい照明。ご来場くださった方々の拍手の振動が僕の胸の奥まで響いてくる。

 ゆっくりお辞儀をする途中、最前列で涙ぐみながらに僕のことを拍手してくれているおばあさんがいた。

 それを見た瞬間、僕の胸が達成感で埋まる。特別、僕が何かをしたわけではないのに僕がおばあさんの心を動かし、涙を流してもらえる舞台を作ったんだと考えると、それだけで十分だった。なんとも言えないような気持ちが僕を襲う。何かが始まるようなワクワク感。そう例えるなら、大冒険アニメの第一話だ。こんなワクワクしたのなんていつぶりだろう。いや、もしかしたら人生初のワクワクかもしれない。お辞儀をすると拍手が一段と大きくなる。顔を上げると僕の頬には一筋の涙が流れていた。

 照明の光に照らされて、多くの人から拍手をされて、感動してもらえる舞台を作れて、


 僕の心が踊り出す。

 

 僕の体を追い越すくらいのスピードで走り出す。

 

 

 僕の人生が動き出す。

 

 

 

                続く……


はじめまして、津田沼祥太郎と申します。『標高150センチメートルからの眺め(前編)』いかがでしたでしょうか。今回初投稿ということで、緊張しながら【投稿】ボタンを押させていただきました。

はじめて『小説家になろう』を使わせて頂いたので、若干変なところがあったり、おかしなところがあるかもしれませんがそれも愛嬌ということで許してくだせぇ。


後編のプロットは出来上がってるんですが、なかなか書こうと思えなくて…


書かなきゃと焦っている次第です。生意気に「後編も読みたい」って人がいたら書こうかなとも思ってます。いやー、めちゃめちゃ生意気ですね。


ということで今回は前編でしたが、また機会が有れば後編も投稿しようと思います。今回は津田沼祥太郎の小説を読んでいただき本当にありがとうございました。


ではまた。

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