【黒の軍団Ⅱ】
いのりの指令を聞き、鬼気とした勢いで移動を開始していく各分隊の隊員。負ければ破滅が分かっているだけに、真剣な態度で臨んでいる。
迅速な行動で各分隊は指令された地点まで移動。道中で発見した耳長族や周囲を警戒していた耳長族に対し、銃での威嚇で意識を向けさせたりする。
「退避、威嚇は済んだッ。目標地点まで後退する!」
「苛々する……僕たち耳長族に反旗を翻す愚か者には。せいぜい頑張って逃げなよ。命がけの鬼ごっこの開始だよ!」
生命を脅かす樹木の群れを迎撃し、全力疾走で逃げ回る各部隊。しかし、敵の異常な強さに対し人数が心もとなさ過ぎた。断末魔の悲鳴を上げて仲間が死んでいく姿に恐怖を味わうものの──しかし、誰も足を止めるような真似をしないのは彼らなりの矜持だ。
「いいねぇ! もっと無様に逃げろよ人間‼」
対する耳長族は殺人を娯楽と思っているらしく、口では誇りを語るものの本心では殺戮への快感を味わっているようだ。いのりはその醜悪な性根に嫌気がさす。
「ぐっ……」
「ふふふ、やっぱり人間族と言うのは脆い。身体能力も雑魚、固有刻印も使えない。だからこうやって捕まって、玩具にされるんだよ」
飄々とした顔つきの耳長族の少年が、傷だらけの隊員生徒の首を締め上げる。既に仲間は血の海に沈んでおり……彼は深い憎悪の込もる充血した瞳で耳長族を睨みつけた。
「馬鹿が……。お前はここで死ぬんだよ……」
「何言ってんのさ。死ぬのは君だよ。あー、もういいや。ここで一度死にな」
耳長族は興ざめと言った表情で、彼の頸椎をへし折った。
「ま、生き返るってことに感謝するんだね」
だらんとした死体を適当に投げ捨て、「さーて」と移動しようとした瞬間──その隙だらけの頭部の中心をマッハを優に超す弾丸が無音で貫通した。
「……………………あ?」
視界に黒い靄が掛かっていく中、最後に見えたのは遥か遠方で鈍く光る光沢だった




