1.プロローグ
この世界には、人間の中での「絶対的」なルールがある。
それは、他人を殺してはいけないこと。
このルールは当たり前、というか生きているうえでの前提であり皆、守っていた。
魔法があり魔物もいる世界。
そして、この世界には「レベル」が存在している。「レベル」が高ければ高いほど強い世界でなぜ、他人を殺してはいけない「絶対的」ルールが存在しているのか、勇者パーティーの副リーダーは、ふと疑問に思うのだった。
◆◇
ダンジョンの地下53階
そこに一組の勇者パーティがいた。王国で2人しか今はいない勇者の1人だ。
青眼に黒髪で両手に短剣を持ち、魔物をバッサバッサと斬ってゆく勇者ユノ、それをなんとなく見守る、勇者パーティーの副リーダーエリック。
後ろを警戒している魔法使いユイと、同じく後ろを警戒している魔法使いカエデの、男2人女2人の勇者パーティーだ。
ユノは、最小限の動きで魔物をどんどん斬って進んで行く。
そのうち53階のボス部屋に着き、ボスと戦いといえるのか定かではない、戦いが始まりユノがボスを一撃で倒し54階へと続く階段が現れた。
ユノは、後ろを向いて
「どうする、まだ下に降りるか?」
と軽いノリで聞いてきた。
「えー、また下に降りるのー。だるいから帰ろうよー」
とカエデがだるそうに言ったので、その日はここから地上まで魔法でワープして、ギルドへと向かった。
ギルドは、魔物からドロップした物を買い取ってくれたりなど色々と出来る便利な場所だ。
もらったお金を、4人で分け皆バラバラに、解散していく。
それを、なんとなーく夕日と一緒に眺めるエリックがふと
「平和だな、何かいい事はないかなー」
と、夕日に向かってそんなこと言うのだった。