進路調査 1
3章 卒業編が始まりました。青春を謳歌する彼らの様子をお楽しみください。
「久しぶり、みんな!」
俺は教室へ入るや否や開口そうそう、そう大きな声でいった。理由は俺からすれば18日ぶりの登校日だから、久しぶりすぎて忘れられていないか心配だからだ。
「おっ…英雄が帰ってきったぞ!」
「【越えざるもの】を倒したんだよね!すごいよ!」
俺はクラスメートから教室へ入った途端、讃えられた。なんだろう…虐められていた時に比べればスキルを獲得した後の方が充実している気がするなぁ。
「レイン!心配したんだぞ!」
担任のオールド先生は泣きながら、俺を迎えてくれた…どうやら上から最初、彼は死んだとそう言うふうに言われていたらしい。
「先生…みんなよろしくな!」
俺はみんなにそう言うと、ちょっとだけ照れ臭く感じた。なんだろう…こんな事を言った事がないからかな?
本当だったら、アナベルとアリスも連れてきたいところだが厳しいのが現実。スパイがどこにいるかはわからない上に、まだ俺自身が十分に復活していないと言うのもあるからだ。
「さて…話題を変えるが、今から進路調査だ。ちゃんと考えながらしっかり書くように!」
オールド先生はそう言うと教室のドアを閉め外に出る、おそらく帰ってきたと校長先生に報告するのだろう。
「進路か…どうしようかなぁ。」
俺は悩み始めた…何故なら二つの道があるからだ。進学するか…あとは、師の教えどおりあれをするか。
どうせなら過去を振り返って考えてみよう。
今から8年前…王国 レーカス区
俺はあの頃、一回親元を離れてある人に連れられてレーカスに行った。理由はそう彼女の弟子…いや完全なる後継を探すために王国内からスカウトし、選別をされるためだ。
彼女の名はレミオラ=シンセサイズ、二つ名を【世界の英雄】と言った。魔王の復活を遅らせることに成功した彼女は魔王と対等に戦える子を探していた。
あの時思えばスキルなしなんかの俺が選ばれたのかわからないが、
「どうせ…君は強くなるよ。スキルを手に入れたら君は身体能力を生かせる時が来る、そしたら私と対等に戦えちゃうかもね。」
が師である彼女の口癖だった。俺は彼女に認められたい…強くなりたいと言う一心で稽古に励んだあと、自主練を積み重ねた。最終的には俺を含む4人が選ばれたが、誰も後を継げなかった。
逆に言えば彼女のスキル【想像展開】が強すぎたのだ…彼女はあらゆる動きを見て動作を判断し、想像することで妨害し攻撃する。これは俺たちが子供だからと言う理由で弱められることはなかった。
でもあの日は違った…あの日はとても今も印象に残っている。




