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プロローグ

「どうだよ? 教科書を破られた気分は」

何もない教室に凍り付いた空気が漂う

この教室には俺と彼…カルウェイン=ダントしか居ない。聞こえてくるのは悲しみと恐怖の音、動くのはカルウェイン=ダント…虐めてる張本人のみ。





誰が見ても「これは虐めだ」と言えるだろう。虐めは絶対にあってはならないものだ、この学院においてもそれは一緒であると言える。が"虐めてくる奴"の出生が問題だった。それもそのはず、彼は貴族の中でもトップクラスの【公爵家の御曹司】だからだ。

























俺はもちろん抵抗するそれしか出来ない。抗うことしか。



「これでもう十分だろ、やめろよ…もうやめろっ!」

と俺はカルウェイン=ダントにそう抗った。自分のために、これからまた虐められないように。



「はぁ…貴様、俺に逆らうとでも言いたいのか。【公爵家の御曹司】である俺様に弱者…いや、神にも愛されずに生まれて来た【スキル無し】が逆らえるとでも。」

とカルウェインはそう言うと俺に向かって手をかざす。すると無詠唱で魔方陣を現界させた、俺を怪我を負わせる、いや…殺すつもりで。


「【炎下】」

と彼は口パクでそう言うと俺に向かって100度近いであろう塊を発射する。塊は赤色に染まっており、俺があれを喰らってしまうと死ぬと言う事さえ分かるほどの威力だ。

「あぁ…スキルありなら、あれを喰らっても火傷で済むか無傷なんだろうな。」と俺は心の中で思った。


俺は死ぬんだなと思った矢先、窓から風が入ってくる。

塊は直進して来たおそらく、普通の速さの5倍の早さで飛んできていた。が、俺の横を掠った後壁へ飛んでいき、消えていった。風が方向を少し変えたのだろう








「ちっ…運の良い奴め、次は無いぞ殺すからな、どうせ生まれつきスキルのない雑魚は抵抗できねえんだよ。」

とカルウェインは俺に向かってナイフを取り出し、それを舐めるとドアを凄い音で開け教室を出ていった。


「俺が何かしたって言うのかよ…」

と俺は1人残された部屋で悲しみ、怒りを混ぜた感情で泣いた。泣いても永遠に答えは出ないと言うことを知りながら…

















そもそもこの世界には三つの大陸がある。それぞれの大陸に連合と呼ばれる枠組み、その土地を収める国々などがある。

経済の発展具合、歴史、風土、気候など全てにおいて一緒ではない。もちろん宗教だってそうだ、生息する動物も然り。







だが、"120神"と言う伝説と人々が持つ"スキル"、"魔法の属性"においては共通している。


人々は生まれる前や別世界から来たものに"スキル"と言うものを授けるそうだ。同じスキル持ちが生まれることは決して珍しいと言うことではないが、中にはもちろん個性的で一つしかないスキルもある。

悪人であろうと授けられるそうだが、




                 俺だけには授けられなかった________________








医者はこういったそうだ。


「なぜだぜったいに授けられるはずなのに」


両親もスキル持ち…異常はなかったのに何かしらの原因で授けられなかった。

それが原因で幼少期から虐められ、学年が上がろうとも、進学しようともそれが変えあることはなかった。


「教科書を破かれるぐらいはまだマシ。」と自分は振り返ってみてそう思う。


トイレに入っていると上から水をかけられたこともあった。

_食堂で食事をしている時に、腐った牛乳をかけられた事もあった。

__女子が俺を呼び出し、集団で"スキル"を使って固定して、脱がされたこともあった。

___後輩が集団で襲って来たこともあった。



「まだ…今回はマシな方だろう」とそう思えた。辛すぎることを経験したから。











「ほら…あの先輩よ。ヤバすぎる豚は。」


「うわっ…臭すぎない。体臭がやばいんだわ。」

と廊下を歩いていると、女子生徒や後輩がそう言う声が聞こえてくる。

よくそう言うことは言われるから、慣れてきたためか何も感じなくなった。







部屋に戻っても1人部屋だ。

学校側が、「やばい奴だと判断したためか普通は2人部屋のところを変えたのだろう。」と思っている。















「変わりたいな…運命を…変えたいな。」

と俺は夜になって、少し変わったことを口にした。"変えられない運命"だと言うことは分かっている。でもあんまりだ。こんな感じに俺は生きていくのだろうか…



__________「それだけは嫌だ。」_____


と俺が永遠に起きないことを口にした時、本当は起きないであろうことが起こってしまった。


そう…ステイタスが、俺の前に出て来たのだ。スキルなしの俺の前に。
























通常ステイタスはスキル保持者の前にしか現れない。それはこの世界の定義であり決まっていることだ。が、出て来たと言うことはスキルが授けられたと言うことだ。



俺はステイタスに飛びつくと、スキル欄をめくった。スキルがあれば、覇者学院に居れるからだ。


____________スキル______ 調節者________________



レベル1 Aランクスキル  所持者オルウェッド=レイン のみ



詳細  半径50m圏内のものを全て調節できる。(何かしら物に作り変えたりすることが可能)

    

    所持者のステイタスである攻撃力などが合計で200まで増やせる。(ただし1日一回)







______________所持可能スキル数____残り3つ________________











「これって…俺だけのスキルってことだよな。」

と俺はステイテスを机の上に置くとそう言う。少し興奮をしているのか、体が火照っている。


「のみ」と書かれていたから、二度と誰も手に入れることはできないのだろう。

俺は外に出て、性能を確かめることにした。







「試しに使ってみるか。」

と俺は言うと地面に向かって手をかざして、脳内で想像した。

「壁ができるように」と




すると土と木でできた壁ができたのだ。立派な壁が…

これならカルウェインにも勝てる。


「おぉ…遂に、遂にやったぞ!これであいつに抗える!」
























翌日  


学院の校舎で教室へ向かっている途中、とある看板を見つけてしまった。

そうそこには俺に向かってカルウェインが挑戦状を叩き出したと言う内容だった。







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