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大学生の恋愛って、自由だが残酷だよな。

「あれ? 傑そんなとこで何やってんだ?」


 宵川に鬼の形相で迫われ、何をどう言い訳したらいいのかわからない状況なのだが、そんなところに救世主……喜一が現れた。


「き、喜一……!」


「……」


 宵川は表情から「ちっ……邪魔が入ったな……」といった感情が伝わるような顔をしているのが伝わる。

 やだ怖い、この子こんな怖い子だったっけ? 恐ろしい子……!!!


「先輩……今日のところは見逃しますが、覚えておいてくださいね」


「は、はい……!」


 怖い、え、怖い。

 今日の宵川の雰囲気はさながらグラさんだな……。威圧感が半端ねえ……。


「失礼します」


 そう言って喜一に軽く頭を下げ、宵川はこの場を去っていった。

 いやあ、でもなんであんな怒ってたんだ?

 別に普通の大学生で一般ピーポーな俺が日向先輩と飯食ってただけなんだが……。

 はっ! さては、自分のグループのファンを俺みたいな奴が口説こうとしていると思われて、それで怒ってるのか!?

 だとしたらそれは勘違いなのだが……まあ、勘違いされてもおかしくない状況だったしなあの日は……。


「傑……お前なんでアイドル様とこんなところにいたんだ? まさか……! 

 実は二人付き合ってるのか!?」


「ちげえよ!! ……なんか色々あって親しくなったんだ。そんで、色々あって誤解されてるみたいで、それで尋問されてた」


「その色々がめちゃくちゃ気になるところなんだが、まあ聞かないでおこう」


「それよりも、お前こそなんでこんな場所に? 特に用事もないだろ」


「いや、色々あって美琴と喧嘩しちまってさ……そんで、ムシャクシャしたから久しぶりにタバコ吸おうと思ったら、そういやここの喫煙所なくなったんだっけって思い出した時にはお前たちの密会に出くわしたってわけだ」


「お前も色々あったのかよ……その色々が気になるんだが。それと密会じゃねーからな。相手はアイドルだぞ、俺と宵川の間にやましいことなど起きるはずもない」


「うーん、アイドルっつったって、結局はあの子も華の大学生じゃん? 普通なら彼氏を取っ替え引っ替えするような時期だろう。アイドルも結局はただの人間だ」


「だからって宵川と俺が……って、ん? 喜一、お前普段なら女に対してそんなこと言わないタイプだよな?」


「ぎくっ」


「自分でぎくって言うか普通……。もしかして、美琴ちゃんに関係してんのか? その、男を取っ替え引っ替えって」


「……今日の夜、飲まね?」


「おう、じっくり聞かせてもらおうか」


 ***


 今日は夜勤のバイトが入っておらず、久しぶりに喜一とサシで飲むことになった。

 俺たちが飲むところといったら基本的に大学の近くである渋谷が多い。そして、決まって喫煙のできる店にいく。

 家ではタバコを吸わないが、飲みの時は吸うことが多い。

 まあ一応吸えるようにこういう店で飲むんだけどな。


「そんで、美琴ちゃんと何があったん?」


 喜一は見るからにいつものような覇気がなく、普段はそんなに吸わないタバコをバンバン吸っている。煙い! 煙いお!!


「……実は、美琴が浮気してるみたいなんだ」


「へー……って、まじで!?」


「ああ、俺も信じられんかったけど、俺と授業が被ってない時は、決まった男と二人でいることが多いんだ」


「いやいや、授業一緒に受けてるくらいで浮気と断定するのは早計すぎやしないか?」


「それはわかってる。でもこの間見ちまったんだよ……俺とデートする日、待ち合わせの場所にいつもより大分早い時間に着いたんだ。適当にカフェにでも入って待ってようと思ったんだけど……そこで、美琴がいつも一緒に授業受けてる男と二人で居たんだ」


「うわあ……なんかそれ胸に来るな……しかも自分とのデートの前だし。でもあの美琴ちゃんが浮気なんて信じらんねえな。あんだけお前にぞっこんで束縛気質だったのに」


「まあ俺も美琴の束縛気質なとこが嫌で、無理くり友達と予定立てて避けたりすることもあったし……それで愛想尽かしたのかもしれないなぁ……」


「乙女心と秋の空かぁ……」


 あれ、今の俺のセリフくさすぎじゃね?

 もしこれがライブ配信なら、たちまち「草」「草通り越して森」「大草原不可避」と色とりどりな草が舞い散ることだろう。


 カチッ! シュボッ


「ふぅぅぅ……」


「いや喜一さんよ、タバコ吸いすぎだっての。明日の朝起きたら絶対痰が出まくって嫌な思いするぞ」


「今十分嫌な思いしてるから、それくらい気にならんよ」


 こりゃ重症だな……。

 でも、俺としても友達の失恋した姿を見るのはなんだか嫌だ。

 それに、もしかしたらこれは喜一の早とちりという可能性もまだゼロではない。

 事の真相を知るまでは、相手が浮気したと断定するべきではないだろう。

 もし、相手が浮気をしていないのに浮気だと疑われたら、良い思いをするような人間はいない。しっかり自分の目で耳で確かめてから、決断をすべきだと思う。


「喜一、本当に美琴ちゃんが浮気してるのか確かめてみないか?」


「……いやいいよ。もう明日にでも別れ話しようと思う」


「待て喜一よ、それは悪手じゃろ」


「どこのネテロだよ……」


「お前だって、浮気してないのに疑われたらいい気しないだろ? 俺も協力するから、もう少し様子伺ってみようぜ。もしそれが本当だったら別れればいい」


「まあ、確かに……」


「別れるのは簡単なことだ。だけど、今別れたら絶対後悔するとは思わないか?」


「多分、そうだな……」


「俺も明日から大学で美琴ちゃんとその間男の関係探ってみるからさ」


「傑……すまねえ」


「いいってことよ。その代わり、夜勤代わってくんね?」


「それは嫌だ」

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