第一話 アビシャルゲート・オンライン
西暦二0四五年、シンギュラリティ<技術的特異点>によって、様々なIT技術が驚異的な成長を遂げた。
その中でも特に印象的な技術が “脳のデータ化” だ。この技術によって生み出された新たなコンテンツ、それがFI技術<Full Immersion>。
いわゆるフルダイブ技術と言われ、仮想世界に入り込むことで、様々なコンテンツを ”実際に体感” できるシステムだ。
FI技術は様々な用途に使われている。
軍事訓練やネットショッピング、体が不自由な人でも体験できるようなレジャー施設を仮想世界に再現することで、ボーリングやスキューバダイビング、ロッククライミングなどを家の中でいつでも体験することが可能になった。
このシンギュラリティによって、ゲームの分野でも様々な発展があった。
NPC<non player character> のAIに人工知能を搭載することで高度な学習能力を持たせることに成功した。
これによってプレイヤーが指示を出すことにより、ある程度の範囲ではあるが、命令を理解し行動することが可能になる。
そして西暦二0四八年にリリースされた、FIMMORPG<Full Immersion Massively Multiplayer Online Role-Playing Game> 。
アビシャルゲート・オンライン
今までのゲームにはなかった仮想現実の実現と、AIが搭載されたNPCを従えることができるという新規性がヒット。リリース半年で百万人のプレイヤーがアクセスするほどの爆発的な人気を誇るゲームとなる。
そして、リリースから三年後に実装された “大規模ギルドバトル” は、世界中に生放送で配信され、一部テレビ番組でもリアルタイムで映像が流されていた。
――そして昨日、大規模ギルドバトル――初の優勝者が決まる。