何やってんだろ、アタシ
ユキグニを置いて帰ってから、泥のようにフテ寝していたアタシが起きたのは、お昼の12時前だった。本当なら昨夜ユキグニがうちに来て一緒に過ごすはずだったのに、あのバカ、私をほったらかして飲んで、いつの間にかいなくなってるんだもん。今日はずっとイチャイチャしてたかったのに、急に予定が空いちゃった休日ほど虚しいものはないよね。ほんと、ユキグニが来るはずだったのに来ない休日って、何したらいいのって感じ。別にケンカしたわけじゃないし、向こうは酔っぱらってたから、次会ったらなかったことになってるんだろうな。それって気軽だけど、納得は行かない。もっとアタシのことちゃんと見てほしいと思うよね。
「はぁー起きるかぁー。 んぐぉ~……」
ユキグニの前では絶対に出さないかすれた声で呻くと、アタシも三十路の独身女として仕上がって来てるんだなってちょっと笑っちゃう。けど当たり前っちゃ当たり前よね、だってもう32だもん。オイル塗ったりサプリ飲んだりしてお肌は若く保ってるから、コンビニでお酒買おうとしたら年齢確認されちゃうし、ジョギングしてたら高校生にナンパされちゃう。アタシまぁ綺麗な方だし、高校ぐらいからほとんど年取ってないカンジだから、そりゃーそうなるわって思うけど。元がよくて努力もしてるんだから、こんないい彼女持って、ユキグニは幸せだよー。なのに、なーんかイマイチ大事にされてない気がするっていうかー。はぁーあ、ちょっと憂鬱。ユキグニに『バカ』ってメッセ送ってやろー。……なんて思ってケータイを触った瞬間に、アタシのケータイにメッセージが届く。ユキグニから!?……何だ、違うじゃん。この人、職場の飲み会で知り合った、他の課のヒトじゃん。ちょくちょくメッセ飛ばして来るけど、こっちは興味ないっての。暑苦しいし、下心ミエミエ。でも職場の人だから、雑に扱うのも出来ないっていうね。あーあ、めんどくさいけど返信するかー。
……ほらすぐ返信きた。遊びに誘ってくる雰囲気。でも、そんなのにはなびかないっての。私には彼氏がいるんだからさー。昔はギャルだったし今もキラキラしてるから遊んでそうに見られるんだろうけど、アタシずっとユキグニ一筋なんだからね。高校の時からずーっと。言えないけどね、こんなこと誰にも。ま、亜希子には言ってるけど。アタシの親友。
亜希子って、最初はちょっと暗そうとか思ったけど、違うんだよね。あの娘は落ち着いてるだけ。色々相談にも乗ってもらって、亜希子がいたからアタシはユキグニと付き合ってこれた。信じてやってこれた。この歳までずっと一緒にいられた。だから応援してくれる亜希子の為にも、そろそろ結婚の話が出てもいいのかなーなんて。アタシはユキグニにちょくちょく匂わせてるんだけど、フイッとかわされちゃう。でも時間の問題よね。ユキグニだってそろそろ言ってくるハズ。アタシだって見た目は若くても、年齢は結構キてるんだから、早くプロポーズしてくれないと。答えはもちろんOKだけど、一回考えさせてーなんて言って、二日ぐらい時間を置いちゃおうかな。
……メッセはどんどん来る。あのね、あなたからのメッセが来ても私は嬉しくなーいの。ユキグニからのメッセを待ってーるの。




