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ALTERNATIVE CRISIS   作者: はるさめ
9/9

schooldays Ⅸ けーき

広い食堂。食事中の、もしくは談笑中の生徒達。騒がしいはずなのに、彼にはひどく静かに思えた。


「おいヨハン、大丈夫か?」

「え、ああ、うん。ごめん」

「いいけどよォ.....お前まだあいつと話せてないんだろ?」


梓涵の言葉に苦笑したヨハンは、視線を自分の右隣へと移す。いつもミハイルが座っていた席はぽっかりと空き、それがなんだか苦しかった。

事情を聴いている梓涵とアーニャは浮かない顔のヨハンを見て見ぬふりは出来なかった。


「ごめんなさい、私のせいよね」

「違う、僕が悪いんだよ。ミハイルのことちゃんと分かってなかった事も、これ以上嫌われたくなくて話しかけられないでいる事も.....」


ずんと空気が重くなる。

暗い雰囲気が嫌いな梓涵も軽口を叩けず、黙ったまま料理を取り分けて食べ始めた。


「あ、これ美味いな。芋?」

「レシュティよ。今日の夕食、全体的に朝ごはんみたいね」


そう言いながらアーニャはケーキにフォークを刺した。


「ケーキ.....持って帰ってもいいかな」


ふいにヨハンが口を開く。視線の先にはミハイルがよく食べていたショートケーキ。いいんじゃないかと言われ、ヨハンは考えた末に氷で入れ物を作り、ケーキをその中に入れた。

その様子を見て、梓涵は鋭い視線を携え口を開く。


「ヨハンはさァ、どうしたいんだよ」

「どうって、僕はまたミハイルと仲良くしたい。今日こそちゃんと話すよ」

「またってことは、前と同じようにってか? それはちと狡いんじゃないかね」

「ちょっと、梓涵」


アーニャが慌てて梓涵を止めるが、彼の肩に伸ばされた手は触れることができずに停止した。それを気にしたふうでもなく、梓涵は続ける。


「お前はよォ、あの坊ちゃんのことを知るべきだ。そんで自分の事を話すべきだな。愛せざる所に愛する真似をしてはならぬ。ヨハン、お前がもしこのまま何も言わずに終わるつもりなら、振り回されるのはミハイルだ」

「僕は、そんなつもりじゃ.....」


瞳を揺らすヨハンになおも続けようとする梓涵の体が不意に傾く。アーニャが彼の服を思い切り引っ張ったのだ。

梓涵の言葉が途切れたのを合図に立ち上がり、ヨハンは「ごめん」と一言。


「おやすみ、また明日」


その言葉を絞り出し、逃げるように走り去る。

後ろ姿を眺めつつ、梓涵はテーブルに肘をつく。「行儀が悪いわ」とたしなめるアーニャの声は震えていた。


「お前が責任を感じることはないだろ。まあ原因はお前かもしれないけど、これはあいつらの問題だ」

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