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掌編小説集4 (151話~200話)

ブレーキランプ

作者: 蹴沢缶九郎

「今日はとっても楽しかったわ。ありがとう」


車で自宅まで送ってもらった彼女は、別れ際、彼氏に言った。


「僕も楽しかったよ…」


彼氏も名残惜しそうに言い、助手席の彼女と運転席の彼氏はどちらからともなくキスをした。その後、キスの余韻に浸る彼女に、


「あ、そうだ…でも…」


と、彼氏は何かを言葉にしようとするが思いとどまる。


「もう、何よ。気になるじゃない」


「いや、君が車を降りたら言うよ…ね」


「うふふ、わかったわ。じゃあね」


と、彼女は車を降り、去り行く皮膚科医の彼氏の車のブレーキランプ四回で自身の水虫を知った。

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