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84 新人

 ◯ 84 新人


 夢縁内部も降格処分になったというか、新しいクラス編制のおかげでかなり混乱があった。新しい生徒規則本が作られているみたいで、枠も廃止するかもしれない、とお茶会で怜佳さんに言われた。生徒証の腕輪にクラスアップの星を並べるスタイルにしようか、迷っているみたいだった。

 襟に刺繍を増やすとかでも良さそうだねと言ったら、その方が一目で分かるわねと言われ、採用になった。小さい星が襟元に並ぶようになった。五つ並んだら次はグラスグリーンか、スカイブルーのブレザーに変わる仕組みだ。夏はポロシャツかワイシャツか選べるらしい。それは良い事を聞いた。ポロシャツの方が着心地は良さそうだ。


「この星は小さいけど、存在感あるよね」


 沖野さんは襟に付いている二つの小さい星を見ていた。僕は基礎も出てないので何も付いていないものになった。銀枠の刺繍も消えて、お茶会のバッジだけだ。


「この制服、いつの間にか変わってて驚いた……どうなってるんだ?」


 成田さんも二つの星を見ながら首を傾げていた。


「これがここのレイカ様の力ってことだ」


 加島さんが四つの星を見ながら答えた。


「こうやって示されるとぞくっとするな」


 木尾先輩は五つの星が並んでちょっと誇らしげだ。落ち込みからは回復したみたいだ。


「そうだね、生徒全員分だし」


「基礎の生徒が急に増えたと思ったら、基礎やり直し組がいるっていう噂を聞いた。真相はまだ確かめてないけど、本当ならきついよな」


「あ、それ本当だよ〜。友達の知り合いが基礎に落ちたって話してたもん」


「うわ、本当だったのか、恐ろしいな」


「鮎川は基礎はもうすぐ終わりだろ?」


「うん、五月の頭だよ」


 僕がそう言ったら、皆で応援してくれた。今日は焼きそばを食べているが僕の奢りだ。皆のリクエストだった。……遠慮無く食べてくれている。アルバイトはどうやら元に戻っているみたいで、休日はみんなやってるみたいだ。

 そういえば、皆はポロシャツにするんだろうか、聞いてみたらポロシャツ派とワイシャツ派と真っ二つに別れた。どっちでも良さそうだ。



「それで今日から正式に、うちの新人として働いて貰うからね?」


 レイが僕に嬉しそうに説明してくれた。これまでの働きから評価をして、僕の待遇が決まったみたいだった。ちょっと複雑なので時間が掛かったけれど、このまま新人の仕事に付いて貰うと言われた。死神達との話し合いも済んで、管理組合もゴーサインを出したみたいだった。前にも言われたのを纏めるとこんな感じだった。


 アストリューでの神官の仕事と、聖域の管理と妖精達の世話。

 夢縁での学業は続ける事と地球神界での活動。(伊東さん達との活動)

 死神達のいる冥界での仕事だ。これは癒しの力を使っての仕事なので、神官の仕事とあまり変わらない。

 闇のベールの分離での緊急時の戦闘員の増員。これはもう既に一度はやってる。


「もしかしたら、神官としても派遣があるかもしれないけど、まだ正式には決まってないよ。意外なのは共同でとはいえ、特許とか取ってるから将来有望と見られてる事かな?」


「そうなんだ?」


「そんなもんだよ。組織として売り上げが上がったりするのは歓迎だしね。新人にしては待遇はいい方だと思うよ?」


 確かにレイに言われた通り、良い方ならしい。ところでこの神力ポイントってなんだろう?


「あ、それは神格のある人向けだよ。また違った付き合いがあるからね。それはアキが神格が芽生えた時に付くようになるから気にしなくていいよ? 働きでポイントの入りが色々変わるからね」


「へえ、神様とはちょっと違うポイントになるんだね」


「そうだよ。人間のいう金銭とはまた違った取引だよ。アキもその内こっちに来たら教えるね?」


「うん、わかったよ」


 そんな日が来るんだろうか? 僕の仕事はどうやら普通の新人とはかなり違ってるみたいだった。レイが苦労したのもそっちの調整みたいだ。新人のコミュニティーを覗いても聖域の管理なんて出てこないし、死神の文字すら出てこない。唯一神官の癒しの仕事は出てくる。皆は自分で仕事を貰っては、それをやってるみたいだった。

 僕はどうだっただろうか。……確か神殿で植物の世話をし始めて、紫月が生まれ、そのままの流れで聖域の管理をやる事になったんだった。闇の力は邪神の卵のせいだし、確かに余計といえばそうかもしれない。それでもこれのおかげで助かった様なものだし、そう邪険にはしたくない。これも僕の力だ。癒しの力もあるのだし大事にしたい。


 ヴァリーはどうやらラークさんの手伝いを少ししてるみたいだし、他の世界の旅情報を集めつつ色々見てまわって経験を積んでるみたいだ。快適な旅を追究しすぎてあの荷物の量だったみたいだ。次からは三人での旅行は分担制にする、と言って僕の分担が書かれた紙を渡された。……かさばる物が多いのは何故か問い質したい、食料が入らなくなるじゃないか。というか、なんで毛布まで持って行くんだ?

 ホングは嘘が分かる力で、色々仕事を取って、自分のやりたい事をやってるみたいだ。いずれはカーザナトゥールさんのように弁護人になるかもしれない。その後、審判になるかどうかは頑張り次第だ。下積みが長いと聞く。

 皆は自分の進む道をもう決めている。僕は、成り行きばかりだけど充実してるし、この仕事は気に入っている。最近はカシガナの木の気分も分かって来たし、他の植物の感じも何となく分かる。ザハーダさんとルカード部長は良い兆候だと言ってくれている。


 最近は庭の植物の世話をしつつ、気の流れを感じていた。ここの庭は濃厚な気の流れが出来ているみたいだ。こんなのは外では感じない。妖精達はその中を楽しそうに泳いでる。……気の流れにそって飛んでいる。

 紫月が僕の魔力と気を吸ってるみたいなのは、分かるようになった。マシュさんが言うには記憶とか経験も写しているみたいだ。

 この気を取り込むとご飯要らずだけど、それは余り良くないみたいだ。僕には消化出来ないし、それをまたちゃんと循環するように戻す事も難しいみたいだ。マリーさんにはせめて筋肉痛にならないくらいは、体の気を扱えるようになりましょうね〜、と言われている。確かに、妖精達に比べてもその扱いは天と地程の差がある。魔力の扱いもそれに同じだ。

 分かるのなら出来るようになるのは早いだろう、とマシュさんには励まされた。だけど分かってても、むくみ取りはマシュさんには出来ないみたいだし、レイだって筋肉痛に苦しんでた。普段やらない事はみんな苦手なんだ、わかるよ。全部をやるのは難しい、少しずつ進むしか無い。


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