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世界を繋ぐお仕事 〜カウンターアタック編〜  作者: na-ho
せんれいなるせんのう
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58 訪問

 ◯ 58 訪問


 三度目のフリーマーケットは顔見知りが増えて、中々楽しめた。今回はマシュさんが来ている。宙翔は仕事の日だったみたいで、今回は来ていない。

 今回はカップに、暖かいスープを入れて売っている。寒いから調度暖まっていい。それはお昼から良く売れた。サンドイッチも置いてあるから、一緒に買っていってくれる人が多かった。後はクッキーとかハーブに野菜を少しだ。

 マリーさんは、手作りアクセサリーを並べている。ヘアバンドや、シュシュ、皮のベルト等だ。前の売れ残りの子供服とぬいぐるみも置いてある。店番をしながらマリーさんはせっせと何かを編んでいる。春用の何かを作っているみたいだった。お祭りに誰かにあげるプレゼントかもしれない。


「今回はコップがいくつか売れたね、徐々に減っていってるよ。あと、100個はあるけど気長にやってたら売れそうな気がして来たよ」


「そうね〜、あたしのお洋服が売れたのは良かったわ〜」


「そうだね、アクセサリーと合わせて置いたら売れたね」


「コーディネイトされてた方が分かりやすいのね〜。今回はアキちゃんがあたしの服を来て、宣伝しててくれてるから買いやすかったのよ〜」


「そうかな?」


 出かける前に今日のコーディネイトはこれよ〜、と言って渡されたものを来ている。スカートにブーツ、ヘアバンドに腰にはベルトもしている。綺麗からたまには好いと思う。


「確かに見本が目の前にあったら分かりやすい」


 マシュさんは僕の格好を見て、納得したみたいだった。


「その服はアキちゃんにあげるから、時々来てね〜」


「うん、ありがとう。スフォラと紫月もお揃いがあったね、一緒に着るよ」


 マリーさんは満足そうだ、本当に服が好きなんだな。その夜はレイに一日外にいたんだからと、顔にパックをされた。三人で並んで緑のマスクがおかしかった。



 地球の家で、こたつに入ってぼんやり高校の通信授業を眺めていたら、スフォラに外の映像が入って来たので見てみた。神界警察の付けて行った防犯カメラが反応したみたいだった。カメラに気が付いてその人影はすぐに離れたが、怪しい。

 神界警察の物だけあって、カメラの拾う画面は広いし綺麗だ。人物を追って勝手に姿を捉えている。よく見ると二人いる。見覚えあると思ったら、松田さんともう一人は名前知らなかったな、強引な勧誘して来た二人組だった。現実の家まで押し掛けてくるなんて……謹慎じゃなかったんだろうか? というかこの家が良く分かったな。なんでこんなに居場所が分かるんだろう? どうやって調べてるんだ?


 [あ、伊東さん、加藤さん]


「お邪魔してるよ」


 何となく振り返ったら、伊東さんと加藤さんが階段を下りて来ていた。多分映像を見て来てくれたんだと思う。


「さて、何しに来たかが問題だな……」


 加藤さんがテレビに外の映像を映し出して、二人はこたつに入って様子を観察していた。僕は二人にお茶を出した。よく見ると三人に増えている。確か、夢縁で捕まったはずの黒ブレザーの中の銀枠の人だ。三人揃ったところでこっちに向かって歩いてくる。玄関前で何やら話しをしてからブザーを鳴らした。ピンポーンと、来客を告げる音が響いた。僕はインターホンで受け取って、用を聞いてみた。


 [はい、鮎川です。御用でしょうか?]


「突然すいません。鮎川君はご在宅でしょうか? 少しお話があるんですが、取り次いで頂けませんか?」


 [少々お待ち下さい。どうしましょうか?]


 僕は一旦通話を切ってから二人に聞いてみた。


「中に入って貰おう。話とやらを聞いてみよう」


 [分かりました]


 僕は門を開けて、中に入るように告げた。玄関のドアを開けてスリッパを出した。


「幽霊?」


「幽体? 生霊か?」


「体は?」


 と、三人組が口々に挨拶もせずに声に出している。


 [……いらっしゃいませ。どうぞお入り下さい]


 三人は顔を見合わせてから、失礼しますと言いながら入って来た。家にいる神界警察の姿を見て驚いていた。そのまま二人の神界警察に尋問され始めた。三人は何故かリビングの床に正座していた。お茶を入れようとして加藤さんに止められた。


「何しに来た?」


 加藤さんが聞いた。


「鮎川君の陣営を確かめに。有力なら仲間に入ろうと……」


 黒ブレザーの銀枠の渡辺(わたなべ)さんは答えた。


「嘘ですね」


 伊東さんが嘘だと答える。多分ホングと同じ力だと思う。


「正直に答えろ。何しに来た?」


 渡辺さんは一瞬だけ伊東さんを睨んだが、目を逸らして少し考えてからまた答えた。


「情報が欲しかったので調べに来た」


「詳しく話せ。家に押し掛けて脅しに来たんだな?」


「違う」


「嘘ですね」


「くそっ、大体なんで死人が住んでるんだ?」


「質問はこっちからだ、お前は答えろ。誰に頼まれた?」


 加藤さん達の質問は続いた。どうやらずっと目の上のたんこぶのように真木さんがいて、自分の力が試せなかったのが、この前の一件で真木さんが捕まりいなくなった。ここに来て自分が一番に立てるのが分かった為に、人を集めて自分の配下を作ろうとしたみたいだ。

 弱みを握るやり方を変えなかったのはダメだし、現実の家まで押し掛けてるし、脅しに来てるので現行犯である。黒ブレザーともなると警戒態勢なのも知っているし、そんな時にこんな風に出歩いてたら良くない事も言われていた。

 松田さん達は自分達で渡辺さんに付いたみたいだった。良く分からない話だ。三人は連れて行かれてしまった。ここの住所やら僕の名前やら色々忘れて貰うみたいだった。こんな所まで押し掛けて交通費だって馬鹿にならないのに、何やってるんだろう。

 でも、真木さんが争ってた他の金枠の人達の名前が出てたから、こっちとしても情報が入ったことは良かったんじゃないかと思う。メーイデルの名前は聞いた事があったみたいだし、色々と悪い事に詳しそうだ。……真木さんよりも詳しいみたいだった。


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