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世界を繋ぐお仕事 〜カウンターアタック編〜  作者: na-ho
せんれいなるせんのう
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49 福子

 ◯ 49 福子


 今日はスフォラのメンテナンスだから、幽体で庭を散歩をしている。最近、ナザレさんは宙翔のお父さんと仲良しで、よく飲みながら話しをしているみたいだ。

 庭の梅が満開だから見に来たら良いと宙翔にも誘われている。ここの庭にも一本あるけどまだ小さくて花見という感じではない。それでも可愛く花をつけているのを見るのは楽しい。

 やっぱり、桜とか梅とか桃は植えておきたいよね。果樹も多いけど、桜は花を利用して桜茶とかも良いかもしれない。ナザレさんは宙翔の家の日本庭園を真似て、庭の一角に日本庭園風の場所を作ってしまっていた。

 ほぼ、ナザレさんの趣味が詰まった庭は中々楽しい。庭に引いた小川を池にした部分に引いて、鯉まで放っているのだからこだわりまくりだ。希望のお茶の木が植えられたのは良かった。たまに飲みたくなるから必須だと思ってたんだよね。

 何故かお茶室まで出来上がっていた時にはビックリしたけど、まあ気にしたら負けだ。たまにナザレさんと宙翔のお父さんが茶室でお茶を飲んでるのを見る。完全に私物化されてる気もするけどそれも気にしたら負けだ。宙翔のお父さんは和の庭のアドバイザーだから、ちゃんと見てくれてるんだと思う。

 その内宴会を始めたら、無理矢理に紫月とポースの歌を披露してしまおうと密かに思ってたりする。予行練習は必要だからね。


「あ、磯田部長。それにリリーさんも、こっちに来てたんですね」


 二人が振り返った。カシガナの妖精を見に来ていたみたいだ。紫月よりもゆっくりと育ってる感じだ。冬場のせいもあるかもしれない。


「お邪魔してるわ。まだ生まれないみたいね」


「また妖精に会いに来たんですか?」


 最近よく見に来ている。二人とも契約狙いだ。他にもハーブの妖精も生まれているが、そっちには二人とも振られたみたいで、カシガナに期待を寄せているみたいだ。


「勿論よ。まだ可能性は捨ててないわ」


 リリーさんはまだ諦めてなかったみたいだ。


「こないだ、鳥の姿の妖精が飛んでたんですけど、会いましたか?」


「どんなの?」


 リリーさんの目が期待に輝いている……う、なんかプレッシャーが。


「青と黄色の羽根で花を食べてました。風の魔法ですぐに飛んで行ってしまったんですけど」


「神殿にいる妖精ね。あっちでもここの事は妖精の中でも有名だから」


 部長はどうやら神殿で妖精と契約をしたらしかったので、そこら辺のことは詳しいみたいだ。リリーさんががっかりした顔になった。


「そうなんですか?」


「当然よ。準聖域でしょ、ここは。妖精に取っての住処としては中々良いみたいだもの」


 なんだかちょっと嬉しい、紫月に取って良い環境ってことだし。リリーさんはここに現れる新参の妖精達と契約をしたいみたいだった。そういえば、今日はティティラはどうしたんだろう。


「今日はティティラはどうしたんですか?」


「連れてるわ、あそこよ」


 リリーさんの視線の先を見ると、小川で水を飲んでいた。お福さんが庭の案内をしているみたいだ。……お福さん、意外と肝が据わってらっしゃる?


「猫科同士で気が合うのかな?」


「さあ? でもあの猫、中々やるわね」


 部長も褒めてくれている。でも何故僕がお福さんに負けているのか、分かった気がする。


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