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33 お試し

 ◯ 33 お試し


 マシュさんに色々調べられ、メレディーナさんにも幽体の状態を調べられて、レイには映像をチェックされた。


「やっぱり悪神の瘴気と陰の気で粘膜と肺を少しやられてるな……まあ、問題ない範囲だ」


 マシュさんは僕達の体を念入りに調べていた。それに合わせてメレディーナさんが薬を調合していた。


「アキちゃんだけは最初から被らせておくべきだったわね〜」


 マリーさんはレイと一緒に映像を見ながらも、マシュさんの言葉に反応していた。


「次からだね。最初がこんな大掛かりだと後が心配だよ?」


 映像から目を離さずに、レイが最初とか言う物騒な事を言っていた。最後の間違いだよ、きっと。


「全くだ。ポカレスなんて名前が出て、慌てて本部が動いたのは笑ったけどな」


 どうやらポースはかなり有名ならしい。ポースはどこかで修理をして貰っている。次の持ち主が決定しているので問題ないし、僕の魔法の出来の悪さに誰も何も口を挟まなかったらしい。まあこれで悪名高き魔導書も大人しくなると見られているみたいだ。

 条件としてアストリューから出さなければ、僕が持って良いとされたのだ。百年は持ち出し禁止だと言われているけど、問題ないと思う。あれだけ明るいポースの事だ、きっとここでも人気者になるに違いない。


「死神もあちこちの戦闘で全然足りてないみたいだね、悪神、邪神の陣営が活発化してるからこっちも気をつけないと」


「アキさん大分疲労が溜まっているようです、二日程はこちらでゆっくりして行って下さいね」


「はい……」


 メレディーナさんが言うならそうなんだろう。僕は神殿でゆっくりする事になった。


「もう早速、この反発の魔術が活躍したのか……」


 マシュさんが体の方を見終わったのか、こっちの映像を見ていた。


「そうね〜、平和なはずの旅行なのにどうしてかしらね〜」


「そうだね、あのポカレスと仲良しになるなんて、アキもどうかしてるよ」


 レイが本当に不思議そうに首を傾げている。


「ポースは良い奴だよ?」


 一応は友達のフォローをしておく。


「そうね〜、意外だったわ〜」


「そうなの?」


 マリーさんの言葉にレイが聞き返していた。僕の言葉は信じないんだ? ちょっと悲しい……紫月も慰めてくれている。


「……ポース、早く治ると良いけど」


「アキちゃんも頑張って魔法を覚えないとね?」


「うん、頑張るよ」


 ポースと約束したから、気合いを入れるしか無い。二日後、僕はアストリューの家に戻った。家族の顔を見に行きたいけど、その前に、カシガナ達、植物の様子も見ないと。もう家族と同じだし。

 そういえば、すっかり忘れていたけど、採取した植物はどうなったんだろう……。マリーさんに聞いたらちゃんと部長に渡ったみたいだった。どさくさに紛れて一つでも持って帰ってくるなんて、と部長からお褒め(?)のお言葉を後で頂いた。


 ホングから連絡が入った。どうやらネメル神官長をとっちめたらしかった。悪運強く悪神のいた教会があの状態でも柱の下に隠れて無事だったみたいだ。神の導きだととかなんとか煩かったけど、あの瘴気の中でなんの影響も無くいることがおかしいのを、残ってる管理員の処理班に問いつめられたそうだ。要するにそれだけ悪に染まっているという事だ。

 悪神に唆されて色々と便宜を図った可能性が出て来た。他の御使いを襲わせたのも権利を独り占めしようとした結果みたいだった。

 それで肝心のそこの世界の重要なアイテムを、奪われて神界も教会も壊されただけなんて最悪だと思う。死神達の決死の神界奪還もそんな事の為に起こったとは考えたくもないと、マリーさんはお怒りだった。

 死神達の回復を待つ間に逃げられる事は分かっていたし、闇の生物達に何の対策も無しには立ち向かえないので、予てから考えていた事を実行した。というのをマリーさんに後から聞いた。

 手薄な所を手伝えるし、何より通信が効くのが良かったらしい。慣れないとお互いの場所も分からないから、連携が難しいみたいだ。

 僕のベールで戦うのはまだ先だと思っていたみたいだけど、スフォラーの販売でお互いの位置表記が出来るようになったため、良い機会なので実行に移ったみたいだった。こんなぶっつけ本番になるとは思ってなかったけど。元部下達を無駄に傷を負わせる訳にいかない、とマリーさんが乗り込んで話を付けたみたいだった。

 隊長に後から聞いた話によると、死神にならない〜? とマリーさんに言われた時は、何を血迷ってるんだ、と思ったらしい。実際にベールのおかげで闇の生物とも悪神とも対等に戦えたので、結果は死神と同等の価値が出ると大喜びだったみたいだ。

 おかげでレイが嬉しそうに組合から管理員の新人への話が順調に進んでいると話してくれた。死神の組合も協力的になったみたいだ。戦闘力が増えるのは今のところは大歓迎みたいだから、管理組合に協力依頼の話を持ってきているみたいだった。

 僕の修行にベールの分離とマリーさんの部下達との連携が加わった。まあ、連携は主にスフォラの仕事だけど。

 どうやら、死神の組合でもマントやベールの分離が出来る人を捜し始めたみたいだ。予備の戦闘員を増やすという目的だ。今までやってなかったのも変な感じだ。それだけ、邪神達が活発なんだと思う。


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