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19 借金

 ◯ 19 借金


「反発の有効範囲は最大に魔力を込めた状態で7メートル前後で、それ以上は威力が落ち、カバーする範囲は人体サイズで変更は可能……ただし、広げた分は反発力が落ちる。このサイズならあくまで対人用と言った所だが、媒介を換えればまた変わりそうだ」


 組合が用意した交渉の担当の人は、淡々と仕事をした。

 レイとマシュさんが主に話して僕達四人はそれを見ているだけだったが、どうやら交渉が成立して、実際に契約出来たみたいだ。今は組合の人が動作確認をしていた。

 組合が持っている魔結晶に刻まれた魔法陣の中身を分からなくする、特別な機械の使用許可が下りたみたいだ。大事な事みたいだ。

 僕とマシュさんで完成させた魔法陣は組合でも改良して、秘密裏に使うみたいだ。術を反射させるものは数多くあるけど、大体はこんな風に秘密にされてるみたいだった。僕の方法も似たものがあったみたいだけど、マシュさんのおかげで反発運動の効率が良かったので、拾ってもらえたみたいだった。

 いくつか渡された特殊な物に僕達が書き込んで、組合に渡した。どうやら、それを何らかの方法で劣化を最大限抑えてコピーし、組合が使用するみたいだった。


「良かったね、割とスムーズに済んだし」


「そうだな、思ったより良い感触だったな」


「ええ、良かったですわ。あの術を非公開化する専用機械の使用が許可されたのは大きいでしょう。中々許可が下りないと聞いてます」


「まあな。使った記録は直ぐに組合の本部に渡るが、そんな事は些細だ。折角の知識の財産を知らない奴に使われるよりは良い。ちなみに前に特許登録されたものも専用機械を必ず通せと言ってたから見解が変わったんだろう。追加でポイント配布か待遇の改善をしてくるだろう」


 次からは新しく開発し刻んだ魔法陣類は機械を使ったら記録され、それを直接組合が審査し、良ければ勝手に特許扱いしてくれる。ちなみにマシュさんが今まで専用機械が使えなかったのは、魔法陣を本格的に作って無かったのもあるけど、借金が多くて、組合以外には売りに行けなかったからだ。もし、外に売ると契約違反で即捕まる。

 今回は僕が外に持ち出したら不味いから、許可が下りたというんだけど、何かそれを聞くと複雑だ。基礎部分は僕のアイデアだから、実際に持ち出せるみたいだし、まだ研修員だから正式な組合員では登録されてないので売り飛ばしても組合も文句が言えないらしい。レイはそこら辺をうまーく仄めかしながら交渉していたみたいだ。

 マシュさんも、利用したみたいで悪いが、アキの頭だけでは通らなかっただろ? お互い様だ、と言っていた。確かにその通りだし、ちゃんとウィンウィンだと思うので文句は無い。


「じゃあ、それで隠せたら使っていいの〜?」


「ダメだよマリー、あれは。それで対策されたらダメじゃないか。大事なときに使えないんじゃ意味無いよ」


「そんな〜、このモヤモヤはどうすれば良いの〜?」


「スフォラと訓練するときは使っていいよ」


「……う、我慢なのね〜?」


「マリーさん、人の安全の為なら耐えれるはずですよ」


 メレディーナさんが諭す様にマリーさんに話しかけている。


「メレディーナ……そうね、出来るわ〜。一番大事だもの」


「では、心配ないですね」


「そうね〜、冷静さが戻って来たわ、ありがとう〜」


 マリーさんは恥じらってか、また体を捩っていた。


「良かったですわ。アキさんも着目点が良かったようで良いお仕事でしたね。自慢しても良いくらいです」


「メレディーナ、自慢は出来ないよ。もう誰が開発したかは言えないし」


 確かに、あの反発の魔法陣にも使われてるから言わないように、としっかりと組合から契約で釘を刺されたのを思い出す。


「あら、そうでしたね……自信を持ってくださいね、と言い直しますわ」


「はい、メレディーナさん」


 皆に助けられてだけど、何だか嬉しい。こんな人達に会えた事を自慢したいくらいだ。

 その後、マシュさんとその非公開化の機械を購入した。レンタルもあったけど、マシュさんが改造する気満々だったからまあ、良いかと思う。自宅の地下室に、前にマシュさんが買った計測用の機械と並べて置いた。

 おかげでポイントが一気にマイナスになった。機械がこんなに高いとは……半分の値段分なのにマイナスになるなんて……貧乏だ。借金生活に入った。ひい〜ストレスがぁ……。

 心配は十日で軽減された。魔法を反発する魔法陣の評価が出たみたいで組合からポイントが貰えた。マイナスポイントは半分程は無くなった。例の機械を使う権利を考えたら、かなり高く買って貰えたと思う。


 これは暫くしてからだけど、組合が僕達の最初に考えた方の魔法陣を改良して、非公開化の機械を使って書かれた物をいくつか売り出していた。威力が変わっていたし、別の魔法に見える。

 そして、全く別のものに組み込んで改良したとか、一部をこれに使いましたとか書かれた通知が時々、届くようになった。組合の決算時に纏めて使用料の売り上げの何%かを貰えるみたいだ。マシュさんは早速借金をしようとしていた。何を買うつもりなんだろう? 


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