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世界を繋ぐお仕事 〜カウンターアタック編〜  作者: na-ho
うつくしいよそおいにかれんなうそをささげよう
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131 道楽

ここから、一気に投稿してます気をつけて下さい。

 ◯ 131 道楽


 次の日に目が覚めたらマリーさんが隣のベッドで着替えを始めていた。


「おはよう……もう朝練に行くの?」


「そうよ〜、休んだら体がなまっちゃうわ」


「気をつけてね」


「まだ朝市は準備が始まる前だから、寝てて良いわよ〜」


 そう言ってマリーさんは外に行ってしまった。朝から念入りに体をほぐして軽く運動してから走るらしい。僕は無理せずにゆっくりと木製のベッドの上で軽いストレッチだけやって、布団から出た。

 大量の買い付け旅行も持ち運びの収納スペースありきだ。お揃いで作ったペンダント型の収納スペースのガラスが割れてからは、みかん箱の部屋で試行錯誤を繰り返して、軟らかい弾力のあるガラス擬きに変わった。

 マリーさんが衝撃を吸収して弾力を高める効果を付けてくれたので、ちょっとやそっとじゃ壊れなくなった。おかげで安心している。更にマシュさんが勝手に持ち出されたり、忘れても分かるように、ある程度離れたらスフォラに自動で場所を示す(ビーコン)機能も付けてくれた。

 金属擬きで作った銀色の鎖は魔力を通すと形が変わるので、マリーさんは日替わりでアクセサリーを作り替えては身につけていた。金属擬きは多めに渡してあるので、戦闘時は自分の魔力を通して武器に、防具にとして試しているみたいだった。僕がやるとそんな事は不可能なのに、マリーさんの魔力で包丁になった金属擬きは硬い食材でもスパスパと切れたし、鍋になっても火で解けたりしなかった。

 要は使う人次第で変わるらしかった。作り主が一番ダメ金属にしている事に凹んだが、どうしようもない……。包丁にすれば食材の硬さに刃の方が歪み、鍋にすれば火で溶けてしまうので、装飾以外の使い道は僕には無理だった。スフォラに頼めば解決はしたけど、なんだかそれも情けない。


「着替えたし、顔も洗ったし、買物リストもチェックしたし、大丈夫かな?」


 スフォラに尋ねたら、大丈夫と励まされた。さっきの思考が少し伝わっていたらしい。


「うん、そうだね。僕が作って、それをまたスフォラが作って、マリーさんが作って……うん、リレーみたいな感じだね」


 そう考えたら良い感じがした。創造する楽しさが分かる気がする。


「下に降りようか、マリーさんがもう着く頃だから降りておこう」


 僕は階下に降りて宿の中庭に出た。大きくノビをして朝の空気を吸った。スフォラにメッセージが届いた。マリーさんが帰ってきて部屋にいるみたいだった。中庭にいるとスフォラで連絡したら、窓が開いて手を振られた。


「汗を綺麗にしたら着替えるから、もうちょっと待って〜」


「了解」


 と、スフォラ越しに会話をした。朝から大声を出したら迷惑だからこんな感じだ。暫くしてマリーさんが降りてきたので、合流して街へと出た。宿の女将さんに朝市を見に行くと言って出かけた。帰ってきてから朝食を食べる予定だ。


「結構人が多いね」


「そうね〜、活気があっていいわ」


 僕達は新鮮な野菜やら、魚を少しずつ買って、昨日の香草を大量に買ったのでしばらく保つだろう。時間が止めれるようになった僕の新しい収納スペースは使い勝手も良くなっている。出口を指定の肩掛けカバンの中に設置出来るので、一々ペンダントを引き出す必要がなくなったのだ。リストはスフォラが管理してくれてるし、こういった物がない世界でも怪しまれずに済む。不用意にフォーニのように欲を刺激することも減ったと思う。

 聞いたら皆は良い物を持っているからといって、傷つけようとされたりとかは余り経験がなさそうだった。僕もあそこまであからさまなのは初めての経験だったと思う。

 レイ達は良い物を持っていて当然の雰囲気があるから、狙われたりはしないのかもしれない……奪っても返り討ちに合わなさそうな僕を狙うのは、弱肉強食の仕様なんだろうか? いや、フォーニは腕力じゃなくて悪知恵が働くタイプだったけど……。


「綺麗な陶器が売ってるね」


 ガラスとも陶器とも言えない不思議なティーセットが置いてあった。


「本当ね〜、エルフ族の作かしら?」


「繊細な作りだね」


「魔法の効果も付いてそうね?」


「冷めない魔法かな?」


「カップはそうね、お皿は落としたぐらいじゃ割れないみたいね」


 マリーさんが指でお皿の裏側を少し弾いて音を確かめていた。こんな優雅そうな食器のセットはうちには置いてない。怜佳さんが好きそうな感じだ。


「怜佳さんが好きそうだからお土産にしようかな? 董佳様と一緒に使ってそうなイメージがする」


「確かにそうね〜。良いわ一緒にお土産として買いましょ〜」


 それからから僕達はトーイの実を求めて出発した。産地はこの国と隣の国の境目辺りで、妖精の森の入口だった。主要な道路から外れて田舎道を進む旅は、ロバがいなかったら目的地にたどり着く前にばてていたと思う。


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