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119 時間

 ◯ 119 時間


 新人だけれども神見習いとして、僕はこの日から管理組合に登録された。神力ポイントはまあ、エネルギーのやり取りでの話だった。組合にどれだけ貢献しているかが分かるみたいだ。神見習い生としてスタートする事になった。ちゃんと神格を持っているとされるにはやっぱりまだまだならしい。

 組合の星深零の区画にある神域の学区内の中で神力の扱いの講義があった。時々そこにも通う事になりそうだ。


 最近、周りからは綺麗になったと言われるようになった。コミュニティーで気持ち悪いと書かれた事を思い出して素直に喜んでいいのか複雑な気分になった。でもアストリューではそんな事を気にする人もいないので、遠慮する事もないと思い直した。

 一番変わったのは、癒しの力が伸びて神殿での祈りの際の精霊達のサポートが外された事だ。一人前と認められたのは嬉しい。ここからは自分で勉強を積んでいく事になる。必要な知識や自分の力の方向を考えて自己を高めて行くしか無い。神官も色々だ。


「これからは外にも派遣に行く事になります。最初は知っている場所から向かってもらいますね。ナリシニアデレートの温泉に霊力を込めて癒しの効果を高めて来て下さい」


「はい。分かりました」


 しばらくはラークさんの所で、温泉に癒しの力を込める事になった。仕事なので、ちゃんと正式に世界を渡って行く事になる。僕の便利空間から行くのはプライベートの時ぐらいだ。遊びの時はラークさんに付いて行って色々と遊んで貰っている。

 雨森姉妹もラークさんとは仲が良くなって、時々あの空間から遊びに行っているみたいだった。ネリートさん達姉妹とは余りにも違いすぎて、逆に仲良くなったというか、好奇心を刺激されたみたいだった。時折、夢縁のお茶会にセーラさんかネリートさんの姿を見る時がある。二人同時にはあの世界を空けることは無いみたいで、守り神としての仕事をちゃんとやっているみたいだ。


「随分大きくなりましたね」


 もう、灰色のふわふわ赤ちゃんの毛と羽根はグリフォンの大人のものに生え変わっていた。生え変わった色は綺麗な漆黒だ。親と同じで艶があって綺麗だった。


「そうだな、どうやらもう一匹生まれるようでな、親グリフォンが準備に入っている」


「今回は大丈夫なんですか?」


「ああ、状態は落ち着いておる」


「弟か妹が生まれるんだね、良かったね?」


 ちびグリフォンを抱っこさせてもらって話しかけた。


「ふむ、今年は二匹が限度だな。後は来年になる」


「外からも少し入れた方が種としては強くなるだろうからな、強い個体の黒グリフォンを探している」


 そういえば、僕の闇のベールをこの親グリフォン達を捕まえるときは、被って行ったけれどあれは何でだったんだろう。聞いてみた。


「死神のマントを被っての戦闘経験が出来ると聞いてな。面白いではないか?」


「そのような娯楽は久方ぶり、あれはあれで楽しめたぞ?」


 成る程、別にあっても無くても良かったみたいだ。このグリフォン程度なら、そう苦労しなかったんじゃなかろうか?


「だが、闇の生物は厄介だ。特にこの二匹は気配察知に優れておるようでな。闇に紛れ見失えば我々とて油断は出来ん」


「そういえばすごく逃げにくかったです。このグリフォンからは……」


 二重に被ってやっとなんとか攻撃が曖昧になったぐらいだから、すごく敏感な質だと思う。闇の攻撃もそういえばするんだったと思い出した。影を操って動きを止める物だったと思うけど……他にも出来るんだろうか。

 影の中に潜り込んで闇を繋ぐ方法でポースなんかは時々移動したりしているけれど、このグリフォン達はそこまでは出来ないみたいだった。影の世界に入るにはかなり難しく、僕もマントを被ってないと出来なかった。ポースに案内して貰わないと迷子になるから、影を潜るのは殆どやっていない。

 影の操りから逃れる僕の方法は、光のベールを被って体を発光させて影を消してしまうものだ。この業のおかげで地球でも幽体の姿を長く見せれるようになった。実体化は部分的に出来るぐらいで、長くは出来ない。それでも進歩だと思う。


 この一週間はずっとここの神殿で神官の仕事をしながら、グリフォン達の世話をしたり、ラークさんの遊びに付き合ったりしている。時々人間に紛れて世界を歩くのが趣味なだけあって、色々な場所に連れて行って貰えた。

 魔法の力が強く出るという世界の仕組みから、魔法生物が多くて精霊や妖精も沢山存在していた。勿論色々と見学させて貰った。精霊と一緒に世界を回って、時々作り替えたりとかしているみたいだった。他の大陸は大体は緑が多くて、ヴァリーのいる国とは全く違っていた。国も豊かに見える。綺麗な穀物畑を歩きながら、ラークさんは言った。


「ここの文明はそう発達してないのは僕のせいだよ。地球のようにゴミゴミしているのは好きじゃなくてね。物質主体世界はどうしても難しいからね。出生率も抑えてるし、地球よりも生命の寿命も長くなってる。ゆっくりとじっくりとここを楽しんで欲しいからね」


 そっか、メレディーナさんも近いことを言っていたと思う。魂が作られる段階から手を入れている場所だけれど、それでも生きていれば苦しみや悲しみからは逃れられないし、それを知る事は強さに繋がるとも言っていた。それには自分らしくあれる場所が必要だから、あえてゆっくりなのだと。

 時間を刻むのは自身の心が刻むという。流れを作っているのは今いる意識がやっているのだから時を超えるのは簡単だと。僕の空間ならもっと出来るはずだとマシュさんは言う、制限を掛けてるのは僕だと。


「なんだか壮大な時間が掛かってるけれど、ラークさんに取ってはそうでもないんですね。なんだかそんな気がしたんですけど……」


「そうだね、短くはないけれどまだまだ楽しい世界を作りたいと思ってるよ。繋がった時間を意識すれば、多分君なら直ぐに分かるよ」


「はい」


 きっと皆は何か分かってるんだ。僕の未来を待っている。期待を感じる。きっと応えれると思うんだ。だって出来るからこそ待っている、そんな気がする。そこに僕が向かっているから皆が手を引いてくれている。レイと出会ったあの時から、決まった事なのかもしれない。

 僕の時間は止まらない。念いが空間として記録されているなら、それが重なり続けるのが時間なんだ。僕という時間を重ねていく限り念いは繋がり続ける。その時の念いの情報が時空として残り続ける。全てが自分の中にある要素だ。簡単な事だった。連なって出来た僕の念いが時空として残るならそこに繋げばそれだけで良い。いつでもそこに戻るという事になる。本当は止めてしまえるのかもしれないけれど、僕にはそれで十分だから。そう思っていようと思う。


「いいよ。君らしくて」


「そうですか?」


「うん、それぞれだよ。君の世界は精神世界も強く出るからね、その感覚の方が良いんじゃないかな?」


「僕の世界?」


「そうだね、多分、中間界になると思うよ。管理組合には必要な人材だね。レイはちゃんと良い素材を育ててるよ」


「そうなんですか?」


「まあ、随分先の話になるけどね。きっとカシガナが星を変えてしまう程の力を持ち出したら、君もそのくらいにはなるかもしれないね。今は無理だけどその内ね……」


「はい。一人じゃないですし、大丈夫ですよね?」


「期待してるよ」


 みかん箱の世界はそんな世界になるらしい。皆、気が長いからゆっくり行こうと思う。


一時間後にくろのせんりつ登場人物を予約しました。時間のある時にでも見てやって下さい。

最終章は中途半端に終るかも……って、前の時も思ってましたが許して下さい。

シリーズ三作目は〜世界征服編(仮)〜ですね。カウンターアタック編は(仮)取れますかね?

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