表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/144

100 紹介

 ◯ 100 紹介


 どうやら、日本の神界でも同様の闇の生物を仕掛けられた跡が見つかった。増えて凶暴化する前にしっかりと対策されたみたいで、大事には至らなかった。その他の場所もそんな報告が入って来ていた。そんな中でも酷い被害を受けた場所もあったみたいだ。

 何処も霊泉や、霊峰その他の浄化や、癒しの場所が狙われた。各々の場所にあわない生物を仕掛けるのは生物にとっても環境にとっても良くないし、そんな事に使われるのは悪意しか感じない。闇の生物が悪いのではなく、環境にそぐっていないのだ。

 どうやらこれらの事は、ヘラザリーンの勢力がやった訳ではなさそうだと結論が出た。また他の勢力が出て来ていると見られている。


「厄介だわね……違う勢力でも狙ってくるのが同じ癒しの場。勢力違いでも共通して襲ってくるってことは、何かあるかもしれないわね」


 久々に董佳様の執務室での対談だ。ソファーに座って話を聞いているが、難しい話をしているので静かに聞いている。


「似た時期に集中しているから、多分そうだね」


 レイも渋そうな顔でお茶を飲んでいた。


「こんな事は余り無かったけれど、横の繋がりを彼らが持った可能性があるってことね?」


「そうだね、もしくは強い勢力とどちらも繋がりを持っているかだね。それなら彼らの性質から考えれば、充分あり得るよね」


「ま、こっちは情報が無さ過ぎて、何も分からないわ」


「組合も何とも言えないって解答だったよ」


「それにしても、早めに手が打ててよかったわ。そっちは多少被害があったんでしょう?」


「そうだね、でも直ぐに元に戻る範囲だよ」


「そうね、地球の場合は神界はそうでもないけれど、人界は困るわ」


「……アキが言ってた、制限があるから集まったんじゃないかっ、てのが引っかかってるんだよね」


「どういう意味よ?」


「え? えーと、その」


 僕が説明に詰まっていると、レイが答えてくれた。


「邪神や悪神もここの人界だとお互いが力の制限を受けるから、安心して顔を合わせられるんじゃないかっ、て言うんだよ」


「嫌な読みだけど意外とそうかもしれない。ここで会合を開いてた可能性はあるわね」


「実際三神が集まってた実績があるしね」


「情報交換の場に選ばれてたのね。でも、それは封じているのだから、これだけの反応があったと見るべきなのかしら?」


「これに乗じて他を狙ってるのかもしれないね」


「一斉に攻撃する事で目を逸らせている訳ね?」


「憶測だけだけど……そんな気はするよね」


「ええ、しっくり来たわ。でもまだ足りないわね……」


「それはここだけではない話だからね……トウカちゃんが納得したなら良いよ。ボクもそれで探ってみるから」


「分かったわ」


「それよりもこの試作の温泉饅頭は、夏みかんね?」


 深刻な話は終ったみたいで、僕の持ってきた饅頭を開けて食べ始めた。斉藤さんがお茶を入れ直してくれている。六月に近くなると一気に暑くなって来た。


「はい、香りが爽やかだから、とても食べ易いですよ」


 董佳様は満足顔で饅頭を食べていた。怜佳さんには昨日、夢縁の総括本部に持って行ってある。宙翔の庭の枇杷も手渡したら喜んでいた。


「怜佳お姉様も褒めていたわ。五月の爽やかさが感じられるって」


 いつも通りに感想を貰って、桑の饅頭をお礼に渡した。桑の実ね、と嬉しそうに六月の饅頭を持って董佳様は微笑んでいた。


「ところで、この二人は中々良いスイーツの感想を書いてくれてるわね」


 成田さんと沖野さんの、ファッションコーデの時の写真を見せられた。


「はい、怜佳さんにも言われました。元々この二人に店を教えて貰ってたので、センスはありますよ。あ、明石焼とかは別の先輩なんですけど、これも中々良い感じです」


「そういえば誘われてたわね、明石焼は……」


 怜佳さんに誘われていたらしい董佳様は、納得して頷いた。


「何? 新しいお好み焼き?」


 レイが聞いて来たので、説明した。


「ふうん、それはチャレンジしないとダメだね」


 そんな訳で、明石焼の味見の決行が今夜になった。



「これが明石焼……」


 レイが漆塗りの器に並べられた、黄色いたこ焼き状の物をじっと見ている。


「うん、出しに付けて食べるんだよ」


「難しいね……」


 三つ葉の浮いた出しの中で、崩しそうになりながらも真剣に味を確かめていた。


「そうだね。熱いけど、冷めると美味しさが半減するから、頑張って食べて」


 明石焼を食べつつ、後ろで怜佳さんと董佳様と伊東さんが、成田さんと沖野さんに質問をしているのをちらりと見ると、案の定固まってる二人が見えた。話をするのに一杯一杯な沖野さんとふと目が合ったので、落ち着くように笑いかけておいた。

 どうやら僕の家族がやってる地域調査を頼んでいるみたいだった。二人が住んでいるのは僕の家まで来た事があるから、近いとは思っていたけれど、聞くと電車で二時間程離れた場所だった。

 うちの家族とも面会しておいても良いかもしれない……幽霊だってばれるけどまあ良いかな? 多分、幽霊が見えるとかの確認は、僕が呼び出されることになりそうだし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ