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94 装い

 ◯ 94 装い


「あ、二週間ぶり〜。花粉症は収まった?」


 沖野さんが夢縁の学食で声を掛けてくれた。


「えーと、そうだね、元気だよ」


 花粉症という訳ではなかったけどまあ良いか。


「夢に会いに来てくれた時に、ちょっとの間休むって言ってたからな、体調でも崩したかって言ってたんだ」


「優基、ここも夢だよ〜?」


「う、良いだろ? ここの外でってことだよ」


「そうだね、ここだとみんな同じ夢を見てる事になるね」


「うわぁ、何かドラマの台詞みたい〜」


「事実だろ? 大げさだ」


「もう! もうちょっと夢を見ようよ」


「今日は皆は集まらないみたいだね」


「うーんと、なんか新しい集まりに行ってるみたいだよ」


「そっか、そんなこと言ってたね」


 木尾先輩と加島さんは空草ブレザーを着るべく、勉強会を始めたみたいだった。上位クラスのブレザーは空色と草色という事で空草クラスや、空草ブレザーと呼ばれ始めている。勉強会は星が三つ以上ある人対象だ。実力テストとクラスアップの試験との関係から、どの講義を受けて何処を強化すれば良いかの対策を考えているみたいだった。


「星が一つ付いたな」


「はい、合格して良かったです」


「千皓君もバイトが出来るね」


「そうですね、でももうやってるから……」


「どんなの〜?」


 僕は怜佳さんの依頼書を見せた。夢縁のスイーツとおやつの案内のレポート提出だ。報酬が出たら次のスイーツやらおやつが食べれるくらいだけど、充分だと思う。だって、三人分くらいは余裕の値段だ。


「これって、めちゃくちゃ良いね」


「一緒に廻ってくれたら、ただで買い食いが出来るよ?」


「良いのか?」


「一人じゃちょっと店に入りづらいよ」


「そんな事なら任せなさーい! お姉さんが付いて行ってあげるからね?」


「食い過ぎないように見張りに行ってやる」


「二人ともありがとう。今日は何処行こうか?」


「エッグタルトかな?」


「好いね」


「この依頼は連続なんだな」


「うん、気に入って貰えたら、また依頼を貰えるかもしれないよ?」


「それは気合いを入れなくちゃ!」


 僕達は講義に戻った。終った後に待ち合わせの店の前で合流して、今日のスイーツを堪能した。うーん、カスタードが好い味だ。店の写真とタルトの写真を取ってレポート作成に使うつもりだ。沖野さんが何やら書いてくれている。味の感想を付けているみたいだ。それも協力してくれるのか……有り難い。

 成田さんも沖野さんに言われて書き始めた。二人の顔写真も乗せて一緒に感想を乗せる事にした。


「そんな楽しい依頼は何時出てたの?」


「さっきだよ」


 沖野さんは羨ましそうだった。


「愛美、奢って貰ってる身分でそんな顔するな」


「だって〜、すごく美味しい仕事なんだもん。グルメレポーターだよ〜」


 その日はずっと、沖野さんはその事に付いては羨ましそうだった。次もお願いしますよ? 次は加島さんのお勧めのメモを見て決めた。広島焼きだ。これは四日後に食べに行く事になった。これは大物だからおやつには入らなそうなんだけど……まあ分ければ良いか。

 レポートは、アルバイト紹介所に提出すれば大丈夫だ。バイト代は夢縁銀行に振り込まれる。ここでの仕事はこんな感じみたいだ。怪しい依頼は省かれるようになった夢縁では、基礎を出たてのバイトが不足していた。怜佳さんがいくつかこんなバイトを出してみるわ、と言っていたので僕もそれに乗っかってみただけだ。依頼主の名はシシリーさんになっているけど、怜佳さんのアルバイトだ。



「このコーデは上級者ね〜」


 マリーさんはじっくりと見て頷いている。


「そうなの?」


 横から除いてみたけれど、良く分からない。


「ボクはこっちのコーデがかっこいいと思うよ。色の配色がいいね」


 レイの見ている方は分かりやすかった。


「本当だね、綺麗色のコーデだね」


 皆で夢縁のファッションチェックをしていた。適当に僕が夢縁の道行く人を流し撮りした映像だ。大きく映し出して皆で覗いている。


「全体的に女性の方がお洒落だわ」


「そうね、男性のコーデはもうちょっと頑張って欲しいわね」


 何故かアストリューに雨森姉妹も来て一緒にチェックしている。


「かなり着崩したコーデが多いわね。若々しくていいけれど。もうちょっと頑張って欲しいわ」


「暑くなって来てるから、中をTシャツにしてる人が多くなったわね〜」


「ファション投票でもやってみようかしら?」


 ふと、思いついたように怜佳さんが言った。


「面白そうだね」


 言うと思った。レイはそういうのが好きだ。


「応募を募ってこっちで良いと思う物を幾つか選考して、後は投票で決めて貰いましょう」


「どうせなら春夏コーデにしたら〜?」


「そうね、それが好いわ」


「じゃあ、秋冬コーデも半年後にやるしかないわね」


「ええ、楽しめるイベントを盛り込みたいわ」


 コーディネイトの出来を競うというか、人気コーデを決めるイベントが決まった。優勝者にはクイーン、もしくはキングのバッジが貰え、賞金というか商品券も出る事になった。一人につき三コーデまでと決められた。三コーデ纏めて総合で評価するので、普段からおしゃれな人はかなり凝りそうだと思う。



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