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プロローグ

ページを開いて下さり、ありがとうございます。

この小説は続きになりますので、最初を読んでいただいてからで無いと理解不能の仕様になっております。ご了承下さい。

非日常へ編から開いて読んで下さった方、ありがとうございます。感謝です。

辛気くさいのは最初のみです。ちなみにホラー街にお泊は四話からです。

 ◯ プロローグ 


「ふうー」


 アストリュー神殿の神域の片隅で、レイが溜息を付いていた。見るからに落込んでいる。


「また溜息を……らしくありませんよ? 大丈夫ですわ。アキさんならきっと立ち直り、戻ってこられますよ。離れたりしないですわ」


 メレディーナがレイの落ち込んだ気を心配して、慰めの言葉を掛ける。


「だってアキが……」


 死んでしまい、その上黒いマントを付けて帰ってくるなんて……自分達の守りをすり抜けて攫われたあげく、自分で帰って来るなんて。それを思うとレイは自信を無くしそうだった。


「仕方ないわ〜、まだ葬儀から向こうでは十日程なんですもの。大丈夫よ、アキちゃんはレイのところに帰ってくるわ。そんな顔しちゃダメよ?」


 マリーもなんとか発破をかけようとしたが、落ち込みが激しくて余り言えずにいた。


「あんなに邪神に近い者が地球で生息出来るとはな……ぜひ調べたかった」


 マシュは実に残念そうだ。面白い研究対象になりそうだったのに直ぐに解体するなんて……密かに残念だと思っている。

 刻印の解除はやはり今のままでは無理だった。刻印をされないようにするか、邪神の方を封じる方が早い。解決した訳ではないので課題は山積みだ。


「アキさんがいないと、お薬の調合もありきたりだから張り合いが無いですわ……」


 アキの薬は最初から特別な物しか受け付け無かったせいで、メレディーナは密かに色々楽しんでいた。最近はかなり普通の体になってきたし、精神の方も安定している為それほど特別ではなかったが、新薬が面白いように効くので結構楽しんでいたのだ。


「そうだね、あんなにあった仕事がぱったり無くなったね」


 次々と問題を引き連れて来るから、あっちこっちに駆け回って手を打っていたのに、こんなに暇になるなんて……。


「そうね〜、あんなにお洋服を作ったのに碌に着て貰えなかったわ……マシュ早く新しい体を作ってよ〜」


 マリーはメンズの服なんてと思っていたけれど、アキの洋服にほんのちょっと可愛さをプラスするのが、最近は楽しくなって来たのだ。意外な発見だった。色々試したいのに肝心の体が無くなるなんて……と、ショックだった。


「スフォラがパックリ割れてたのには驚いた……アキがショックでおかしくなってたからな。体はまだもうちょっと掛かるな。素材待ちだし、メレディーナの調整もいる」


 アキのおかげで、研究室では分からない事がどんどん舞い込んでくる。脳筋連中の要望から、邪神の力まで……今まで考えもしなかった事がどんどん舞い込んで来て、それに合わせてスフォラを改良していくのが楽しいと思えて来ていた。

 だが、邪神に先手を打たれるとは……こんな予測は出来なかった。奴らのやり方は何となく分かった。次はこっちが仕掛けるくらいで望むべきだ、とマシュは考えていた。


「レイさんの言う通り、仕事が減りました。なんでしょうこれは、なんていうのかしら……」


 メレディーナは少し楽しむように言葉を繰り返す……。


「アキが僕達に仕事を持ってきてた気がする……」


 レイがその後を続けて、確信を持って頷いた。


「……考えたらそうだな。スフォラの改良をしても全然足りなくてまた改良、次々だ」


 マシュの声にも何時もの不遜な響きが戻って来た。


「やっとメンズのお洋服にも興味が出て来たところなのに……お料理もあの庭のおかげで、良い素材が手に入るのよ〜」


 マリーは両手を合わせてうっとりと、自分の創作には欠かせないと嬉しそうに言う。


「そうですわね……。私達に試練を与えるかの様な今回の事件……後手に回った守りもこれからは通用しないと言ってるようですわね」


 メレディーナは周りに言うだけでなく、自身にもこの事は真摯に受け止めもっと真剣に考えるべきだと思いつつ言葉にした。


「確かに……そうだね。ボク達がしっかりしないと、またアキが余計な辛い目にあっちゃうよ」


 新人に悪神に向き合わせるのは早い。アキがそれを呼び込む業を持っているならこっちもそれに向き合わなければならない。ここにいる全員がそれを分かっている。


「レイ、その調子よ〜。あたしも出来る事は協力するわ」


「後手には回らない、次は先手を取るぞ?」


「アキには安心して育って貰わないとね。死神になんて負けないよ?」


「次の目標を高く持ちましょう。出来うる最高の物を使わないといけないですわね」


「よし、気合いを入れてアキの体を作るか」


「そうね〜、もしかしたらこの静けさは、嵐の前触れかもしれないわよ〜。気合いよ〜!」


 全員が前向きになったとき、レイに董佳から連絡が入った。その顔には喜びが溢れていた。


誤字、脱字、意見、要望、感想等ありましたら遠慮無く書いて下さい。

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