表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

TとUの理不尽クイズ

今日の昼食は?/剣道の試合のポジション<解答編>

作者: フィーカス

こちらは解答編ですので、先に問題編を読んでもらった方が楽しめると思います。

 学校から帰ってきた中学生が見た、母からのメッセージ。

「昼は帰れなくて料理する暇がなかったから、これを食べてね」とあり、続いて「カレーレ」という文字。

 一体「カレーレ」とは何なのか。母は何を食べろと言っているのだろう。

 そして、剣道の試合でのポジション発表。

 Aさんには「繰り返して言えばわかる」とだけ言い、Bさんには「明日の昼十二時になればわかるだろう」と言った。

 ポジションとしては先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の五つがあるが、果たしてAさんとBさんはどのポジションだといわれたのだろう。



「さて、今回は珍しく正解するのが早かったU君に、解説をしてもらおう」

 Tはアイスコーヒーを飲みながら、Uに言った。

「一体誰に向かって言っているのだ?」

「まあ、気にすることではない。じゃあまず、『カレーレ』の謎について説明してもらおう」

「なんか、気に障る言い方だな」

 Uはカレーを食べる手を止め、口の中のものをアイスコーヒーで流し込んだ。

「では、まず『カレーレ』の正体について。中学生が昼食に食べるものであり、かつ『カレー』という言葉が見えているために、『逆にカレーではないのではないか?』と憶測が立ち、混乱しやすい問題だが……」

「さっさと説明しろ。食べかけのカレー全部食べるぞ」

 TはUのカレー皿に手を掛けようとしたが、Uは素早くその皿を引き下げた。

「まあ待て。今から説明するから」

「なんでこいつら解答説明するのにまどろっこしいかっこつけ説明するのだ」

 Tはため息をつきながらアイスコーヒーをストローで混ぜ始めた。

「まあいいじゃないか。さて、『カレーレ』の正体だが、要するにこれが『カレー』になると普通に食べ物のカレーになるわけだ。ということは、『レ』を一つとればよい。『レ』を取れば『カレー』になる。『レ』取ると『カレー』。つまり、『レトルトカレー』なのだ」

「ふむ、Uにしてはよくできたな」

「俺にしては、って言うのは余計だ」

 そういうと、Uは残ったカレーを全て平らげ、アイスコーヒーを飲み干した。


「さて、もう一問の方だが」

 Tはくるくる回していたアイスコーヒーのストローを加え、少しずつ口に含んだ。

「Aさんの方は簡単だった。何せ、言ってることそのままの意味だからな」

「では説明してもらおうか」

「よかろう。あ、アイスコーヒーお代わりください」

 Uはちょうど通りかかった店員に、アイスコーヒーの注文と、食器の片づけを依頼した。

「とりあえずAさんの方だが、『繰り返して言う』という言葉を別の言葉で言い換えればいいわけだ」

「ふむ、それで?」

「繰り返して言う、つまり復唱する、と言うわけだ。つまり、復唱=『副将』、ってことだな」

「ご名答、少々簡単すぎたかな」

 Tが言うと、Uはフフン、と言いながらアイスコーヒーを手に取ろうとした。が、既にからのグラスは片付けられており、仕方なくお冷を手にした。

「しかし、Bさんの方がわからん。何だ、昼の十二時になればわかるというのは」

 Uが腕を組んで考えていると、店員がアイスコーヒーを持ってきた。Uはガムシロップとミルクを入れ、ストローでかきまぜながらさらに考える。

「うむ、もうそろそろだな。答え発表の時間が」

 Tが時計を見ながら言うと、Uはきょろきょろとあたりを見回した。

「一体何が起こるというのだ?」

「まあ、時間になったらわかるだろう。いつも聞いてる、あの音が聞こえてくるから」

 Tが言い終わるかどうかの刹那、遠くからサイレンの音が鳴り響いた。

 かなり遠くから発せられているが、店内にいてもはっきりと聞こえてくる。

「この音は……」

「ちょうど十二時だ。これが答えだよ」

「サイレンの音……そうか、時報か!」

「そういうことだ」

 Uはサイレンの音を聞きながら、額に手を当てて「やられた」とつぶやいた。

「まあ、十二時になれば必ず時報のサイレンが鳴るというわけではないのだが、その中学では昼間にサイレンが鳴るところだったんだな。時報、つまりBさんは次鋒になったというわけだ」

「なるほどねぇ。なかなか全部を答えるというのはできないものだな」

「歳を取ると頭が固くなるからな。たまにはこういうので頭をほぐさないと、思考能力が低下してしまう」

 Tは残ったアイスコーヒーを飲み干し、伝票と荷物を持って立ち上がった。

「あれ、払ってくれるの?」

「まあ、今日くらいはおごってやる」

 そう言って、Tはレジに向かって会計を済ませた。


 クーラーが効いていた店内と違い、外は灼熱のような暑さだ。

 吹き出る汗をハンカチでぬぐいながら、できるだけ日陰を通って会社に向かう。

 ここでふと、Tはとんでもない忘れ物をしていたことに気が付いた。


「あ、まだ昼食採ってないや。あそこで採ろうと思ってたのに」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ