Prologe
久しぶりの投稿
もともとは適当に描いた超短編でしたが長編にしてみました
ではデスサイズ・0の駄文、どうぞ
「にゃ?」
彼女は足を止め、振り返った
視線の先には暗闇、そして小さな灯りがあるだけ
「ん~…ま、いっか!」
誰かに呼ばれたような気がした
だけど気がしただけの様だった
少なくとも彼女にとってはそうなのだ
気まぐれに、ただそんな気分なだけだから
白い彼女には、それだけで十分な動機であり、彼女にとっての少ない感情の一つ
彼女はそうやって生きている
白く、絹のように美しい長髪を揺らしながら細いブロック塀の上を見事なバランスで歩いて行く
「ありゃ、もうおしまいか」
塀の端までたどり着いてしまった彼女は残念そうに飛び降りた
道を渡り、目の前の公園に入る
「うん、やっぱり目線が高いとまた違うね」
柵に腰掛け、足をブラブラさせながら、彼女は空を見上げた
夜空には満月、星、雲
上手く混ざり合って、とても美しい夜空だった
「空に星、月に海、水面に映る夜空」
柵から立ち上がり、ステップを踏むようにくるくると廻る
「私たちはひらりひらりと舞い散る雲に」
途中で立ち止まり、歩き出す
「ふわりふわりと流れゆく」
「…良い詩だ」
「にゃ?」
紅いコートを着た男が少し離れた所に立っていた
「ただ、ヒトを雲に例えるのは、少し古い気もするがな」
「誰?」
「…まぁ…誰でも良いじゃないか…俺は俺だ…」
紅い男はゆっくりと歩き出す
男は白い、と言うより銀色に近い髪で顔が隠れて表情が見えにくかった
「うーん…わかんないや」
彼女は少し笑って答えた
「なに…分からなくて良いさ」
彼は少し歩いて彼女の近くへ来た
「さっきの詩は…君が作ったねか?」
「ううん、違うよ。私はちょっと変えただけ」
「ちょっと変えただけ…?」
「うん!元々は私の大好きな人が作ったんだよ!とっても素敵でしょ?」
「確かにな。人間が作ったにしては良い詩だ」
「…もしかして、貴方も私と同じなの?」
「…さあね」
男は踵を返し、歩き出した
「もう行っちゃうの?」
「うん…まぁ…俺は自分を上手くコントロールするのは苦手だから」
「また…会えるかな?」
「ふーん…」
「じゃ…」
「…変なひと」
彼女はベンチに座り、ぼんやりと夜空を眺めていた。すると
「見つけた…!!」
公園へ少年が飛び込んできて、彼女の下へ走ってきた
「あー、みーくんだぁ♪」
「あーみーくんだぁ、じゃねぇ!!今何時だと思ってんだ!あとそう呼ぶんじゃねぇ!!」
「ぶぅ…」
拗ねた表情で少年を見る彼女は、どこか楽しそうだった
「何故オレが拗ねられなきゃならねぇんだ!!オレがどれだけ苦労してお前探し回ったと思ってんだ!?」
「んー…別にほっといてくれてもちゃんと朝までには帰ってたのに」
「今のお前にそれが許されてると思ってんのかぁ!!」
「もう…私が何なのか忘れたの?猫だよ?」
「今は違うだろうがぁッ!!」
◆
彼女は、もともと猫だった
だが…ある日オレが朝目を覚ましてみれば何故か人に---それもよりによって美少女に---なっていたのだ
ああ、オレの名は篠川 湊
彼女は…まぁ猫の時は真っ白な猫だったから、アイボリーと言う名前を付けていた
…センスが無いとか突っ込むな…コレでも絞り出したんだ
と、とにかく彼女は人間だけど猫だったから、まさに猫のように自由気ままに生きている
だから深夜にこうして勝手に街を徘徊したりするのだ
しかも彼女は自分の容姿を理解していない
白い長髪で、蒼い瞳、抜群に良いスタイル
もし何かあったら…と心配にもなる
ただでさえ猫の時から心配だったのに…だ…
そして…コレは…オレと彼女の物語
乾いたオレの心を鮮やかに彩ってくれた彼女の
新しい心を知った、白い彼女の
一つの物語だ
こんな感じです
では、また
あ、感想を頂けると嬉しいです




