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地獄の入り口

作者: 白駒の池

 地獄シリーズの第1作です。何を間違えたのか、削除してしまっていたようです。多少の変更を加え、短編として章分けはせずに「小説家になろう」に復活させました。

昨日、冷たい雨がいつまでも降り続いていて、やるせない気持ちのまま、亡くなった夫の遺品を整理していた。そして何通もの手紙を見つけた。

 ちょうど夫との婚約時代。

自分が幸せの絶頂にあったはずのその時に、夫は自分より10歳近く若い女子大生と何通も何通も手紙を交換していたようだ。

 高校の時から付き合いをはじめ、夫の両親が残した借金を力を併せて完済し、二人の子供を育ててきた。その夫が、結婚を前にしたそのころから、別の女と何通も手紙を交わし、仕事だとうそをつき東京までその女に会いにでかけていたらしい。文面は淡々と夫の不貞を想像させた。

 あまりのことに私は腰が抜けてしまった。

大事そうにしまわれていた手紙は、ちょうど1年前まで続いていた。


 すべて読んで、悔し涙が出た。

私の結婚生活はいったいなんだったのだろう。

相手からの手紙の最後の行に

「愛していると言って貰えて幸せだった」

という1行を見つけて、心が震えた。

 ふと、思った。

 自分は夫から最後に

「愛している」

と言われたのはいつだったろう。

 もうずっと以前。夫と私の間には性生活も途絶え、信頼や思いやりのすべてが消えうせていた気がする。正直、それが楽だった。

育児に追われ、家事に追われ、借金を払いながらの生活のために仕事にも追われていた。

夫とのすべてを忘れ去ることが自分の生活を守る唯一の方法だった。

 だけど、私は必死だった。

 そんな私をあなたは不倫という形で、もう何十年も裏切り続けてきた、というのか…。


 夫に女の影を感じなかったわけではない。

 やけに東京への仕事が多いな、と感じた結婚当初。

 でも、子供が生まれ、日々の生活の中で私は疑うことをしなかった。

 そうだ、自宅に何度も無言電話がかかってきたことがある。

 夫にそれを告げ、「ほおっておけ」と言われてしばらくすると、その無言電話も止まった。

 止まって、また忘れた。


 もしかして、あの無言電話はこの手紙の女なのか。


 本当に本当に悔しくて涙が出た。

 手紙を読んで、どうやら疑うこともなく、何も気がつかずにいたのは自分だけだった事に気づく。

 手紙には、「良二さん」という名前がよく出てくる。

 おそらく、夫と同じ課の堺良二のことだろう。夫とは仲がよく、飲み友達でもあった。

 葬儀の時、1年前からその日が来るのを覚悟していたはずの私だが、何もできずにいた私に手を貸してくれたのも堺良二だ。その堺良二が、夫の不倫相手と思われるこの手紙の女の存在を知っていて、夫とその女との間をとりもっているようにさえ思えるようなことが、この女からの手紙には認められていた。

 いてもたってもいられず、堺良二に電話をし、夫の遺品のことで話がしたい、と告げた。堺良二はその日のうちにやってきた。私が何を話したいのか、判っていたようだった。


 私が夫の遺品を整理していてこんな手紙を見つけた、と、堺良二に告げた。

 一瞬のうちに堺良二の顔色が変わった。

 私はその瞬間に、夫の不倫が本当のことなんだと悟った。


「どうして?。

いつから、あなたは夫の不倫を知っていたの?」


 堺良二はしばらく黙ったあと、こう言った。


「俺は克己に何度も「軽蔑する」と言っていたんだ。」

そう言った。

「でも、克己はそんな俺の忠告には耳を傾けなかったよ。」


「教えてくださればよかったのに。」

「…」良二は何も答えなかった。

「あなたを責めるつもりはないわ。でも、今になってこんな手紙が何通も出てきて、私はどうしたらいいのかわからないの。」

「あなたの気持ちはわかるつもりです。でも、お伝えすることなんてできませんよ。」

「そうですよね。「あなたのご主人が浮気していますよ」なんて、言えませんよね。でも、わかっていただけませんか。私は今、どうしたらいいのか本当にわからないのです。せめて、この手紙の女性についてあなたがご存知のことを教えてください。」

 少し間をおいて堺良二は話始めた。


 僕が知っているのは、もう、その手紙の相手は存命ではない。と、言うことです。その女性は1年前に遺書を残して自殺しています。明るい子でしたよ。克己はその明るさにひかれたようです。相手の女性はその手紙の差出人、上野由美。

 克己は仕事の関係で東京に出かけ、宿泊先のホテルのラウンジでアルバイトしていた彼女と知り合ったそうです。僕も一緒の出張の時に紹介されました。一緒に飲んだこともありましたよ。克己は自分には婚約者がいて結婚も決まっていることを話していました。彼女をだましたわけでもなく、克己自身、彼女と浮気する気も無かったのではないでしょうか。

 あなたと婚約し、結婚しようとしていた克己の気持ちは嘘ではなかったはずです。

 そんな克己と彼女との関係が変わったのは、彼女が強姦未遂という事件に巻き込まれた直後だったようです。当時、新聞にも出ましたよ。新宿で帰宅途中の女性が相次いで狙われる、という事件があったこと。

 その被害者の一人が彼女でした。何も知らずに東京へ出張に出かけ、克己と僕は彼女の働く店に出かけたのです。

 店の人に何日も休んでいる、と言われました。僕は知りませんでしたが、克己はその日のうちに彼女のところへ出かけたようです。交換していた携帯番号に連絡したみたいです。ずいぶん後になって彼女から聞いたのですが、一人が怖かったみたいで、「誰でもいい、そばにいて欲しかった」、と言っていました。

 翌朝、仕事に間に合うように克己は帰ってきましたが、出張の間、ホテルには戻りませんでした。

 あの時から、克己は彼女との逢瀬を楽しんでいたのかもしれません。

 いや、不倫とかの言葉では片付けられないような強い絆がそこにはあったのかもしれないです。

 その後、そこにあるように彼女からの手紙が何通か会社に届くようになりました。


堺良二は「自分の知っているすべてを話します…」そう言って、夫と夫と不倫関係にあった由美という女の話を続けた。


僕は、克己のもとに彼女からの手紙が届くようになった時、何度も克己と話しをしました。関わりを持つな、とも言いました。でも、克己は決して聞き入れはしませんでした。むしろ、何かを言うたびに克己の心が頑なに彼女に傾倒していったような気がしています。だからあえて何も言わないことにしていた時期もありました。そのうち、僕は異動があり海外に8年渡航していました。8年、克己の様子をうかがい知ることができませんでしたが、心の中では「終わっていてくれ」と思っていましたよ。

8年経って、密かに彼女との仲が続いていると知ったとき、僕はなんとなくですが、「すごいな」と思ったのですよ。美化するつもりはありません。賞賛するつもりもね。でも、「続いている」という事実に「すごいな」と思ったのは確かです。

克己の右足に異常が発見されたのは、ちょうどそのころでしたよね。

病院に駆けつけたら、会社の階段で転んで右足の付け根辺りの骨が折れた。と克己は言っていました。でも、後になって、克己は足の骨がものすごい音をたてて折れ、そして、転んだんだ、と教えてくれました。

自分が単なる骨折ではなく、「骨肉腫」であることを知っていたのだと思います。

病院で克己から入院していることを彼女に連絡して欲しい、と頼まれました。

「骨折した。退院したら連絡するから」と、僕が伝えました。

実際、克己には足の骨のこと話さなかったのですよね。

でも、克己は知っていたのだと思いますよ。だから、自分の周りを整理していたと思います。

仕事も完璧でしたよ。日々のデータ、トラブル、売り上げ、売り掛け、何もかもがきちんと残されていましたから。克己は知っていてすべてを残した…と思っています。

その手紙ですが、あなたに発見して欲しかった、ということはありませんか?


堺良二は私の顔を覗き込んだ。

「私に発見して欲しかった…ってどういうことですか。」


 何もかもきれいに整理してあったのですよ。

 別れの時が来ることを悟っているかのように。俺が病院に行くと、あいつは大きな窓ガラスの向こう側をいつもながめていましたよ。諏訪湖が見えるあの病室から、あいつは外の世界を眺めながら僕に向かって「また、必ず」というのですよ。

「また、必ず」は、「生きているうちに」ということですよね。

ずっと後になるまで、僕は気がつかなかったけれど、克己が足のことを知っていた、と思えばすべてが納得いくのです。その克己が手紙をそのままにしているわけがありませんよ。読んで欲しくないのなら。

 克己がそのままにしていた、ということは、妻であるあなたに隠していたのではなく、気がついて欲しかったのではないでしょうか。

 克己がどう考えていて、何をあなたに知って欲しかったのかはわかりません。でも、あいつは、少なくともその手紙をあなたに読んで欲しかったのだと思います。


 そう言われて、私はその手紙の束に目をやった。

夫は何度もその手紙を読み返していたようだ。無造作に封筒にしまってある、というよりは、何度も何度も読み返し、封筒にしまい、そして、また封筒からだし。そんな繰返しを想像させる。手紙はみなそういう状態だった。

 余計に腹立たしく、心が晴れない。


「私に何を伝えたかったのでしょうね。」


堺良二は、「わからない」とだけ返事をした。


 こんなことがありましたよ。

 東京への数日の出張の際、トラブルがあって、克己は出張を切り上げて帰ってきたことがありましたよね。痛む足を引きづりながら…。その時、あなたは家にいなかった、と克己が言っていました。確か、実家に帰っていたと。

 お母様が病気だったように僕はききました。戻ったのが深夜だったので、静かに入っていったら、家には誰もいなかった、と。


「ええ、確かにそんなことがありました。でも実家に帰っていたことが何か。」

私は、思わず語気が強くなってしまった。責められているようなそんな気がしたからだ。


 いや、僕には克己が何を思って、何を考えていたのかなんてまったくわかりません。

僕がわかるのは、「克己は足のことを知っていた」と、言うことだけです。東京から戻ったら、あなたも子供もいなかった。克己が一番悪いけど、悔しいけれど、あいつは、いつも自分の居場所を探していたのかも知れませんよ。男なんてみんなそんなものです。

 克己の足に異変が生じた後、東京で3人で一度顔をあわせたことがあります。僕はきいたのですよ、克己の何が良いのかと。どこがいいのだと。

 答えてはくれませんでした。くれませんでしたが、僕はなんとなく推測できました。

「空気」だと思うのですよ。同じ空間に互いを思っている相手がいる、という空気です。

ほんの少し話をして、僕は失礼しました。居たたまれなかったのです。とてもじゃないが、同じ空間にいることができませんでした。女の方にはお分かりにはならないでしょうね。


 私は怒りが増し、憎悪が増し、その憎しみをどうすることもできず、両の握り拳が両膝でわなわなと震えていた。堺良二はそのことに気がついて、

「やめましょう」

と言った。

「僕は真実を話しています。僕の感じたままです。でも、あなたにとっては「知らなくてもよいこと」かもしれません。これ以上何も知らぬまま、その手紙も燃やしてしまえばいい。あなたにとって、都合のいいことをだけを思い出にして、これから生きてゆくのも決して悪いことではありませんよ。」


堺良二はそういうと、腰を上げ帰ろうとした。


「いえ、話してください。私はすべてが知りたいのです。その後のこともすべて、知っておかなくてはなりません。自分のために」


ひと呼吸おいて、堺良二はまた話し始めた。

しばらくして、克己が入院することになったころ、克己は何度も東京に出張に出かけていましたよね。あなたは克己の足のことを黙っていた。黙って、好きにさせてやっていたのですよね。ものすごいことだと思いますよ。入院することになったすぐ後、克己は彼女に言ったのだそうです。

もし、俺が死んだら、、、、と。すぐそこに迫っているであろうその時のために僕の連絡先を教えたようです。「俺が死んだら、良二から連絡があるから。」と。

僕の了解など、何もとらぬまま、僕から連絡があるから。そう言って、心配事があったら僕に連絡するようにと言ったそうです。彼女から連絡は一度もありませんでしたよ。彼女からは…。


克己と彼女の8年間を僕は知りません。むしろ、そばにいらしたはずの”あなた”が何も知らずにいたとはとても思えません。それだけ密かに二人の仲は進んでいたのでしょうか。

 彼女が克己の心の中にどれだけ占めていたのかはわかりませんが、気づいてやれなかったのでしょうか


「私のせいだと、言うのですか。」


「そうではありません。ただ、僕には克己はあなたに対してずっとサインを送り続けていたような気がして仕方が無いのです。ずっと、ずっと。」


 私は必死で頭を整理しようとしたが、怒りや憎しみばかりで、冷静に物事が考えられずにいた。無くなった夫からのサインなど、少しも思い浮かばない。それどころか、夫がその女と過ごしていたであろう時間のどうでもよいあらぬ妄想ばかりが頭の中を駆け巡り混乱していた。

心の中は嵐だった。


「必死で考えているのですが、何も思い出せないのです。一人になったら思い浮かぶことがあるかも知れません。でも、今は何も浮かびません。」


 堺良二は続けた。

 それからしばらくして、警察から連絡があったのですよ。彼女が事故にあって死んだと。

持っていたバッグの中には遺書とも思えるあて先のない手紙があって、

「大丈夫。地獄の入り口に先に行くだけだから。」

と、書かれてあったそうです。何人もの目撃者がいて、青山の街で彼女はずっと遠くを見つめて立ち尽くしていたそうです。そして、意を決したように彼女は赤信号の交差点へと進み、走ってきた白色のアウディにひき逃げされました。車は偽造ナンバーだったそうで、結局のところ、犯人は捕まらずです・・・。

 克己のことがあっての自殺なのかも知れません。

 入院していた克己の所にも警察は来たようです。まぁ、克己は動けませんでしたから、疑いもすぐに晴れたのだとは思いますが・・・。


 そう言われて、少し思い出した。

 お見舞いに出かけたとき、二人の男が病室に来ていて、なにやら難しそうな話をしていたので、しばらく廊下で時間をつぶしたことがあった。その二人の男が病室から出てきたとき、一人の男が、私に何かを言おうとして、もう一人の年配の男に遮られたことがあった。

 その後、夫に「今の人って誰?」ときいたら、「取引先の人だよ」と言ったので、それ以上何も聞かなかったことがある。きっと、東京からやってきた刑事だったのだろう。そういえば、眼光鋭く、取引先の人、、、、などであるはずが無い。

 だが、私はそれよりも気がかりなことがあった。

「白色のアウディ」と、「地獄の入り口」だ。


「あの、白色のアウディって…」


堺良二が言った。

「克己の車も白のアウディでしたよね。でも、ナンバーは違っていた。。いくらなんでも克己が、、、ってことは無いと思いますよ。あのあと、警察も来なかったのでしょうから。」

私は血の気が引いていたようだ。

「真っ青ですよ」

そう堺良二に言われて、目眩を覚えた。

入院中、しばらくして、克己から車の処分を頼まれたからだ。


「そのひき逃げがあった日はいつなんですか?」


「去年の4月14日です。」


 4月14日は私達夫婦の結婚記念日だった。克己が入院して数週間後だったが私は子ども達をつれて実家に帰っていた。夫の病気と母の高血圧で私は疲れていたのだ。結婚記念日のことなどすっかり忘れ、実家に戻っていた。もちろん2日とあけずに病院に通っていたのだが、14日がどうだったかは思い出せない。

それよりも、車を処分してくれ、と頼まれたことが引っかかる。


「地獄の入り口に心あたりはあるのですか?」

逆に堺良二に尋ねられた。


「あの人は若い頃に親の残した借金を背負う羽目になり、やけになっていた時期もありましたが、なんだったかな、もう忘れてしまったけれど、なんとかっていう宗派の教えにみょうにのめり込んで、よく、「俺は逆さづりにされる。」って言っていました。地獄の入り口で逆さづりにされるんだ、、と。」

「あまり聞いたことはありませんね。なんていう宗教なんでしょう。」

「ごめんなさい。どうしても思い出せません。」


 堺良二の視線が痛い。何も知らないんだな、と言わんばかりの視線だ。

だが、反論できない。

 私は何をしてきたのだろう。夫との10年間が苦しくなる。

 堺良二が語ったほんの一握りを知っただけで知らなかった夫の姿が見えてくる。だけど、本当に知りたいことは堺良二でさえ知らないようだ。


「僕は、今でも克己が理解できません。

いや、理解しているつもりなんですが、僕の知らない8年がどうしても埋めることのできない溝になっています。前にも言いましたが、思い出だけを大切に生きてゆくのも決して間違いではありません。憎悪や嫌悪を捨てて生きて行くのです。

 でも、あなたは僕の知りえるすべてのことを知りたいと思った。その気持ちにうそは無いでしょう。引っ掛かりを抱えたままの人生など、いつも後悔だけでしかないでしょうから。

 ただ、その8年を埋め尽くすたった一つの方法、それは、その手紙の束以外にはありません。

 同じだけ克己は返事を書いたのかどうか…。

 彼女の部屋からは何も見つからなかったようですが。」


 無くなった夫。

 夫の心の中にどんな阿修羅があったのだろう。


 堺良二はしばらく間をおいてこう続けた。


 僕が最後にあの病室を訪ねたとき、克己は何冊も何冊も本を読んでいました。たずねると、それは「お見舞い」として彼女から届いたものだと言っていました。その本を何度も何度も繰返し読んでいましたよ。時折、ガラス窓の向こうを見つめながら、ね。

 そこに何があるのか、教えてもらいたくなるくらいの視線を送っていました。

 そして、帰るときに克己はそっと言いました。

「また、きっと」

って。

 病室を出た時、前の部屋に入院している男の子にあったのですよ。

 骨折で入院している子がいたでしょう。その子がね、僕に聞いたんです。

「今日はおじちゃん、泣いてなかった?」って。

 聞けば、毎晩のように消灯時間のあと、克己は泣いていたようです。

 声を押し殺すようにして、克己は泣いていたようです。

 何を思ってないていたのでしょうか。僕にはわからないのですよ。

 目の前に迫っている”死”に対する恐怖なんでしょうか…。

 残してゆく家族なのでしょうか…。それとも…。


 堺良二はその後を語らなかった。


 私はそれからというもの、寝食を忘れて亡くなった夫への手紙をむさぼり読んでいた。

 ほんの少しでいい。私が夫と過ごした10年間の私の知らない夫との距離を埋めたい。

 ただ、そう思ったからだ。

 だが、埋め尽くすどころか、「なぜ」という思いのほかに私の心が埋まることは無かった。

 私はこの10年、何をしてきたのだろう。

 どうしたら、今から夫との距離をつめることができるのだろう。


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[一言] 必死で家庭を守っていた妻に対するこの仕打ち!ふざけんな!
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