ずっと仲が良かった私たち、
部活は迷った結果、陸上部に入部した。1年生が入ってやっと12人という小さな部活だけど、それなり足の速い人がいて、毎年全道大会への出場は欠かさない。私も特に足に自信があるわけではないけど、頑張って走り込めばいいかな、と思って陸上部にはいることを決めた。
未来はバドミンドン部、歩菜はテニス部、3人とも部活は離れてしまったけど、休み時間はほぼずっと一緒にいる。
未来は今、好きな人がいるらしい。
「告ったほうがいいのかなぁ」
「いや、もうちょっとアピってからの方が絶対良いって! 」
歩菜が一生懸命アドバイスしている。同じクラスの光樹という男子が好きだといっているけど、私は恋愛のことはよく分からないので、黙って聞いているだけだ。
「亜梨紗はいないの? 」
「え? 」
「だぁかぁらぁ、好きな人」
未来がずいっと寄ってきた。
「準希さんは? 」
準希さんは、陸上部のキャプテン。走る姿はかっこいいけど、残念ながら好みではない。
「うぅん……別に、好きな人はいないかな」
「なんだ」
「つまんないの」
正直言って、気になる人はいた。二人に言うと大騒ぎするから、絶対言わないけど。
「やっぱさぁ、多田さんカップルが理想だよねぇ」
歩菜が溜息をつきながら言った。
「え、でも、あんまりメールしないって聞いたよ? 」
多田勇気さんは陸上部で、よく話しもする。凄く優しくて、めちゃめちゃかっこいいわけではないけど、可愛い彼女もいて……。気になるというのは、多田さんのことだ。
「でもさぁ、たまに買い物してるのとか見ると、めちゃめちゃ仲良さそうじゃん?」
「ん、まぁ」
未来が言った。
「でも、うちは、毎日メールして、週1で電話して、学校でも毎日はなさなきゃ嫌かな」
「それはワガママじゃない? 」
「そうかなぁ……」
次は音楽だ。私たちはいそいそと教室の移動を始めた。