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出会い/3

ついに…意思疎通ができるようになったので、

少しだけ会話多めで進みます!

《》は指文字です。

___出会ってから三年。

この森やこちらの姿はひとつも変わらないのに、イオルだけは変わっていった。


あの時より身長が伸び、声も変わってきた。

それでも変わらないのは毎日のように遊びに来ては夕方に帰ること。


それと___


「エリー!見てよこれ!」

喋れずとも彼が話す言葉は理解できるようになり、

いつの間にかエリーと呼ぶようになったこと。

(…イオルは大きくなったなぁ)

彼の成長は喜ばしく思う、けれどもこの世界の平均寿命は分からないが確実に自分より早く時が流れているのを感じて、少し切なくなる。


《なに?》

あとイオルに教えて貰いながら指文字を習得したので最近は単純な意思疎通ならできるようになった。

それが一番の大きな変化かもしれない。

「行商人が来てエリーに似合いそうなもの見つけたんだ」

イオルは手に持っていた物をこちらに見せてきた。

《花?》

(…の指輪?)

「そう、エリセラっていう花の飾り」

エリーのエリはエリセラから取ったんだよ、と言いながらイオルは揺れる金髪を一房取ると三つ編みにして最後の結び目の所に指輪のような形のそれを髪の留め具として使った。


《ありがとう》

「エリセラはね、夜明けの花って言われてるけど、他にも意味があってさ。

友情とか約束とか……あとは永遠、なんだって。

エリーにはピッタリだと思うんだ」

俺よりずっと長生きだから、と頬を掻くイオルの顔が 少し切なそうでなんとも言えない気持ちになる。


こんな時なんて慰めるのがいいのか、と悩んでいる内にイオルは復活したらしい。

「それよりさ、今日は久々にあの花畑に行きたい」

いいよ、と答えるより先にイオルはこちらの手を引いて歩き出した。

最近は歩幅にもはっきりと差が出てきて、イオルが早歩きをしたらこっちは小走りだ。

(大きくなったなぁ…)

年の離れた親族が成長を見守るような気持ちでイオルの成長を喜ぶ気持ちとこれ以上時間が進まなければいいと言う個人的なわがままが胸を占める。


《イオル》

「なに?」

《成人って何歳》

「15だよ、俺はあと1年」

そうなんだ、と返しながら道を歩く。

《成人したら、どこか行くの?》

「……んー…そうかもな」

珍しく歯切れの悪く顔を逸らしたイオルを疑問に思い、顔を覗き込むと、どこか陰鬱とした表情をしていた。

記憶を振り返っても殆ど笑顔しかないイオルには相当珍しい顔だった。

《どうしたの?》

「まあ、そのうち言うよ」

さあ、花畑着いた!と空気を切り替えるようにイオルは手を引いたまま走り出した。

(あ、転けっ___)

「っと、ごめん…うぁ……いててて……ごめんエリー大丈夫?」

速度についていけず躓いて転けかけたところでイオルが受け止めてくれたがイオルもバランスを崩してそのまま2人とも地面に転がった。

《ばか》

「申し訳ございませんでしたーー!」

体格差を考えてよね、とイオルに言いながら起き上がる。


《イオル》

「ん?」

《……なんでもない》


イオルには今まで沢山の事を教えてもらった。

そろそろここには来てはいけないと、

(…そう伝えたいのに今日もまだ、言えそうにない)

イオル曰く、この森は本来人が入ったら出られない森らしい。


何度も往復しているイオルはきっと異様だし、

出会ってからほぼ毎日ここにいるのも、絶対に良くないだろう。


そろそろイオルも成人なら、いい関係の人も出来てくるはず。

人間の寿命は短いのだからここで浪費はするべきでは無いだろう、そううっすらと考えた。


「エリー?どうかしたの?」

《イオルがおじさんになるのはあっとゆう間だなって》

「はあ!?ふざけんな!あと20年はあるから!」

そう怒りながらイオルも身を起こした。

それには何も返さず花畑の中心へ歩いた、ちょうどいっぱい咲いている所にイオルが転んだせいで萎れてしまったので使えそうもない。

あれは数日経たないと治らないだろう。


「何してんの?」


そう聞いてくるイオルに手元を見せる。

「懐かしー、花のかんむり、俺も作れるかな」

見様見真似でイオルも作り始めた。


「できたー!」

《下手くそね》

端々から茎がはみ出た不格好な花冠に小さく笑った。

《交換》

イオルが完成するより前に既に完成していた花冠を頭に乗せて、イオルの花冠を回収した。

「…おぁ…ありがとう、なんで交換?」

《なんとなく、さあ坊やはもう帰る時間》

しっし、と手を振って帰るように促す。

「はいはい…んじゃまた明日」

《も…》

笑顔のイオルに指文字を綴ろうと指を動かした。

「ん?なに?」

《…なんでもないよ》


もう来ないで。


それだけを伝えることが、どうしてこんなに難しいのだろう。

まだ、人としての心が自分に残っているからだろうか。

そんなことをまた考えながらイオルに手を振るのだった。

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