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獣王国:ガルネード

閲覧ありがとうございます!

予約指定忘れて投稿していたとは…

「…アンテルが教えない魔法ってなに?」

「隠密魔法だ」

アンテルは一通り教えてくれている、と思っていたが聞いた事のないそれに目を丸くする。

「隠密魔法…?」

「そうだ、過干渉で監視癖のあるアイツは絶対お前には教えないはずだぜ」

そうだろ?と意地の悪そうな顔で笑うスロウに笑いながら頷く。

「うん、初耳だよ」

過干渉で監視癖、とスロウの口から出る意外な言葉に同意し続きを促す。

「…アイツは俺が、…いや多分魔王様が思うよりも頭が良い、先読みとか得意でな。

何ても先のことを考え布石を打っているんだ、それに応じて至るところに監視を張り巡らしてある」

顎をさすりながら一度言葉を区切り、こちらに目を合わせる。

「もちろん年の功もあるが、それにしても底が知れない。

魔王様がそばに置いてるということはそれ相応に信用に足るやつだ。

…だがどうにも俺はアイツを信じきれねぇ。

アンテル相手に使うかはお前次第だが、自衛のためにも覚えて損はない」

スロウはそう話しながら自分の髪を解いて一本抜いて見せる。

その瞬間、空気の質が変わった様なそんな錯覚に陥りあたりを見渡すが景色に何の変化もない。

違和感を感じつつ目の前にいるスロウを見ると、違和感の正体に気づく。

「いるのに、いない?」

目には映っている、だがどうにもその存在は朧げで気を抜くと見失いそうになる、目の前で座っているにも関わらず、だ。

「もっと隠れることもできるが今日はこれを教えてやる」



「…うーん、原理を理解しようとすると失敗しそう」

アンテルは原理や仕組みを把握して発動させろ、と口酸っぱく教えられているからかスロウに一通り教えられたがうまく発動できずにいる。

それともう一つの問題がル―リャにはあった。

「あとこのままじゃハゲちゃうよ、髪の毛数十年経っても伸びないんだよ」

揃うとは肉体を流れる時間が違う種族としては相当大きな問題ではなかろうか。

一時の自由のために失われていく毛髪、果たしてそこまでして覚える必要のある魔法なのか、頭髪を天秤にかけ始め頭を抱える。

「ふはっ…何を言い出すかと思ったら…くくっ…別に髪は抜かなくていい、俺は魔力をここに込めてるから使うために抜いてる。

抜かなくてもできるが、この動作を魔法の発動に見せたほうが都合がいいのさ。

お前ならまた別の動作を決めて欺け」

髪を耳にかけるでもいい、抜くな、と笑いながら頭を撫でる。

「…初めから教えてよ…」

もう十本以上抜いたのに、とスロウを恨みがましく睨みながらもう一度魔法を試す。

「…ルーリャ、小難しく考えるな、ただ今俺の前からちょっと隠れたいと思ってみろ」

(隠れたい…ってどういう感じだ…)

透明人間になりたいみたいな感じだろうか、と思いながら魔力を空気に溶かすように循環させたところで急に腕を掴まれる。

「それ以上はだめだ」

目を開けると、やりすぎだと少し怒った顔のスロウが居た。

「アンテルがお前に原理やら小難しいものから教えた理由がわかった」

そう大きめのため息を零すスロウに謝りながらまた地面に座ると、「いいや」と否定する。

「加減がわからないんじゃ仕方ないさ、これから覚えればいい」

「…うん」

スロウはさぁもう一度やってみろ、といい急かしてきたのでさっきの考え方を変えてみることにする。

(…これなら、いいかも)

すぅ、と小さく息を吸って目を開くとスロウが面白そうな顔で見ていた。

「完璧じゃねぇか、さすが優等生だな。…感覚は掴めたか?」

それに頷いて返すとスロウはガシガシと頭を撫でてきた。

「…ありがとう、スロウ。

この魔法失敗したらどうなるの?」

「んー……あんまり失敗は見た事ねぇが、多分消えるんじゃないか?

さっきお前も消えかけてたからな」

「ええ!そんな危険なことやらせないでよ…」

なんてことの無いような雰囲気で言うスロウに怒るとスロウは面白そうに笑うだけだった。



時間は少し遡り。

アンテルはガルネードへ向かうべく準備をする為、スロウにルーリャを託し自室へ戻ったあと城内を歩き回っていた。

(結界の綻びがないようにしなくては)

変哲のない長い廊下から、中庭一帯、ルーリャ自室や行動圏内。

ほころびが無いかを確認して小さく笑みを浮かべたあと、スロウが何やらルーリャに話していることに気づく。

「…………」

妙なことを吹き込んでいるのでは無いかと神経を尖らせてその様子を確認しているとスロウがにやり、と笑ったのが見えた。

(……覗き見防止ってことでしょうか。スロウにはいつも驚かされますね…)

今度は結界を張られることを想定しないといけないと思いながらアンテルは小さく微笑む。

全てはルーリャの身の安全のため、その目的のためには手段は問わない、アンテルはそんな男だった。


「そろそろ向かいますか…ガルネードへ」

ふぅ、と小さく息をついてアンテルは立ち上がり出立の報告をする為にレグナードの元へ歩き出した。

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