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イブなのに小説を書いているーーストック不安症の年末

こんにちは。雨日です。


イブのお昼、いかがお過ごしでしょうか。


今日は休日。

休日?

イブ?


だから、何?


雨日の予定はひとつしかない。


小説を書く。


それに尽きる。


でも、生きていると、様々な雑用が絡んでくる。


◇ 年末、それはイベントが多い


クリスマスのイベント感は、もうほとんど回避できるようになった。


もう、着飾ってデートをすることない。


寒い中、夜景を見ない。


子どもが成長したから、サンタクロース役などしなくても良い。


これは「寂しい」ではなく「楽」


この感覚は若人には理解できないだろう。


けれど、子どもが成長しても避けられないものがある。


それは――忘年会。


雨日の住む地域は酒造りが盛んな土地で、美味しい地酒がたくさんある。


けれど雨日は、もう十五年以上、酒を口にしていない。


理由は単純だ。


飲むと、仕事ができない。


それだけ。


以前は、子育てと仕事、そして執筆のために飲まなかった。


今は違う。


今は――

小説を書きたいから、酒など飲んでいられない。


そんな感じだ。



◇ 忘年会を回避する


実際、雨日が運営しているお店では、忘年会をしない。


飲まないランチ会のみ。


働いてくれている従業員も、アルコールを飲まない人ばかり。


平和な職場。


――このように、飲み会を回避できる環境を必死に整えていたのに。


雨日は、うっかり地域の役員になってしまった。


地域の懇親会。


普段は硬い顔をしている市役所職員も、アルコールで顔を赤らめる。


そこは、完全なる「飲み文化」の世界。


あぁ。


年末で仕事が忙しいのに。


身を削りながら小説を書いているのに。


それでも、飲み会に参加するという現実。


ウーロン茶を飲みながら、2時間半近く過ごした。


シニアの話は、経験が豊富だ。


聞いているうちに、ふと、こう思う。


――あぁ、これは小説のネタになる。


もう、思考が小説になっている。


◇ 世界は広く、深く


そんな雨日は、側から見ると「もったいない人生」を歩んでいるらしい。


酒も飲まず、

休日は小説を書くばかり。


世界は狭まっているのではないか、と。


けれど、雨日はそうは思わない。


小説を書いている限り、世界は無限に広がる。


そして、その世界観は、

海溝のように、どこまでも深くなる。


それが楽しくて、仕方がない。


ただ――

雨日が小説を書いている姿は、楽しんでいるようには見えないらしい。


追い詰められているように。

必死な形相で。

呼吸を忘れるほどに。


ショッピングセンターで必死にキーボードを叩いていると、

知り合いに声をかけられることがある。


「何を書いているの?」


「いやぁ・・・ちょっと、小説をね」


そう言って微笑む雨日は、たぶん、世界のどこにもいない。


貝のように頑なに口を閉ざす。


ーー小説を書いているなんて、言えやしない。



◇ もっと肩の力を抜けよ


そんな雨日に、家族はよく進言する。


「もっと肩の力を抜いたら?」


――抜けるわけがない。


無理だよ。


そう答える雨日に、家族は少し間を置いて、こう質問してくる。


「雨日よ。小説のストック(下書き)は、今、何話ある?」


「35話」


「下書きの文字数は?」


「9万9千文字」


家族は、しばらく考えてから言った。


「じゃあ、もう良いじゃないか。

毎日更新しても、一か月以上、遊んで暮らせるだろう」


――よくない!


全く、油断できない!


年末で忙しいから、執筆ペースは落ちている。


そのうえ、ネチネチと一話が、やたら長くなっている。


だから、話数が増えないのだ。


雨日は、幽霊のお岩さんのように、心の中で唱える。


「三十五話しかない・・・どうするんだ・・・」


枚数を数えながら絶望するお岩さんの気持ち、

今なら、よくわかる。


「三十五話もある、だ!」


家族は吐き捨てるように言った。


――何を、ぬけぬけと。


「そんな気構えで小説を書いていたらね、いつか泣く羽目になるんだ!」


雨日は唾を飛ばしながら主張する。


「キリギリスみたいな生活をしてたら、下書きがゼロになって、泣くんだよ!」


中年の主張というやつだ。


「泣かない!!」


家族は、即座に言い切った。


なぜ、他人である家族が、

雨日が泣かないと断言できるのか。


疑問である。


「一度でも、ネタが底をついてから言え!!」


そう言われて、雨日は黙った。


ネタ切れになることは、ない。


――たぶん。


「いや・・・わからない。

もしかしたら、スランプに陥るかもしれない。

だから、ストックを書くんだ」


すると家族は、間髪入れずに断言した。


「スランプの人間はね、毎日更新なんてしない!」


そして、なぜか得意げに、自分を指差す。


「自分のように、五年間、

一話も更新しない人間がスランプというのだ。わかったか?」


血の叫びだった。


雨日は、黙るしかなかった。


五年間、第一話を改稿し続ける家族も異常。


そして、


「いつか泣く羽目になる」

「スランプになるかもしれない」


そう怯えながら、

ストックをどんどん積み上げていく雨日も、同じくらい異常なのだ。


◇2025年書いた文字数


だから――

今日も雨日は、イブだというのに、必死に小説を書いている。


このまま年末も、

仕事と小説の両立にヒーヒー言いながら、書くのだ。


正月は休みだ。


けれど、多分――いや、絶対に書く。


親戚の集まりの最中も、

頭の片隅では、小説のことを考えているだろう。


2025年は、狂ったように書いた。


数字で言うと、

2025年、雨日が書いた文字数は161万5千文字。


参考までに言うと、

2024年は、2か月で17万7千文字。


比べるまでもない。


どう考えても、狂っている。


2026年は、

知人にも「小説を書いている」と、公表してみようと思っている。


ここまで書いていると、

気軽に「読んで」とは、なかなか言えないけれど。


重い。


小説って重いよね。


漫画なら言える。


「読んで」って。


でも、小説、それも178万文字のものを知人に紹介できない。


重すぎて。


それでも、言える機会があれば言おうと思う。


何のために書くのか。


正直、よくわからないまま、書いている。


それでも、

こんな粘着質な雨日のエッセイを読んでくれた皆さまに、感謝したい。


どうか、良いクリスマスを。



※後日談


掲載後、家族にこう言われた。


「毎回、味付けを変えて、

似たようなことを書いてない?」


・・・確かに。


小説と違って、

執筆系エッセイは、ネタが難しい。


書いていることは、だいたい同じ。

不安とか、執着とか、

書かずにいられない性分とか。


違うのは、

その日の温度と、言葉の選び方くらいだ。


次回は、その延長線上で――

**「エッセイの完結」**について書こうと思う。



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― 新着の感想 ―
イブの夜、サンタさん待機中です。 酒飲んだから眠いのに寝れない……。 因みに私が現在連載しているのはストック8話しかないです 連載開始時は30話ストックあったはずなのにおかしいな〜
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