<小説裏話>悪役とそっくりだと言われた作者の悲鳴
「雨日そっくり」と言われたキャラ。
おはようございます。雨日です。
自宅のそばを運転中、はるか先を猛ダッシュで走る人影を見た。
「すごいスピードだな」と思ったら――鹿だった。
今日は田舎自慢をしたいわけではない。
家族から「このキャラ、雨日そのもの」と言われた件について書く。
◇作者のかけらが滲むのがキャラクター
小説を書いている人ならば、「あるある」なのかもしれない。
作品に出てくるキャラクターは、書き手が意図してなくても、
作者の価値観や性格が滲み出るものかもしれない。
とはいえ、雨日の場合――主人公は書き手の自分とは程遠いタイプ。
気性が激しく、思ったことは口に出し、やたらと怒りっぽい。
感情の起伏が激しすぎる。
書いているこちらが「お前、いい加減にしろ!」と突っ込みたくなるほど。
実際、彼女が怒鳴り散らしたり、泣き出したりする場面では、
作者も周囲のキャラクターたちと一緒に、ほとほと疲れる。
そんな彼女を見ていると、
「よくぞこの相手と向き合っているな」と思うことがある。
彼女の扱える相手役には、思わず「君はすごいね」と肩に手を置きたくなる。
◇キャラクターがうるさい
小説を書き始めた時から、ずっと同じキャラクターたちと付き合っている。
彼女たちと過ごした文字数は、143万文字。
もはや粘着質の果てである。
このくらいの文字数になると、キャラクターたちが勝手に動き出す。
作者でも手に負えない時がある。
そして彼らは言う。
「このエピソードも書いてくれ」
「俺(私)には、こんな過去があるんだ」
ーーうるさい。
そんなのを全部書いていたら、軽く200万文字を超えてしまう。
だから、書くというのは“生み出す”作業であると同時に、
“切り捨てる”作業でもあると思っている。
・・・それでも、しつこく訴えてくるから、結局は短編で書いたりしているのだけれど。
そんな創作話をつらつら家族に話したら、
「それはおかしい。病院に行け。妄想だ」と言われた。
――そうなの?
また共感を得られないエッセイを書いた?
◇そっくりと言われた意外なキャラクター
こんなふうに、毎日小説を書いている。
雨日の小説を読んだ家族が、ふと指摘した。
「このキャラ、雨日に似てるね」
え! そうなの?
もしかして――主人公?
金髪碧眼の彼女に、雨日が似ているの?
容姿かな?(←違う)
思わず浮き足立つ。
そうか、書き続けると自分のキャラが滲み出るのかもしれない。
少しそわそわしている雨日に、家族が口にした名前は――まさかの「キヨ」。
小説を読んでいない方のために補足すると、キヨは良い人ではない。
むしろ、ほぼ悪役に近い存在だ。
46歳・男性。
頭髪は薄く、小柄で痩せ型。
歯は黄色く、歯槽膿漏気味。
富と力を持ち、妻以外に妾がたくさんいる。
明るく人懐っこいが、主人公である母と娘に異常な執着を持つ。
昔、憧れの女性に似た容姿をもつ少女(14歳!)を、異常なまでに狙っている。
46歳の中年が14歳の少女を狙う。
それが、今、雨日が書いている小説だ。
前作は34歳の主人公に59歳のお相手だった。
・・・だから、需要がないの?
話を戻そう。
◇ 悪役に似ていると言われた
――キヨ、どこが雨日なのだ。
金髪碧眼でもないけれど、髪の毛はある。
なのに家族曰く、
「キヨは雨日そっくり」だそうだ。
異常な執着と変態性。
それは雨日、そのもの――と。
・・・嫌だ。
◇ 似ていると言われても。
雨日にとって異常な執着は、小説なのかもしれない。
趣味ーーなのに打ち込みすぎる。
時間があれば、ずっと書いていたい。
キャラクターは、作者の一部でありながら、
時にまったく別の生き物のように動き出す。
今後、キヨは主人公が嫌がることを次から次へとしていく。
それを書きながら、雨日は思うだろう。
ーーあぁ。こいつに似ているのか。
せめて、容姿は彼に似ないように、頭髪だけは死守したい。
家族はまだ「キヨそっくり説」を撤回していない。
連載中の小説
**『秘密を抱えた政略結婚 ―血に刻まれた静かな復讐 禁断の恋が運命を変える―』**
https://ncode.syosetu.com/n9067la/
<連載中>
▼シリーズ本編
*『秘密を抱えた政略結婚 〜兄に逆らえず嫁いだ私と、無愛想な夫の城で始まる物語〜』**
https://ncode.syosetu.com/n2799jo/
<完結>
*『秘密を抱えた政略結婚2 〜娘を守るために、仕方なく妾持ちの領主に嫁ぎました〜』**
https://ncode.syosetu.com/n0514kj/
<完結>




