なろう一年生、まさかの150万文字。テンプレ外を書いた
勢いだけで始めた一年、気づけば居候150万文字生活
こんばんは、雨日です。
日曜日の夕方、いかがお過ごしですか。
この文章は、『秘密を抱えた政略結婚』シリーズを「小説家になろう」で執筆している、
ライトノベル未経験の作者・雨日の創作記録です。
今日は、なろうに滞在して一年。
その間に書いた文字数と、そこから見えてきたことを書こうと思う。
◇ ライトノベルを一冊も読まないまま、なろうデビューをした
昨年の今日、小説家になろうで執筆活動を始めた。
今思えば、かなり無謀だったと思う。
若くもないのに、「とりあえず始めてみよう」と勢いで飛び込んだ。
まるで結婚のようなノリだ。
勢いと無知がなければ、結婚は難しい。
これが雨日の持論である。
◇小説の書き方知らない
一人称? 三人称? 何それおいしいの? という状態。
人気作も読んだことがなく、右も左もわからないまま、目隠しされた猪のように突っ走った。
あとから冷静に振り返ると、「もっと下調べしろよ」と自分にツッコミを入れたくなる。
おしゃれに言えば“市場調査”だが、そんなものは皆無だった。
読者層も知らず、人気タグも調べず、テンプレの波にも乗らず。
海図も持たずに大海原へ飛び出したようなものだ。
ただ、頭の中にある物語を「書きたい」という気持ちだけで筆を握っていた。
「PVってなに?」
「ブクマってどうやって増えるの?」
首をかしげる毎日。
◇ この世に“テンプレ”があることを知る
なろうで執筆を始めて、半月ほど経った頃。
“テンプレ”という言葉を初めて知った。
――そうか。
こういうのが“受ける”のか。
読者に読まれるのか。
興味本位で、ランキング上位の作品をいくつか読んでみた。
・・・うん? 謎の単語が多い。
冒頭からいきなり盛り上がる展開に、ついていけない。
「ちょっと、わかんない」
首をひねった。
家族いわく、「ゲームをしていると楽しめる世界観」らしい。
なるほど、雨日はゲームをしたことがない。(本当)
だから、さっぱりわからなかった。
恋愛ジャンルの人気作も読んでみた。
たとえば「婚約破棄された令嬢が、王子を見返して幸せになる」ような展開。
いわゆる“テンプレ”という安心の王道。
数本読んで、ようやく気づいた。
「ああ、違う世界に足を踏み入れてしまったんだ」と。
いわゆる“場違い”というやつだ。
困った。
今さら引き返すこともできないし、このときは小説を書き切れる自信すらなかった。
だから、心の中でこう呟いた。
「わ、私でよろしければ・・・仲間に入れてください」
そんな気持ちで、肩身を狭くしながら片隅でこっそり書いていた。
◇ 居候生活で、狂気の執筆生活
この一年、毎日書き続けた。
もともと原稿やブログは二十年近く続けているので、「毎日書く」こと自体は苦ではない。
けれど――“なろう”での一年は、少し違った。
「居候なんですわ」「居心地が悪くて」と言いながら、
なぜか筆だけは止まらなかった。
先ほど、一年分の文字数をざっと計算してみた。
そして、息を呑んだ。
・・・おい、本当か?
三回計算しても結果は同じだった。
この一年で書いた文字数――150万9652文字。
(ちなみに、このエッセイの文字数は含んでいない。)
思わず、つぶやいた。
「こんなに書いたっけ?」
仕事の合間に小説を書き続ける雨日の姿は、我ながら狂気そのものだったと思う。
ある日、従業員にこう言われた。
「取り憑かれたような顔をしてましたよ」
・・・正直、図星だ。
(でも、経営者を煽てない素直すぎる従業員だと思う!)
◇ 文字数が多いだけ、失敗が多い
文字数が多いということは、失敗も多い。
最近の失敗は――短編だ。
ホラーなのか恋愛なのか、自分でもよく分からない作品を書いた。
ジャンルを「現代恋愛」にするか迷った末、最終的に「文芸・ホラー」に投稿。
その結果・・・PV20。
散々な数字である。
自分の中では気に入っていた。
霊感のある少女、オカルト好きの少年、そして血天井。
――もうマニアックの極み。
でも、きっと読者が求めていたのは、
“血”よりも“胸キュン”か“本気のホラー“だったのだろう。
◇ 文字数が多くて伝記化している連載
雨日の連載は、もはや伝記である。
1作目は約50万文字。
2作目は60万文字。
そして3作目は現在18万文字(下書き13万文字を含む)
書籍化の“黄金文字数”が8万~12万文字といわれる中、
どうしてこうなったのか。
その範囲で作品を完結させられる作家さんを、心から尊敬している。
雨日には到底できない芸当だ。
◇ 失敗の数だけ、得るものがある
「あぁ、今回も受けなかったな」
「文字数、長っ! 活字離れの時代に需要ある?」
そんな風にヒリヒリする失敗を何度も繰り返してきた。
けれど、失敗は本当の意味での“失敗”ではない。
挑戦したからこそ得た気づきがあり、そこに学びがある。
ーーそして、だいたい心がボロボロになる。
それでも、無料で読んでもらえる媒体だからこそ、
いろんなことを試せるのだと思う。
失敗するたびに、雨日はかつて実用書時代に担当した編集者の言葉を思い出す。
その編集者は、雨日の本と、手塚治虫の漫画全集(これは複数担当)を担当していた。
当時、雨日は「手塚治虫の作品は全部、神なのだ」と信じていた。
でも彼女は言った。
「ちょっと、わからない作品も数多くあるんですよ」
天才にも“試行錯誤”があるのだと、そのとき知った。
もちろん、雨日と手塚治虫を比べるつもりは毛頭ない。
けれど、たくさん失敗してもいい。
そのうちの一割でも、誰かの心に残るものを書けたら――
それでいいと思えるようになった。
◇ これから
この一年は、とにかく無我夢中だった。
気づけば毎日、書いて、悩んで、また書いて。
気がつくと、季節が巡った。
薄々感じている“テンプレ”の世界にも、いつか挑戦してみたいと思っている。
現代ものも書いてみたい。
でも、それはまだ先の話だ。
今の連載が終わらない限り、他の作品に手を出す余裕はない。
きっと、あと五年くらいこの生活を続けたら――
もう少し賢く、要領よく、書けるようになる・・・かもしれない。
だから読者の皆さま、
その間は、どうか“生ぬるい目”で雨日の成長を見守ってほしい。
正直なところ、自分ではこう思っている。
――多分、さらにマニアックになる。
小説の息抜きで書いているこのエッセイも、気づけば十一万文字を超えていた。
要領が悪くても、少し狂気をはらんでいても、これが雨日のペースなのだと思う。
これからも、そんな雨日のエッセイをどうぞよろしくお願いします。
では、また物語のどこかで。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
本文で触れた“自爆した短編”は、こちらです。
怖いもの見たさで、そっと覗いてみてください。
▶︎ ホラーなのか恋愛なのか、迷子の短編はこちら
『血天井の下で、君を見た』
https://ncode.syosetu.com/N6131KJ/
ちなみに――この短編で唯一ついたリアクションは「爆笑」マークでした。
・・・なぜ?(笑)
作者も未だにわかりません。
怖いのか、笑えるのか、雨日も迷子です。




