【小説は自分を映す鏡】作者が強情だから、ヒロインも強情?
ちょろいん、これって一般常識?
こんにちは。雨日です。
今日から三連休ですね。
雨日は仕事ですが、皆さん、いかがお過ごしですか?
このエッセイは、ライトノベル未経験の著者・雨日が「小説家になろう」で
物語(『秘密を抱えた政略結婚』シリーズ)を書き始めた記録です。
今日は、初めて知ったラノベ造語――「ちょろいん」について書く。
■ちょろいん 何それ?美味しいの?
ある日、突然、家族に言われた。
「雨日の小説、ちょろいんが一人もいない」
ちょろいん。
なんだ、それ。
年齢を重ねたせいだろうか、家族の滑舌が悪くなったのかと思った。
食後にむせるアレのことかと。
「ちょろいん?」
もう一度、聞き返す。
「知らないの?」
家族は目を見開いて言った。
「一般常識だよ」
――常識なのか?それは?
ようやく気づいた。
家族の滑舌が悪いのではない。
これは、ラノベ界の造語なのだと。
◼️ちょろいんとは
調べてみると、「ちょろいん」とはアニメ・ラノベ界隈で使われる俗語で、
もともとは「ちょろいヒロイン」を略した言葉らしい。
つまり――
⚫︎ ちょっとしたことで、すぐ惚れるヒロイン
主人公に優しくされる・助けられる・褒められる → すぐに恋心を持つ。
⚫︎ 惚れたらすぐにデレるヒロイン
恋愛感情を隠せず、すぐ赤面したり、行動に出たりする。
読者に「扱いやすい」と思わせてしまう。
◼️ちょろいん 便利!
男性読者の視点で見れば――ちょろいん最高だと思う。
胸が大きくて、明るくて、可愛いヒロインが、簡単に心を靡かせてくれる。
それだけで楽しいし、ワクワクする。
サクサクと恋が叶って、ウハウハ(←死語?)。
小説で「こうなったらいいな」と思う願望が、次々に叶っていく。
読者にとっては、読んでいて気分が良いに違いない。
そして書き手の視点でも、これは楽しいだろう。
自分の筆で理想が叶っていくし、ストーリーもテンポよく進む。
――ちょろいん、良いな。そう思った。
◼️ちょろいん不在の小説
家族は再び指摘してきた。
「雨日の小説は、誰もちょろいんがいない」
――確かに。
主人公は芯がありすぎる。
まずもって、ちょろくない。むしろ扱いづらいタイプだ。
そして彼女には三人の娘がいる。
一人だけ、頑張ればちょろいんっぽくなりそうな娘がいるけれど・・・
他の二人はどう見ても違う。
強情で、芯が強すぎる。
男性読者視点で見れば、可愛くないタイプなのかもしれない。
扱いづらいし、胸もない。
「ヒロインがアレだと男性受けが悪いなぁ」
そう思う。
・・・とはいえ、女性受けが良いかと考えると、これもまた悩ましい。
なぜなら、雨日は今朝、明るく朗らかな青年を殺してしまったのだ。
彼は良い人だった。それなのに死んでしまった。
残されたのは、老人と少年。
――これでは女性受けも悪そうだ。
◼️作者も強情
話を進めるために、ちょろいんを一人くらい投入して掻き回すのも良いかと思う。
書いてみようとしたけれど、全く筆が進まない。
少し触れ合っただけで、恋に落ちるなんて――あり得ない。
人間は、そんなにちょろくない。そう思ってしまう。
だからサクサク展開が進まない。
連載はいつの間にか、60万文字になってしまったのだ!
そして気づいた。
主人公も強情だが、脇を固める女性陣もまた癖がある。
小説は残酷だ。
書き手の性格を映す鏡だからだ。
雨日が癖強めだから、登場人物も皆、癖ありになってしまう。
ちょろいんを書きたければ、まず作者が素直でなくてはならない。
残念ながら、雨日は今後もちょろいんを書けない。
――そう気づかされた、家族との会話だった。
短編を2本書きました。
ヒロインのお相手も例によって、ちょろくない。
むっつりで屈折した癖強めの人物です。
家臣視点とむっつり視点――対になる二つの短編です。
まずは家臣オーエンの視点。
『家臣オーエン、魔女と呼ばれた妃に惑わされる』
https://ncode.syosetu.com/n4509la/
そして、むっつり領主グユウの視点。甘め
『寡黙な領主、初めて嫉妬した夜に妻を独り占めしたくなった』
https://ncode.syosetu.com/n0923lb/
二つあわせて読むと対比が楽しめます。
よければお好きな順でどうぞ。




