戦う理由
「・・・まず、この街にいるヘリクリサムについて教えてくれ」
海野と藁谷はホテルにつき海野の部屋で話していた。
「はい。僕も詳しくは知らないんですけど、子供の僕が細部まで知ってるレベルですし、そこまで規模は大きくないと思いますが、それでもある程度の規模はあると思います。また、この街で出回っている薬物は奴らが売りさばいているそうです」
「この街のにある奴の全部か・・・相当やばいな」
「はい。そして、ここのアジトの管理者の名前は朝原漠というそうです」
「朝原漠か・・・そいつの能力ってわかるか?」
「すいませんそこまでは流石に・・・」
「そうか・・・どこにいるかとかは?」
「それもわかりませんけど、噂によるとこの街の店の地下にいるとかいないとか・・・」
「それだけだと探すの大変だな」
能演町も治安が悪いとはいえ繁華街だ。店はたくさんある。流石にチェーン店にはないと思うがそれを抜いてももかなりの数がある。
「まぁ、片っ端から探すか」
「ですね・・・」
「まぁ、そのうち見つかるか」
「そうですね。・・・あの、海野さん」
「ん?どうした?」
「海野さんって、どうしてヘリクリサムを倒そうと思ったんですか?能力者にとっては、悪くはない話ではないんじゃないですか?」
「そうだな。確かに高校での生活は結構きつかったよ。でもさ、全員が全員悪い奴じゃないって知ってるからさ」
「そうなんですか?」
「ああ。中学の頃の同級生がそうなんだけど、僕が能力者だって知っても今までと変わらず接してくれたんだ。なんなら、他学年や先生にばれないように色々と助けてもらったよ。それで意外とどこでもそうじゃないかなとか思って高校で隠さずにいたら大変なことになったけど。でも、アイツらがいなけりゃ今の僕はいない。だから守りたいんだ。自分を犠牲にしても」
「そうなんですね」
「守りたいで言ったら、桑谷も守りたい人がいるんだろ?」
「あ、はいそうですね」
「ちょっとその話聞かせてよ」
「え?ちょっとそれは・・・」
ーうわ顔真っ赤だ。もうちょっと突っ込むか。
「え?どうした?あ、もしかしてそいつのこと好きなのか?」
「ちょ、そんなまさか・・・」
ーいや隠すの下手だな~もう顔から煙出てるぞ?このまま顔で焼肉できそうだわ
「え?どうなの?ねぇ?」
「もうやめてください!」
運命共同体
「ギャー!顔が熱い!やけどする―!」
「こんなんじゃ終わりませんよ?さっきあなたやかんでお湯あっためてましたよね?」
「そうだけど・・・は、まさか?」
「そのまさかですよ」
藁谷はやかんを持った
「や、やめろ!」
「いややめませんよ。どりゃー」
やかんのお湯を藁谷は自分にぶっかけた。
「ギャーーーーーーーーー」
「うわーーーーかけた本人も熱いの忘れてたーーーーーーー」
この後、ホテルの管理人にうるさいと怒られ、人が一人増えたからと料金を追加で払わされたのはまた別のお話である。
読んでくださりありがとうございました。本当はギャグ少なめの予定でしたが、後半に思い付きで入れてみました。面白かったですか?さて、本当はこの回で藁谷の過去を書こうと思ったのですが、普通にスピンオフ作れそうだったので書きませんでした。あと気が変わらなければ能演町編終了後に藁谷のスピンオフ書きます。お楽しみに。よろしければ、ブックマークや感想、お気に入り登録などお願いします。作品を書く励みになります。それではまた次回