結託と始まりの狼煙
「ちょっと待って一回整理させて。まず君、藁谷君はもともとヘリクリサムの一員で能力者だけどヘリクリサムから抜け出したと」
「はい」
「そして、この街はヘリクリサムのアジトの一つになっていてそれを何とかしようと」
「そうです」
「それって確定なの?」
「はい。僕が抜け出す前に唯一知っていたところです」
「あの、少し聞きたいんだけど、なんでヘリクリサム抜け出したの?」
「・・・僕の両親は、ヘリクリサムの科学者なんです」
「へ?あいつら科学者もいるの?」
「はい。なのでその流れで幼い時から入っていてエスカトロジーを隠しながら、陰で非能力者を見下して生きてきました」
藁谷は一度深呼吸をしてから続けた。
「でも、中学でどうしても見下せなくて、どうしても守りたい人ができたんです。最初は自分の未熟なところが出たのだと思ってました。でも、気づいたんです。これは僕がおかしいんだって。能力者のために非能力者を皆殺しにする。そんなのは間違っている。そう思ってこの前、家を抜け出して、ヘリクリサムを倒そうと思いました」
「そうか・・・あの、その守りたい人って誰?」
「クラスの女子です」
「そうか・・・」
ーこれ、恋ってやつや!あーあまずっぱ!いや自覚してるかどうかわからないけど絶対恋だって!
「あのーどうしました?」
ーはっ、しまったついにやけてしまった。藁谷君はまじめに話してるわけだしな。
「いや。何でもない。分かった力貸してやるよ」
「本当ですか?ありがとうございます」
「僕の名前は海野宅人。高校一年生の能力者だ」
「改めて、藁谷共助、中学二年生です。よろしくお願いします!」
「よろしく」
海野は手を出し、藁谷はその手を強く握った。
「じゃあ、僕が止まってるホテルで作戦会議でもするか」
「はい」
ここから、二人の能演町での戦いが始まる。
読んでくれてありがとうございます。藁谷の過去って結構設定ちゃんと作ってあるんですけど今のところそれを使う予定が少ししかないんですよね。個人的にも気に入ってるキャラなので外伝とか作るかもしれません。よろしければ、ブックマークや感想、お気に入り登録などお願いします。作品を書く励みになります。それではまた次回