一泊15万円のジュニアスイートに泊まった時のお話
いつも有り難うございます
よろしくお願いします
昔から途切れる事なく動物を飼っていて旅行はあまり行かないのだけれど、15年程前に動物がいない時期がありました。それまで飼っていた犬が16才でこの世を旅立ったから。
それでその動物がいない時、都内のホテルに泊まる旅。を、よくしていました。
旅行の楽しみの一つは非日常を味わう事だと思います。
「普段の生活の延長の都内に泊まって何が面白い?」
それがね、結構面白いんですよ。
普段味わえない世界。
それを充分満たしてくれる、都内のホテルでの「非日常」をお伝え出来ればと思います。
今はネットが普通ですが、その時私は買い物ついでに近所の旅行代理店で予約し、1人一万円ちょっと2人分の支払いを済ませました。
今回泊まるのは五つ星ホテルです。
家からホテルまでの移動は車です。
するするとホテルの地下駐車場に入ります。
狭いトンネルを抜け、開けた場所に出ました。
「すご…」
外車、外車、外車、外車…
高級車ばかり。
それだけではなく、ポル○ェや、フ○ラーリのレースカーまでズラリと並んでいます。
そこをちんまりと国産車が通ります。
「金持ち凄い。ホテルの地下駐車場を駐車場にしてる…」
ホテルの駐車場料金は、宿泊者でさえ一泊3000円払います。(日中は1時間1200円)
車高を低くし、空気抵抗を出来るだけなくしたようなレースカーがずらりと並び、丁寧にカバーまでかけられた車もありました。
「駐車場が水没したらえらい損害が出そう…」
そんな事を思いながらチマッと車を停めました。
エレベーターに乗り受付をします。
吹き抜けの天井、フロアに大きく飾られた季節の花、ふわふわの絨毯の上を歩きながら受付をします。
「…コロン様、本日ジュニアスイートのお部屋が空いております。ジュニアスイートは一泊15万円ですが、既にお支払い頂いた金額に一万円追加していただけるとお部屋をそちらに変更できますが…如何されますか?」
……えっ?
なんだって?
そんなテレビショッピングみたいな事言って。
「お願いします」
「かしこまりました」
こうして私はジュニアスイートに泊まる事になりました。
ジュニアスイートのフロアに行く専用のカードキーを渡されてエレベーターに乗ります。
私は旦那さんにコソコソと言います「フロントにあったプラモデル、ダサかったね。なんであんな所に置いちまったんだろうね」
フロントに、ポル○ェのレースカーの1/20くらいのプラモデルが飾ってあったんです。
置いたのはオーナーでしょうか。お得意様でしょうか。
とにかく「断れない人が置いた」のだと思いました。
お部屋に到着です。
お部屋を見てまわります。
部屋は二部屋あり、リビングと寝室です。
広いリビングには大きなテレビがあり、その前に大きなソファー、壁側にミニバーみたいのがあり、○スプレッソ飲み放題、お水も色々ありました。
ベッドは「雲の上の寝心地」…そのような謳い文句がありました。寝るのが楽しみです。
お風呂も広く、ジェットバスです。ガラス張りのシャワールームもあります。
特筆はトイレです。
2つあるトイレ。一つはバスルームにありますが、個室のトイレもありました。
トイレのドアを開けると、3畳程ある部屋の奥にポツっとあるトイレ。トイレの部屋です。ドアまで遠い。
「なんか落ち着かないね…」
無防備になるトイレ。狭いから安心感があるのだと思いました。
この後、ホテルを出て買い物をしたり、軽く夕食を食べたりしました。
ホテルに戻り「スイート」宿泊者専用の、クラブラウンジに向かいます。
ワインや、飲み物はフリーです。
ちょっとしたおつまみもあります。
私は窓側の席に座り、東京の夜景を…
夜景…
その夜はあいにくの天気。窓の外は雲に覆われ真っ白です。
全く夜景は見えません。
うん。さすが雲の上の眠りを提供するホテルだけある。
既に雲の上です。
私は赤ワインをサーブしてもらいました。
少し離れた席に若い女の子が一人で座っているのが見えます。
よく、物語で「綿菓子のような…」と、表現がありますが、まさに綿菓子のような女の子です。
そこへ50才前後であろう男性が来て…何やら話し…手を繋いで席を離れて行きました。
綿菓子…綿菓子じゃなかった。
しばらくして私と旦那さんは部屋に戻りました。
私はお風呂に入り、旦那さんはテレビを観ていました。
雲の上の寝心地を味わいたい私は、お風呂から出るとすぐにベッドへ。
部屋が二部屋あるので、旦那さんがテレビを観ていてもうるさくありません。
「おやすみなさ〜い」
私は眠りにつきました。
翌朝、目が覚めた私は旦那さんに問う。
「雲の上に寝た事ある?」
「ない」
「雲の上に寝たみたいだった?」
「わかんない」
「ね」
「例えが凄すぎてよくわからない」
非日常あるあるです。
お楽しみの朝食。
レストランに向かいます。
メインダイニングのレストランは広々とした空間で、テラス席が数席あります。
昨夜の雨のおかげで爽やかな朝です。
せっかくなので青空の下、テラス席で食べることにしました。
ブュッフェスタイルの朝食。
たくさんのパン、和食、麺類まで揃えてあります。
その場で作ってくれるふんわりした形の良いオムレツ。
新鮮な野菜と数種類のドレッシング。
カチャカチャとカトラリーが鳴る音を聞きながら、ゆっくりと朝食を頂きます。
食後のコーヒーは、スイート宿泊者専用のレストランで頂く事にしました。
メインダイニングが広々しているので、スイートのレストランはこぢんまりして見えます。
各席に新聞が置いてありました。
旦那さんがコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる間、私は私の分の新聞を一枚引き抜き、二か所小さな穴を開けました。
そして、顔の前に新聞をバサリと広げます。
「ねぇ、見て」
新聞を読んでいる様に見せて、穴から覗く。
アニメなどで見るアレをしてみました。
「…」
旦那さんの鈍い反応をスルーして、私はコーヒーをもらいに行きました。
戻って来て旦那さんを見ると、まだ新聞を読んでいます。
……よく見ると、新聞に穴が開いていて、旦那さんと目が合いました。
「ぶぶっ…くだらないっ!」
そろそろチェックアウトの時間です。
忘れ物がないか、ぐるりと見てから部屋を出ます。
近場でも遠くでも。
非日常は刺激があって楽しいですよね。
拙い文章、最後までお読み下さりありがとうございました。
いつもエッセイを書いていましたが、この度、春の推理2023に2作品と、推理ジャンルに1作品参加してみました。
エッセイ以外の物語は、その3作品が初めてになります。
お読み下さり良かったら感想を頂けると今後の参考になり嬉しいです。
下にサイトを貼っておきますので、お時間あればよろしくお願いします。