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秘密結社ヘモス会

作者: カサイサン

【ヘモス会】


 わたしはこの恐るべき秘密結社に所属していたことを告白しなければならない。


 この結社は、わたしの父とその弟である叔父が学生時代に作ったと聞いている。


 今からおよそ六十年前、最初は極々素朴な科学的好奇心から始まったらしい。


 父と叔父が通った高校は、化学部が部活動として存在しており、その実験で天井まで火柱をあげるような学校だ。

 そういった意味において、ヘモス会が結成される土壌は父と叔父にはあったようだ。


 この告白によって、わたしの身に危険が迫るかもしれないが、後世の人々の平和のために記録として残すことにする。


 前置きが長くなったが、ヘモス会の活動内容を報告する。


 ヘモス会の活動……。


 それは、体内で発生したメタンガスに火を近づけ、その炎色反応を見る、というものだ。


 分かりやすく説明すると、オナラを燃やすことである。


 そう、ヘモス会とは、【屁】を【燃やす】【会】。


 屁燃す会なのだ!


 ああ!なんと恐ろしい!


 一歩間違えば全身火だるまになりかねない、危険で、しかしどこか惹きつけられる甘美な実験。


 学生時代の父と叔父は、当時ニンニクや芋、根菜類などを食べ、半日から一日ほど体内で熟成。


 その後に、戸を閉めた物置の中でお尻を出し、放出口の前にライターの火を近づけたという。


 ボッ


 燃えた!


 その後も、ボボボッと連続して小さな火球が発生したようだ。


 続いて、叔父が床にうつ伏せで寝転がり、やはり尻を出す。


 ……念のために注意しておくが、父と叔父に衆道の気はない。はずである……。今でも仲は良いが。


 実験に戻る。

 うつ伏せた叔父の尻に火を近づける父。


 バフッ


 なんと!

 放出されたメタンガスは上ではなく叔父の尻の表面を這うように燃え広がり、叔父の産毛を焼き尽くしたのだ!


 危うく大火傷を負うところだったのだが、父と叔父は爆笑したというのだから、その豪胆さには感嘆するばかりである。


 そして、その危険で甘美な実験は次世代にも受け継がれてしまった。


 そう、筆者であるわたしと、今は亡き兄である。


 わたしたちが小学生の頃であっただろうか。

 当時見たマンガに似たような描写があり、ではやってみようということになったのだ。


 今思えば、馬鹿なことをしたと後悔する気持ちがないと言えば嘘になる。

 しかし、当時のわたしたちはその魅力から逃れることができなかった。


 父たちと同じくまずは準備から始まる。


 子供なのでニンニクは食べなかったが、さつま芋や根菜、あとは野沢菜、納豆などの発酵食品を摂取する。


 紙コップと食品ラップを持って父、兄と共に風呂へ。


 体を洗い、風呂につかる


 あとは屁を待つばかり。


 待つことしばし。


 ブコン


 来た!


 湯の中をゆらゆらと上昇する気泡を、逆さにした紙コップで受け止める。

 さらに同様のことを二、三回繰り返し、食品ラップで蓋をして準備は完了した。


 あとは燃やすだけ。


 全員、風呂を上がり、水気を拭いパジャマに着替えて、暗くした部屋に集まる。


 さすがに子供に火は使わせられないから、点火役は父だ。


 輪ゴムで封印したラップにライターの火を近づけ、爪楊枝でラップに穴を開けると……。


 ボシュゥ


 燃えた!


 一瞬だが、赤と茶が混ざったような、不思議な炎の色だったのを覚えている。


 火に炙られて、ラップが丸く溶けていた。


 当然、兄とわたしは大喜びだ。


 だが、当時のわたしたちはこの危険な実験が継承されてしまった意味を理解してはいなかった。


 今、わたしは悩んでいる。


 この結社をわたしの代で消滅させるか、それとも次世代に受け継ぐべきか……。


 週末には妹が甥を連れて泊まりにくるだろう。


 危険な実験に巻き込むべきか、それとも……。


ふと思い出したので、書いてみました。


父は基本的には真面目な人間ですが、こういう馬鹿らしいこともします。

兄ともども、可愛がってもらっていたんでしょうね。

(^_^)


今、甥っ子を捕まえて、くすぐり倒すのと同じく、自分と兄も父に捕まってくすぐり倒されてました。


そして、兄との思い出でもあります。

いやぁ、我ながら馬鹿だなぁー。

(*´∀`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ん? これ『コメディ』なんですか?『ノンフィクション』じゃないんですか?
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