約束
「絶対に…死ぬなよ」
アルセーヌのその一言は俺に深く響いた。
アルセーヌが真面目に俺に告げていた。
ただ、その一つが、俺の奥深くに届いた。
「当たり前だ。お前沢山、早めに呼んできてくれよ
お前が希望だからな。」
「任せておけ。」
アルセーヌは不敵に笑うと、剛翼をはためかせて
遙か遠くへと飛んでいった。
「さぁて……俺はどれ程実力があるのかな?」
掌を上空に突きだして、掌に魔力を集中させる。
少し冷や汗を掻いてきた。
寒気がしてしまう。
だが、やがてその寒さは無くなり、かえって暑くなってきていた。
「傲慢を極めし獄炎球」
轟々と轟く魔力によって生じた歪みがハイドラ共を
何処か知らない、死の空間へと連れて行く。
まだだ…もっと力をためろ…。
こんなもんじゃ無い!アルセーヌの
力はこれすら準備段階だ!!荒垣徹!いや…
テュルク・ラトリスファー!もっとだ!
掌には尋常では無い熱が篭もっている。
少し頭がくらくらとしてきた。
魔力の濃い場所にいると、息苦しく、その熱が肺を
焼くかのようだ。
もう少し、後…数秒間!
その刹那、六本程の極太な紫の死を含んだ巨大な
レーザーのようなものが通り過ぎた。
二つ程が、グォォォォンと音を鳴らしながら、しかも
放たれたのは地面からではなく、空中からだ。
その光線は、地面を6㍍程抉り、その上で爆発を
起こした。
「とことん面倒くさいな…不死身に近いし
火力はあるし、数も多い、減らない、食で世界の危機
堅い……。弱点なんてあるか?こいつに」
今思うと本当に化け物だ。これがRPGならば
所謂クソゲーの部類に入るぞ…これ。
ゲームで言えばLv1がラスボスに挑むような物だ。
それ程に絶望を感じる。
ゴウッ……シュルルルル……。
傲慢極めし獄炎球に
あの光線が吸い込まれていた。
なんだ?何が起きたんだ?だが…
「もっと撃ちまくれ!」
ハイドラ共の光線はどうやら傲慢極めし獄炎球に
魔力を吸い取られているようだ。
そのお陰か、大体、子熊一匹分相当の大きさに
成長した。
「そろそろかな…?
傲慢極めし獄炎球よ…彼の者に贖罪の炎を与える為…此処に処罰を執行する!振りおろせ!傲慢極めし獄炎球」
眼を今すぐにでもかなぐり捨てたい程の痛みに襲われたと錯覚する程のフラッシュが来た。
それはもの凄い速度を持ち、木々を揺らす程に勢いを
もって進んだ。
そしてその数秒後には、辺り一帯は焼け野原へと変貌
していた。
だが、地面へと着弾するその刹那、この世の物とは
思えない程の魔力の揺らぎがあった。
魔力?ナニソレ美味しいの状態の俺ですら分かる
その異常。何かヤバい筈だ。
やがて、土煙が晴れて、視界がクリアーになると同時に、叫び声が聞こえてきた。
「よくも、やったなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
このぉ!!眠りからぁ!!醒ましたなぁぁぁぁ!!!
この、人間風情がぁぁぁぁ!!!!!!!下等生物の癖にぃぃぃぃ!!!」
なんとも耳障りで気持ち悪いその声は、悲しさを
含んでいた。
「私はぁ!!帰るためにぃ!!!!!!!!!!
私はぁ!!!!!!」
帰るため?何を言っているんだ?コイツは。
それにどこから来たんだ?人間のようにみえるが、人間風情と言っていたり、下等生物と罵っている事から
人間であるとは思わない。
もしかしてだが……こいつハイドラじゃね?
でもなんでわざわざ?
「あの状態のぉ!!維持エネルギーも知らずにぃ!!
煩わしい攻撃を繰り返しおってぇ!!!」
要はエネルギー不足で形態変化って所か。
なんなんだ、こいつ…第二形態とかラスボスの定番
じゃん。和食の魚とご飯と味噌汁くらいに定番じゃん。
そんなくだらない事を考えていると、奴の雰囲気が
少し変わった。
「たすけて…私を…開放して……」
「ん?どうした?助けて欲しいのか?何処にいるんだ?」
そう問いかけても帰ってこない。此方からの呼びかけはシャットダウンしているのか?
「そんな必要はぁ!ないぃ!!!」
どうやら訳ありのようだな。
人形態は流石に俺は死ぬぞこれ…!




