異世界へ
『我が名はアルセーヌ、逢魔が時の大怪盗ぞ!
汝、名を名乗れ!』
それは不思議な響きだった。
不思議と吸い込まれるようなアルセーヌの声は、反響して、脳内に直接語りかけてくる物だった。
「荒垣・・・徹」
そうボソッと呟くとアルセーヌは嬉々として言葉を紡いだ。
『我、アルセーヌ、汝、荒垣徹、ここに今契約だ!
理と理を結ぶ契約の神よ、今ここに新たなる契約を結ぶ!』
アルセーヌは何かに祈りを捧げる構えで、ブツブツと何かを唱えていた。
そうして暫くすると、赤と白の光がアルセーヌと俺の周りを浮遊していた。
その謎の物体から眩い光が零れ始めた。
呆然としていると、脳内に何かの声が聞こえてきた
『貴方は強大過ぎるかの英雄、アルセーヌを制御出来るのか、その覚悟を聞かせて下さい。』
「え?アルセーヌってそんなに強いのか?」
俺がアルセーヌに呼びかけてもアルセーヌは何も反応しない、まるで時が止まっているみたいだ。
『えぇ彼の時間、いえ私たちの時間は今止まっています、彼に何を言っても時間が動き出さなければ、
貴方の声は届く事はありません。』
要はどんな気持ちなのか示せと。
「分かったよ。覚悟を言えばいいのだろう?ふぅ・・
俺、荒垣徹は彼アルセーヌに敬意を表し、共に異世界トレインで何があろうと抗う事を誓います!!」
あぁ、選手宣誓みたいになっちまった。
さて、これでどうだ?
『貴方の覚悟は何を根拠に示していますか?
本当に貴方は途中で投げだすことはありませんか?』
母親かよ!うーん・・・かなり難しいな、投げだすことは簡単だが、その後の事や他人を悲しませるような
事に発展する・・・根拠か・・・それは俺はトレインに行きたいから、アルセーヌに対して協力的な姿勢を取っているが、トレインに行ったら、その時はどうなる?
『貴方の覚悟はそんなに薄っぺらい物なんですか?
彼アルセーヌはそんな生半可な覚悟では、制御出来ませんよ?』
「・・・俺はアルセーヌと共に異世界トレインを旅してやるぜ!それくらいに俺はトレインに行きたい!」
『ふふ・・・久しぶりに自身の考えを堂々といえるニンゲンを見ました・・・いいでしょう、貴方をアルセーヌの契約者として認めます。』
パチンッ、と指を鳴らす音で時間が動き始めた。
『むん?何かあったのか?』
アルセーヌは不思議そうにしていたが、アルセーヌは何か気付いたらしく。
『ふむ・・・またか、あやつめ・・・迷惑な事を!』
え?あの変な声とアルセーヌって知り合いなのか?
だとしたらあの母親っぷりも理解出来なくも無いな。
『あんなのを我が母親呼ばわりするでないぞ!』
「あ、すまん」
『さて、もう契約は完了している、もう異世界トレインに行っていいだろう。』
ほう・・・?やったぜ。やっとトレインに行けるのか
楽しみだな。
『よし、ではここに入れそうすればトレインに行けるぞ。』
よっしゃーー!!!!