表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変われる拳!  作者: 澤田慶次
99/109

将士の挑戦!

やっと再開……

仕事は考えた方がいいな~……

甲斐が引退となったとはいえ、ボクシング界の熱は冷めていない。隆明はしっかりと日本バンダム級のチャンピオンとなり、3度の防衛の後にベルトを返上した。明らかに世界を狙うと言っている物である。

忘れてならないのが昇龍である。こちらもしっかりと勝ち星を重ね、気が付けば東洋太平洋のランカーとなっていた。バンダム級は最も熱い階級なのかもしれない。

しかし、ここの主役といったら将士と哲男だろう。直接対決した日本タイトルはドローであり、その後の歩みはお互いに日本にとどまらない。2人はしっかりと勝ち星を重ね、お互いに世界バンダム級のランカーとなっていた。


そんなある日、本日も将士は拳王ジムでしっかりと汗を流していた。

「おい、将士」

「何ですか?」

「お前、確か世界ランク……」

「一応、WBAが8位でWBCは7位ですよ」

「……IBFとWBOは?」

「両方とも10位」

「……確かにいよいよだな……」

「??喜多さん?」

「おう喜多、どした?」

「手塚、お前は本当に阿呆だな?」

「何だよ、喧嘩売ってんのか?」

「いや、お前は平和だと思ってな……」

「……将士、こいつ殴っていいか?」

「……お2人に任せます、僕は練習中なんで!」

将士はサンドバッグを叩き始めた。喜多は将士から少し離れて行く。手塚は喜多に付いて行く。

「……手塚、今の将士はどう思う?」

「……強いな……少なくとも、俺達が初めてベルト巻いた時よりはな」

「……そうなると……」

「この先……だよな……」

2人は顔を見合わせた。

将士が拳王ジムに来て、早8年の月日が流れていた。高校を卒業して上京し、毎日の練習に明け暮れて8年。確かに2人が認める強さになっているのかもしれない。

「どうしたの、2人共?」

「篠原さん……将士もいよいよかな~って思って……」

「哲男と試合して、そこからしっかりと成長した……今や、期待のボクサーですからね……哲男と並んでってのが気に入らねぇけど!」

「……並んでないよ。向こうのが、ランクは上だからね。でも、先に行かれてるとは思わないけどね」

「「納得!」」

「で、どうしたいの?」

「今が1番いい時なんじゃないかと思って……」

「あいつが目指す所へ……」

「……どうやら、同じ考えをしてる(やから)が居るみたいだね」

「「??」」

「川上ジムから試合の打診。どうやら、あっちも決着を着けたいらしい」

「「おう??」」

「これは……勝ってそのまま世界取りだな?」

「おう、勝って世界取って、万々歳だ!」

「気が早いな~……でも、世界前哨戦になるんだろうね」

どうやら、将士にビッグマッチの話が来ていた様である。この話を将士はすぐにOKした。将士も哲男との対戦を望んでいたのかもしれない。将士は自分の頬を強く叩き、気合いを入れてからロードワークに出た。


一方の川上ジムだが、

「おい哲男、中台との試合が決まったぞ」

「マジですか?」

「……嘘言って何になる?」

「よし!一気に駆け上がるぞ!ロード行って来ます!」

「……石谷、やる気満々だな?」

「いい傾向です。池本にも、見せてやりたいですよ」

「だな!」

川上会長と石谷トレーナー、哲男のやる気が嬉しいらしい。こちらも準備はしっかりとやりそうである。


将士と哲男は同じ時間にロードワークに出た。ならば、最もあり得る事が起こるのも納得である。

「将士」

「あれ?哲男君?」

「ロードか?」

「そっちもだね?」

「まぁ、将士をKOしなくちゃいけねぇしな!」

「あっはっは。哲男君は僕にKOされるんだよ!」

「俺が勝つんだよ!」

「勝つのは僕さ!」

2人はお互いの目を見詰める。

「手は抜かないよ」

「おう、手加減無用だ!」

2人は硬く握手をすると、そのまま別れて走って行った。気持ちも2人は、準備が出来た様である。


そこからの時間は早かった。これは、等の本人達にはもっと早く感じられていたのかもしれない。それだけ2人はやる事が有ると認識しており、お互いをしっかりと警戒している証拠である。だからこそ、お互いのセコンド陣はこの試合は取れると思っていた。


試合前日の計量日、将士と哲男は後楽園ホールの計量会場に居た。2人共に1発で計量をパスし、会見場に場所を移した。

記者から質問が飛ぶ。

「2人共、高校からの親友で日本タイトルで1度対戦してますが、今回の豊富を」

「まぁ、前回はドローでしたけど、今回はしっかりと決着は着けます。俺の華やかなKOでね」

「前回ドローとはいえ、僕には何も残らなかった。だから、今回は僕がしっかりと残します」

「俺にKOされる事をか?」

「馬鹿だな~、僕が哲男君を追い越すのさ!」

「ほう、俺を追い越せるのか?」

「訳無いね!」

「口だけ男め」

「哲男君程じゃないさ」

お互いの鋭い視線がぶつかる。

この状況に会見場は一気に静かになった。2人の戦いは既に始まっているのである。

フェイスオフの写真を撮られ、2人はそれぞれに自分のジムに戻って行った。

ジムに戻った2人、そのまま確認をする様に動き出した。軽くシャドーをし、シャドーが終わるとサンドバッグをゆっくりと叩く。いつもよりゆっくりと動いているのだが、2人の背中からは湯気の様な物が上がっている。細胞が明日の試合を待ちきれず、既に沸騰仕掛かっている感じである。

明日の試合、果たしてどんな結果となるのだろうか。

さぁ、遂に物語は終盤へ!

次の話はもう考えてあるんだけど……やっぱり仕事は考えないとな~……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これはある意味、拳人と昴みたいで面白いですね。 彼らほどではないにしろ、ライバル関係の対決は見ものです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ