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変われる拳!  作者: 澤田慶次
92/109

これからの夜……

試合の後で……

私は仕事の後で……引き継ぎが終わらない……仕事が多いんだって!私はそれをやってたの!私の給与から見直せっての!

試合が終わり、将士と哲男はそれぞれ控え室に戻る。シャワーを浴びてから着替え、それぞれ試合会場から出て来た。このタイミングが全く一緒で、出口で2人は鉢合わせとなる。

「よう」

「やぁ」

軽く挨拶をし、出口を出る2人。

「2人共、ご苦労様!」

将士と哲男の肩に腕を掛け、間から顔を出したのは隆明である。

「いい試合だったね!」

「……判定がおかしいんだよ!勝ったのは俺!」

「何言っちゃってくれてるの?僕の勝ちだったよ!」

「馬鹿なのか?俺のパンチが当たってただろ?」

「あのヘナチョコ?効かないよ!ダウン寸前だったじゃん?」

「お前のパンチこそヘナチョコだろ?お前はそろそろ仕留められてたの!」

「いやいや、僕のパンチで哲男君はKOだよ!」

「お〜お〜、口だけは一丁前になりやがって!」

「哲男君は、元々口が一丁前だもんね?」

「この野郎〜……」

「やるか〜……」

「ストップストップ!まぁ、今日の所は引き分けなんだしさ。決着は今度だね?」

「しょうがない。それまでせいぜい強くなってろよ」

「哲男君は、倒れない努力をしてね」

将士と哲男の視線がぶつかると、2人は笑い出してしまった。

「楽しかったよ。恐怖の倍くらいね」

「怖かったな〜…楽しさの半分くらい」

2人は改めて握手をした。その上に隆明が手を乗せた。

「僕も負けないよ!2人には負けない!」

「隆明はな〜……どっちかっていうと、敵だからな〜」

「どうして?」

「だってさ〜、元々高校も違うし〜…なぁ?」

「哲男君、少し酷いよ」

「だよね?哲男君は酷いよ!」

「そうか?」

「隆明君は、顔見知りだろ?少しだけ知った仲だよ!」

「……将士君も、物凄く酷いよ!」

「だってな〜……」

「ねぇ?」

「……2人共、悪い顔してるよ!全く!」

隆明は顔を赤くしている。それを見ている将士と哲男、顔は笑顔である。

「それから……もう1人付いて来ちゃって……」

「「??」」

「将士〜、ご苦労様!」

「アリサさん」

「これが有ったか……」

「将士〜、残念だったね?絶対勝ってたのに〜」

「え?あっうん……」

「相手、ボコボコだったのにね?」

「あ〜、そう……かな?」

「アリサ姉さん!」

「何?」

「ほら、こっち!」

哲男は頭を下げる。

「あら〜、顔がボコボコに〜……今日試合だったの?その顔だと、残念だったわね?」

「……隆明、本気で怒っていいか?」

「アリサ姉さん、将士君の対戦相手だよ!」

「そうなの?じゃあ、ジャッジのミスで勝った人?」

「おい!それは違うだろ?」

「アリサさん、ドローだよ。僕達は引き分け」

「アリサ姉さん、本当に辞めてよね。それより、2人は天川会長のお墓に行くの?」

「いや、行かないな。なぁ、将士?」

「そうだね。天川会長はきっと見てたよ。行くなら、もっと強くなってかな」

「そう、とりあえずは送るよ。2人はゆっくり休んでね」

「悪いな」

「ありがとう」

「将士は、その後も私が面倒見てあげる!」

「……アリサ姉さん、将士君に迷惑掛けないでよ」

「迷惑じゃないもん!」

「将士君、疲れてるんだから」

隆明とアリサは2人を送って行った。まだまだ、2人のボクシングはこれからの様である。

「将士〜、絶対追い付くからな〜……」

物陰から熱い視線を送る男が居た。昇龍である。こちらは気合いを入れ、走って帰って行った。


将士と哲男が去った後、喜多と手塚も会場を後にした。その後で篠原会長と石谷トレーナーが出て来る。川上会長は忘れ物との事で控え室に戻って行った。

「篠原さん、やられましたよ」

「こっちこそ、流石です」

「2人で何やってんすか?」

「池本?」

「池本君?」

「まあまあ、3人でゆっくり語り合いましょうよ?」

「別にいいけどさ〜、川上会長は?」

「流石に、置いて行く訳には……」

「川上会長は、天川会長に用事が有るんだって。ちなみに徳井は、感動の涙を流しながら帰りましたけどね」

「……確かに、天川会長と話が有るだろうな〜……」

「僕達は、先に帰る事にしますか?」

珍しい3人組で帰る事となった。


池本達3人は、途中の公園に寄る事にした。自販機でジュースを買い、ベンチに座った。

「なかなかな試合でしたね?」

「……勝てなかったけどね」

「しかし、負けてもいない」

「いや、石谷さん。チャンピオンは引き分けでも防衛だけど、チャレンジャーは何も手に入らない」

「そりゃあそうですけど、でも良かったとは……」

「まあまあ、結局の所はこれから何ですから。俺から見れば、確実に段階を経てる感じですよ」

「……確かに強くなってるけど」

「まだまだ先は長いと僕は思ってるよ。石谷さんもだろうけどね」

「先が長い方が楽しみが増えるじゃないですか?」

「池本らしい発言だな」

「確かにだけどね」

「それに……今日の2人はベルトは関係なかったんじゃないかな~……もっと大きな物を得てるだろうし……」

「だね。これからに期待だね」

「俺達のトレーナーとしての腕前が問われるな~……」

「石谷さん、顔、笑ってますよ」

「篠原さんこそ」

「楽しみは、これからも続くって事ですね。俺も、いいボクサーを育てないと」

「そうだお前、どんなボクサー育ててんだ?」

「僕も気になるな~」

「どんなって……強いボクサーですよ?」

「タイプは?」

「ガツガツと行くの?それとも、冷静に着実タイプ?」

「……ガツガツ来るのはちょっと……出来れば、優しくおしとやかな……」

「お前の女性のタイプに興味は無い!」

「絶対わざとやってるよね、池本君?」

「んな訳無いっすよ~、嫌だな~」

企んだ笑いを見せる池本。

「……祐子さんに言ってやろ!池本が浮気を考えてるって!」

「ちょ、何でそうなるんですか?」

「だってさ~、祐子さんとタイプ違うだろ?ねぇ、篠原さん?」

「そうですね。8割方やりますね!」

「いやいや、9割方固いでしょ!」

「辞めて下さいよ!祐子はその手の冗談通じないんですから!」

「我々は冗談等言わない!」

「池本君なら、確実にするね!」

「ちょっと~!」

楽しい話となっている。戦った者同士のセコンドとは思えない。しかし、これで分かった事が有る。まだまだ楽しくなりそうという事である。


川上会長はというと、試合が終わった会場で不思議な体験をしていた。何処かで、それは改めて伝える事になるかと思う。

物語は半分を越えた辺り……先は長い……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 次に向けて2人もそれを支える仲間も前進ですね! あれ、ボクシング馬鹿と芸能人はこの頃何をしているかですね。
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