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変われる拳!  作者: 澤田慶次
90/109

今有る物!

試合も後半!

最後に笑うのはどっちなのか?

……仕事、減らない……

7ラウンド……

リング中央で右拳を軽く合わせた2人、直様動きが活発化される。

将士はすぐに前に出て行き、哲男に向かって一直線である。

対する哲男だが、こちらはしっかりとサークリングし、将士と距離を取る様にボクシングをする。

2人のボクシングに対する気持ちも垣間見れる。

お互いに自分のスタイルを崩さない。更に言うなれば、今まで自分のやって来た事に間違いが無い事に自信を持っている。ここまでもつれた試合だと、多少の変化が有るのは致し方ない事なのだが、この2人にはそれがない。それだけ、自分のやって来た事と練習量に自信が有る現れである。

1ラウンドから飛ばして来た2人、試合後半となりいくらかではあるのだが、試合にも動きが見られて来た。2人のパンチが当たり出したのである。

疲れが出る後半戦、ダメージも有り反応速度が僅かだが遅れている。その分、相手のパンチを貰う事が増えている。お互いに、ここが正念場である。

ここで、試合までに作った気持ちが顔を出す。身体と共にどれだけ心を鍛えて来たのか、これがかなり大切である。

心が折れない事が、競った試合ではより必要になる。とある有名な格闘家は、

「心が折れなければ、本当の意味で負けではない」

との名言を残しているくらいである。スタミナも無くなって来ており、ダメージも蓄積されている今現在。どちらがどれだけ、自身を追い込んで来たのかが問われる試合となって来た。

我慢比べの様にもなって来た試合だが、2人は決して引く事はしない。パンチを貰おうと自身のファイトスタイルを貫き、しっかりと反撃をしている。お互いの頭が交互に弾かれるが、それでもすぐにやり返す。気持ちの面でも成長が見られる2人である。

将士が哲男の左ジャブを掻い潜った際にリングに落ちている汗で滑り、哲男とクリンチの様な状態になった所でゴングが鳴った。


赤コーナー……

「お前の進化が問われる。やらなければ、やられるだけだぞ?」

「勿論、やるのは俺です!」

しっかりと石谷トレーナーに答えた哲男。まだまだ、闘争心は萎えてはいない。


青コーナー……

「中台君、もっとコンパクトに!パンチに振り回されてるよ!」

「はい!」

「やる事、分かってる?」

「はい!哲男君をKOして来ます!」

「よし!」

「……篠原さんて、こんなに熱いの?」

「知らん!驚きしかないわ!」

嘉多と手塚、将士の頑張りよりも篠原会長の熱血ぶりに驚きの様である。


8ラウンド……

このラウンドも先程のラウンドと変わらない立ち上がりである。

将士は前に出て行き、哲男を追い掛ける。

哲男は将士を中心にサークリングし、将士と距離を取って試合を進める。ここに来て、膠着状態かと思われた。

しかし、すぐにそれは違うと分かる。

1分を過ぎた頃、この状態に動きが出る。明らかに哲男が将士に押し込まれて来ている。

ここで、篠原会長の有能さが見て取れる。問題は先程のインターバルである。篠原会長のアドバイス、[コンパクトなパンチ]がこの結果に繋がっている。

疲れが出て来ると、パンチは大振りになり易い。胸が開く為に、呼吸が楽なのである。実際、スタミナがなくなって来るとフック系のパンチが増えて来るのもこの原理である。

篠原会長は将士の練習量とその覚悟から、まだまだスタミナは尽きていないと確信していた。その上で、コンパクトにパンチを放つ事を指示する事で、将士のパンチの発射台である足がしっかりと地面を踏み締めている。選手を信用し最善の事が出来る様、少ない言葉で指示を出す。篠原会長ならではである。

発射台がしっかりしている将士、対している哲男には破壊力もプラスされて厄介である。しっかり踏ん張っている為、先程のラウンドよりも哲男には強く感じられている。その上、コンパクトに放っているパンチは返しが早い。哲男は試合終盤に、かなり厄介な事になっている。

哲男が困れば、将士には有利である。次から次へと攻撃を仕掛け、哲男を追い掛けて行く。

次々に攻撃を仕掛ける将士に対し、哲男は左斜めに沈む様にパンチをかわした。次の瞬間、哲男はスリークォーターからアッパーを放つ。スマッシュである。将士の必殺ブローを哲男が放った。

一瞬の驚きはあったが、将士はこれをしっかりとガードした。それでも将士は2・3歩後退する。破壊力は伺える。

距離が開くと哲男はバックステップをする。将士が追い掛け様とすると、哲男は大きく右足を前に出した。スイッチしサウスポースタイルから右のオーバーハンド気味のフックが繰り出される。

将士は一瞬戸惑う。その一瞬が将士の反応を遅らせる。何とか左ガードが間に合ったのだが、完璧にブロックとはいかない。将士は1・2歩後退する。

哲男はここぞと間合いを詰める。確かにチャンスではある。この時、将士にはトラブルが起きていた。先程のパンチをブロックしたのだが威力を吸収出来ないだけでなく、そのパンチはガード越しに将士の目に衝撃を与えていた。一瞬、将士は視界を奪われたのである。

次の瞬間、将士はガードを捨てて両拳を振り回した。近付いた者全てを薙ぎ倒す様な感じである。

この将士のパンチに力を感じた哲男、すぐに将士から離れた所でガングが鳴った。


赤コーナー……

「いい判断だが、流石にやるな?」

「はい、やりやがりますね」

「哲男、ここからだぞ?」

「分かってますよ、会長!」

哲男の心は折れていない。


青コーナー……

「最後は英断だったね。しかし、思った以上だね?」

「いや、想像通り!僕の知ってる哲男君は、これからです!」

「その表情でそれが言えれば、特に問題ないね。後は、ただやるだけね?」

「はい!」

「「……名伯楽……」」

「2人は仕事する!」

「「はい!」」

将士もこれからの様である。


熱い2人の戦い、残すは後2ラウンドである。果たして、どう決着が着くのだろうか。

篠原会長、かなり有能です!

モブキャラじゃないですからね!

私はモブキャラがいい……ちなみにですが、先週は部長と喧嘩しまして……今週、実は専務に呼び出しを……私は間違ってない!もう知らん!……って言えたらな〜……

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすが篠原会長! 西田とは違いますね、西田とは。。。
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