対決!将士vs哲男!!
すいません。仕事、本当に忙しくて……
読んで頂いている方、本当に申し訳ない……
とりあえず、ゆっくりと進めます……
試合当日、将士も哲男も試合が始まるかなり前に会場入りした。2人共に1人で会場入りである。会場入り口、2人は偶然にも出くわす事になった。2人共に無言で、どちらともなく右拳を突き出す。その拳が軽く触れると、2人の口元は少しだけ緩んだ。しかし、その口元はすぐに元に戻る。
「「勝負だ!」」
その一言だけ放つと、2人はそれぞれの控室に向かった。
将士……
控室に着くとすぐに着替え、椅子に座ってゆっくりとしている。
(……何だろう……辛い練習の筈なのに、笑いしか浮かんで来ないや……哲男君がいつも居て……天川会長、見てて下さいよ!)
将士は立ち上がると、ゆっくりと動き出した。その顔は引き締まっており、この試合に賭ける想いが分かる。やれるだけの事はやって来た様だ。
哲男……
控室に入ると、すぐに横になった。天井を見詰めながら、時折笑顔が溢れている。
(将士が居たから、俺はここに居る……辛い事も楽しかった……天川会長、勝って報告に行きますからね!)
哲男は立ち上がり、着替えるとゆっくりとアップし始めた。こちらも表情が締まっており、この試合に賭ける想いが伝わって来る。
((絶対勝つ!!))
試合が始まると、今夜は進みが早い。KOが多く、客は満足度が高いのではないだろうか。いつもより早く進む試合だが、将士も哲男もしっかりとアップしている。抜かりは無い様である。
それぞれの控室にそれぞれのトレーナーと会長が入るのだが、誰もがその表情を見て納得の様であり、何も声を掛けずに控室を出て行った。
遂に入場の合図が入った。このタイミングで各セカンド陣が控室に入る。それぞれ気合いの入った言葉を貰い、改めて気持ちを引き締めて花道へと向かう。本日のメインイベントである。
青コーナーサイドから将士が入場して来た。観客席に2度3度と頭を下げ、ゆっくりとリングに向かって歩いて来る。
リング前で将士は自分の右頬を強く叩くと、一気にリングインした。
続いて赤コーナーより哲男が入場して来る。軽く右手を上げ、観客席にアピールすると、こちらもゆっくりと花道を歩いて来る。リング前で哲男は、目を瞑って精神統一してからゆっくりとリングインした。
2人の紹介の後、一旦リング中央に歩み寄る。その時に目線を合わせる事はしない。目を合わせるとお互いに気持ちが抑えられなくなり、ゴングを待てないからである。
レフェリーから注意事項の説明が有り、2人が一旦コーナーに戻る。
「「将士、細かい事は無しだ!」」
将士は喜多と手塚の言葉に頷く。篠原会長はそんな3人を見守る。
「哲男、想いをぶつけて来い」
哲男は石谷トレーナーの言葉に頷く。川上会長は哲男の背中を軽く叩いた。
両セコンド陣がリングを降りる。
「カーン」
試合開始のゴングが鳴った。
1ラウンド……
将士と哲男はリング中央で左拳を軽くぶつけた。次の瞬間、将士はガードを上げて低い姿勢を取る。
一方の哲男だが、こちらはすぐに将士から離れて軽快な足取りを見せる。お互いに、自分の土俵で勝負をするつもりの様である。
先に手を出したのは哲男である。左ジャブを出し、左に回って行く。この左ジャブがいつも以上に切れている。勿論、スピードもいつも以上である。
対する将士だが、こちらはいつも以上にどっしりと構えている。ガードを高めに保ち、哲男のジャブをしっかりと防いでいる。
ゆっくり前に出る将士を哲男はスピードに乗って左ジャブを放ちながら、しっかりと距離を取り攻撃していく。哲男がこのままペースを握ると誰もが思った次の瞬間である。将士は哲男の左ジャブをヘッドスリッピングで避けた。避けたと同時に将士は、一気に哲男の懐に飛び込む。このスピードが今まで以上に速い。さっきまでゆっくり動いていた為、そのスピードが何倍にも速く感じた。そのまま将士は哲男に左ボディを当てるのだが、哲男は将士のパンチの打ち終わりに左フックを被せ、将士に一撃を喰らわせた。
一旦将士から距離を取る哲男、そのまま先程よりも速いスピードでサークリングを始める。どうやら、哲男の中で将士は最大級の警戒を払う相手だと認識した様だ。
対する将士だが、こちらもスピードを上げて哲男を追い掛ける。頭を振って狙いを定められない様にし、哲男のスピードに着いて行く。哲男のジャブを交わして自分からジャブを放ち、自分の距離にしようと徹底的に追い掛ける。
距離を置きたい哲男と距離を縮めたい将士、その2人の思惑が形となって現れている。哲男のパンチを掻い潜る将士、距離が詰まると将士のガードの上からパンチを叩き、すぐに距離を取る哲男。縮まったり離れたり、2人の距離はすぐに変わっていく。その上で、お互いのパンチは相手を捉える事も出て来ている。将士が当てれば哲男は返し、哲男が当てれば将士も返す。
「カーン」
1ラウンドは全く互角のまま、終了のゴングが鳴った。
ゴングが鳴った後リング中央で2〜3秒程睨み合った2人、そのままお互いのコーナーに戻って行った。
赤コーナー……
「なかなかやるな?」
「はい。確かにやります」
「……にやけてるぞ?」
「そりゃあ……分かってるでしょ、トレーナー」
石谷の言葉に口元を緩めた哲男、すぐに口元を締め直して将士に視線を向けた。
青コーナー……
「流石にやるな?」
「手応えありだな?」
「その通りですね」
「「にやけてるぞ?」」
「まぁ、そりゃあね……」
喜多と手塚の言葉に口元を緩めた将士。すぐに口元を締め直して哲男に視線を向ける。
将士と哲男の視線がぶつかる。2人共に視線を逸らさない。どうやら、戦いはまだまだヒートアップしそうである。
なるべく早く更新します……




