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変われる拳!  作者: 澤田慶次
83/109

始まるA級トーナメント!

将士の戦いが始まる……

試合当日、将士は喜多と共に会場入りした。今回の試合は珍しく、Sフライ級とバンダム級でのA級トーナメントの1回戦が組まれている。開催プロモーターは西田拳闘会であり、本日のメインは隆明のA級トーナメント1回戦である。

「俺の興行に入れてやるよ。良かったな手塚~!」

「俺にだけ、何なんすか?」

「だってよ~、篠原さんには頭上がんないし、容姿じゃ喜多とはいい勝負だろ?」

「おい、お前のKO負けだ!」

「俺は何なんすか?」

「見た目も財力も俺の勝ち!いうなれば下僕だな!」

「おい!そこの大馬鹿大将!今すぐに息の根を止めてやる!」

手塚は本気で西田会長の首を羽交い締めにした。少し経つと、西田会長が泡を吹き始めた。それを見た喜多と篠原会長、嫌々ながら手塚を止める。

こんなやり取りが有り、本日の試合となった。色々と複雑では有る。

「うちの馬鹿がすまん!」

徳井が拳王ジムに来て、頭を深々と下げたのは言うまでもない。


試合会場に入ると、将士はすぐに着替えた。着替えて軽くアップを始めると、すぐに隆明もやって来た。

「立ち止まれないね?」

「勿論!哲男君が待ってるからね!」

「俺は、この後に階級を上げるよ。将士君と哲男君の勝った方に挑戦する。Sフライ級の日本チャンピオンを手土産にね!」

「それは先だね。僕は、哲男君とやる権利をまずは勝ち取る事に専念する。どうせ、会場には来てるだろうしね」

「だろうね。お互い、気合い入れて行こう」

「うん、頑張ろう!」

2人は右拳を軽くぶつけ、それぞりれのアップへと移って行った。


試合は始まり、どんどんと進んで行く。喜多と手塚は将士と控え室に居る。

「そういえば、将士の試合の時は、そんなに時間が狂わねぇよな?」

「手塚も思ったか?そうなんだよ、運がいいよな?」

「どうしてですか?」

「逆算してアップするだろ?遅れると、なかなか調整が難しいんだ。手塚みたいな奴は、下手すると試合前にへばっちまう」

「おい、俺はそんなに馬鹿じゃないぞ!」

「肩で息して入場してた癖に」

「……お前、細かい所まで見てるな~……だから、女にモテねぇんだよ!」

「お前よりはマシだ!」

「将士~、こんな重箱の隅をつつく様なボクサーになるなよ」

「お前みたいな大雑把がいいとは限らん!」

「詰まるとこ、最高のパンチを打ち込めばいいんだよ!」

「そこまでの過程が大事なんだよ!分かる?頭が必要なの頭が!」

「やるか~?」

「やってやるよ!」

「辞めないか、馬鹿!」

篠原会長が勢いよくドアを開け、喜多と手塚を注意している。

「今日は中台君の試合!全く君達は……」

「だって、喜多の馬鹿が……」

「お前のが馬鹿だろ?」

「辞めなって!……中台君、今日は僕もセコンドに入るからね」

「ありがとうございます」

「この2人じゃね~……」

「そりゃないっすよ!」

「上手くやりますって!」

「……漫才なら、上手く出来るかもね」

「「篠原会長~……」」

「流石は篠原会長、納得の答え!」

本日の将士のセコンド、大丈夫の様である。


試合が進み、遂に将士の出番である。係員に声を掛けられ、将士は篠原会長·喜多·手塚と共にリングに向かった。

リングに上がった将士、軽く観客席に頭を下げたのだが、その際に客席に哲男の姿を見付けた。将士に気合いが入った。

リング中央でレフェリーより注意事項を受け、一旦各コーナーに別れた。

「中台君、気合い入ってるね?」

「はい。僕の大切な人が確認出来ましたから」

「アリサさん?」

「馬鹿だな手塚~、高田さんか片瀬さんだろ?年齢的にさ?」

「……中台君、この2人が馬鹿だって事は証明出来たね?」

「はい、充分です」

「「何故?」」

少しのやり取りの後、セコンド陣はリングを降りる。将士は堀藤の方に視線を向ける。堀藤の視線とぶつかる。

「カーン」

試合のゴングが鳴った。


1ラウンド…………

将士は左ジャブを放ちながら前に出て行く。頭を振り堀藤に的を絞られない様に、自分から攻撃を仕掛けていく。

対する堀藤だが、将士から距離を取って左ジャブを放つ。打ち合いはなるべく避け、徹底的にアウトボクシングに徹するつもりの様である。

追い掛ける将士、かわす堀藤。いつもの将士の試合と変わりはなさそうだが、違うのは堀藤の動きである。今までの相手より確実に切れが有る。なかなかのスピードであり、これこそ堀藤のスタイルである。

本来なら、このスピードで翻弄される事だろう。堀藤自身も、このスピードが有ればプロでやっていけると思っていたに違いない。確かに、普通ならこのスピードは凶悪な武器である。

問題なのは、対戦相手が将士である事である。将士の合宿でのスパーリングパートナーには喜多がおり、佐伯との経験も積んだ。ガンボアとの経験も有り、隆明とも一緒に合宿している。更に付け加えるなら、将士の目標である哲男もアウトボクサーである。ここで躓く訳にはいかない。

この追い掛けっこが暫く続くかと思われたが、1分30秒を過ぎた時、将士のパンチをかわした堀藤がコーナーに詰まった。将士に誘導されたのである。

次の瞬間、将士は一気にギアを上げた。ガードの上からでもお構い無しに、将士は堀藤にパンチを打ち付けていく。堀藤はガードするので手一杯になっている。

将士はパンチを頭に多く打ち、空いたボディに左を突き刺した。刹那、堀藤は右フックを放つのだが、将士はこれを頭下げながら右フックを被せた。

堀藤の頭が激しく跳ね上がり、前のめりに倒れる。

「ダウン!ニュートラルコーナー!」

レフェリーに言われ、将士はニュートラルコーナーに歩いて行く。レフェリーはカウントを始めるかと思ったが、両手を交差させて試合を止めた。

1ラウンド2分14秒、将士は見事にKOで勝利した。同時に、A級トーナメントの1回戦も突破である。

勝ち名乗りを受けた将士、哲男の方に右手を上げた。哲男は軽く右手を上げ、将士に返事をしていた。分かっているのは、当事者の2人と篠原会長だけである。後1つ将士が勝てば、この2人が激突する。

これからが大切!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 将士は順調に進んでますね。 それにしても、西田は相変わらずですね(笑)
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