いざ、A級トーナメントへ!
トーナメントもすぐそこ!
合宿が終わり、いつも練習が戻って来るとすぐに、A級トーナメントが始まる。将士も隆明も、このトーナメントを制する事が最初の課題である。
拳王ジムでは、本日も将士がしっかりと絞られている。
「強く打て!」
「倒せるパンチだ!」
「強く速く!」
喜多の激に応える様に、将士はしっかりとパンチを打ち込んでいく。ミットが終わればサンドバッグを打ち、将士は本日もボクシング一色である。
「……付け入る隙が無いわ……」
「金髪強面男は居るし……」
「エセイケメンは居るし……」
アリサと高田と片瀬、将士の練習を見ながら呟いていた。
そんな将士の練習終わり、1人の男が姿を現した。
「君が中台将士かい?」
「そうですけど?」
「そうか……今度の対戦、楽しみにしてる」
右手を出した男、反射的に将士は右手を出して握手をした。その男はジムに一礼し、拳王ジムから去って行った。
「将士、どうした?」
「いや、次の対戦相手だって……」
「堀藤恭平、大学でボクシングやってたが、物足りなくてプロに転向した男さ」
「うぇ?……強そうですね?」
「強いさ。少なくとも、楽勝なんて事はねぇな」
「……なかなかシビアですね?」
「顔がにやけてるぞ?」
「そりゃあ……強いボクサーとやるのは、有る意味麻○ですからね」
「……放送禁止な」
喜多と話す将士、目が輝いている。
練習は続き、減量へと移る。将士は慣れて来たとはいえ、それでも厳しい日々である。ボクサーなら通る、誰もが苦しむ時である。
「減量は、計量終われば食べられるし……まぁ、大変だけどそれだけかな?」
アリサに問われ、将士が答えた言葉である。将士はいじめに合っており、それは終わりが見えない。もしかしたら、将士にとってはそれは減量よりも辛い事だったのかもしれない。今の将士なら、きっと脱出出来るのだろうが、上手くいく事ばかりじゃない。改めて、いじめは考えるべき問題である。
それはさておき、将士の練習は厳しさを増して行く。試合に向けて、喜多も手塚も気合い充分である。もしかしたら、その先まで2人には見えていたのかもしれない。
将士、順調といった所だろうか。
こちらは西田拳闘会である。こちらでは、隆明が練習をしていた。
「弱い!」
「気合い入れろ!」
「休むな!」
徳井の激が飛んでいる。こちらも厳しい練習の様である。隆明はミット打ちが終わると、不満そうな顔をしながらサンドバッグを打っている。
練習が終わると、更に隆明はロードワークに出て行く。哲男の日本チャンピオン奪取と将士との合宿が隆明に気合いを入れている。
数日すると、こちらも減量となる。
こちらも厳しい連絡となり、きつい時期となって来る。
「将士君もやってるし、勝つのは俺だから」
隆明も精神的に強くなった。厳しい練習の最中、強い言葉をしっかりと吐いている。こちらもしっかりと練習が出来ている様である。
計量日となり、将士は手塚と会場入りした。会場に着くと、徳井と隆明が居た。
「お?どうした?」
「手塚、あれ」
徳井が指差した方に人が集まっている。
「??……何してんの?」
「堀藤の撮影だろ?」
「??……徳井さん、堀藤さんて有名なんですか?」
「将士君、知らないの?アマチュアのホープって言われてた人だよ」
「へ~、だからあんなに……」
「それだけじゃない。容姿が整ってて、女性受けがいいんだ」
「将士、容姿ならKO負けだな?」
「容姿が反則負けの手塚さんに言われても……」
「おい!俺の圧勝だろ?」
「手塚、残念ながら将士君の言う通り!お前は資格すら無い!」
「おい、徳井!」
「手塚さん、ざ~んね~んでした~!」
「隆明~……」
「騒がしいけど、大丈夫?」
ここに割って入って来たのは、アリサである。どうやら、将士に絡めない為にここに来たらしい。
アリサの声で記者達がこっちを振り向いた。勿論、堀藤も一緒に見ている。堀藤とアリサ、記者達はとてもいい1枚を思い付いた様である。
「アリサさ~ん、堀藤君と1枚!」
「お願いしま~す!」
「絶対嫌!将士以外はお断り!」
アリサは将士の右腕を掴み、将士の後ろに隠れた。しかも、舌まで出している。
「お?アリサさん一押しのボクサーと堀藤君の試合?面白い見出しだね!」
「これはいい!アリサさんを勝ち取るのはどっちか?……売れるぞ~!」
記者達は将士とアリサの写真を撮ると、急いで会場から出て行った。
「中台君、楽しみにしてるよ」
「僕も楽しみにしてます。明日、やれるだけやります」
言葉を交わした2人、そのまま計量に向かい、2人共に1発で計量をパスした。勿論、隆明もしっかりと計量をパスしている。
計量からの帰り、アリサを含めた5人は夕飯を食べる事にした。明日の試合の為に、将士も隆明もしっかりとエネルギーを取る必要が有る。
ここで問題なのは、何を食べるかである。消化が良くエネルギーを蓄える事の出来る食べ物。なかなか難しい事では有るのだが、徳井と手塚が付いている。問題は無いのだが、
「パスタ~?お肉にしようよ?」
「姉さん、試合の為の食事なんだよ……楽しい食事じゃないんだから……」
「清隆~、何が言いたいの?」
「別に~……ただ、将士君に勝って欲しいなら、肉は後だね」
「……分かったわよ~……」
流石は徳井、アリサの扱いに慣れている。
食事を取り、将士も隆明も明日の試合に向けて準備完了である。明日、A級トーナメントの1回戦が始まる。
どうなる、トーナメント!




