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変われる拳!  作者: 澤田慶次
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合宿とその向こう!

合宿は続く!

練習が終わり、夕飯を食べた後に将士と隆明はロードワークに出掛ける。2人共に、少しでも強くなろうとしている様である。勿論、その光景は翌日も変わらない。朝のロードワークから2人は競り合う様に走り込みをする。

「おら、もっと速くだ!」

「遅えぞ!」

「着いて来れなかったら、朝食抜き!」

一緒に走っている喜多達、激励を飛ばしながら走っているのだが、顔に余裕がない。意地とプライドだけで、2人の前を走っている。2人の共同合宿、ここまでは成功の様である。


午前中の基礎トレーニングでも、2人は激しく競い合う。お互いに意識し、それこそもう1回、後1回をお互いに意識しながら続けて行く。実に身の有るトレーニングになっている。

午後のジムワークでも影響が出ている。スパーリングを中心とした練習だが、疲れ切っている筈の2人、それでもここぞという時に必ず気合いの入った1発を放っている。勿論、スパーリング全てで上手くはいかないのだが、それでも要所をしっかりと締めている。

特に元世界チャンピオン3人とのスパーリングは、気合い充分である。ガス欠になるのもお構い無しで、2人は最初からエンジン全開でスパーリングに望んでいる。勿論、それでどうにかなる相手ではないのだが、それでもこれからの覚悟が見て取れる。

夕食が終われば、将士と隆明はロードワークである。本当にボクシング浸けとなっている。


そんな合宿は続き、5日目に突入した。この合宿だが篠原会長が、

「下地を作るのは大切だよ」

との事で、1週間となっていた。丁度折り返しといった所である。

本日も前の4日間と変わらず進んでいたのだが、

「出張で~す!」

「お願いします」

午後のジムワークに佐伯と甲斐が表れた。どうやら、甲斐の試合が決まらず、将士と隆明を鍛えるつもりらしい。

「いや~、しょうがないから手を貸してやるよ!喜多に手塚、5万円な!」

「うるせぇ馬鹿!」

「テメエは帰れ!」

「死ね!」

西田会長まで現れ、喜多と手塚が怒るのは分かるのだが、何故か徳井が1番切れている。

「怒るなよ清隆~!俺達の仲だろ?」

「お前と仲良くなった覚えは無い!ベアナックルで思いっ切り殴るぞ?」

「怖いな~!甲斐、あいつやっちゃえよ!」

「……どうして池本さんは、こいつを買ってんですかね?」

「世界七不思議の1つだな?」

「馬鹿だな~、池本さんのギャグだよ!」

「……確かに有り得る」

「いっその事、甲斐が会長もやれよ」

「徳井さんがやればいいんじゃ……」

「嫌だよ!この馬鹿の後だぞ?」

「……みんな、それくらいにしなよ。西田君が珍しく落ち込んでるからさ」

西田会長、みんなから壮絶なダメ出しである。


実際のスパーリングとなるのだが、佐伯とのスパーリングでも将士と隆明は苦労しているが、甲斐とのスパーリングは全く違う物もなる。

甲斐は手塚と似ており、上手く手加減が出来ない。手加減しようとすると抜き過ぎてしまい、将士に手痛い1発を貰った事も有る。そこを踏まえて、甲斐は気持ちを引き締めていたのだが、それが今回は裏目である。

最初の餌食は隆明である。サウスポーからスイッチしての右アッパーをまともに喰らい、隆明はキャンバスに右膝を着く。以降も甲斐に防戦一方となり、実力の差を痛感していた。

将士はというと、こちらも甲斐に一方的に殴られている。時々将士もパンチを返すのだが、甲斐が不用意にパンチを貰う事はない。コーナーに詰められ、きつい1発を貰う事になる。その後にラッシュを貰い、ゴングに救われた将士であった。


甲斐が最後のスパーリングの2人、今日も悔しさを噛み締めながらのロードワークである。

「……参ったな~、もっとダウン取るつもりだったのに……」

「成長してるって事さ。なかなかの物だね」

「な~に格好付けてやがんだ?」

「お前等2人、怠けてんじゃねぇのか?」

「「有り得ないですよ!」」

「……会長が馬鹿だしね。芸能人被れとなんちゃってチャンピオンなんじゃねぇの?」

「「酷いっすよ、徳井さん!」」

「いや~、徳井君の言う事も一理有るね。のぼせてんじゃないの?」

「おうおう、池本さんなら許さねぇな!」

「ダメ出し決定!」

「馬鹿と一緒に、[チーム大馬鹿]を作らされるな!」

「有り得る有り得る。ムッツリで馬鹿、西田君より酷いんじゃないの?」

「「!?」」

「お~お~、俺のが上か?佐伯も甲斐も大した事無いな!顔も俺のが上だし、お前等どうする?」

「……拳人のせいで、酷い言われ様だ」

「阿呆、お前が腑抜けてるからだろ?」

「大体だな、この馬鹿より酷いって言われたんだぞ?」

「知ってるよ、このヌケサクだろ?」

「いや、このヌケサクより酷いは言い過ぎた」

「すまん、俺も反省してる」

「流石にそれは無いな!」

「うん。僕も口が過ぎたよ」

「あれ?事実でしょ?」

『無いわ馬鹿!』

ジムの中は、西田会長のせいで大変である。


一方のロードワーク中の2人。

「くそ、全然ダメだ!」

「世界チャンピオンかもしれないけど、このままじゃ納得いかない!」

「将士君、絶対リベンジだ!」

「勿論!絶対右ブローをぶち込んでやる!」

甲斐にリベンジをするべく、気合いを入れる2人である。

負けられない2人!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新年に相応しい鍛え上げですね! 拳人はまだまだなので、将士達と一緒に、それ以上に鍛えなければならないですね。
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