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変われる拳!  作者: 澤田慶次
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将士、A級トーナメントへ!

哲男に刺激!……を受けたかな?


哲男の試合が終わって間もなく、今度は将士の試合である。A級トーナメントが始まる事になり、日本ランカーとなった将士には出場資格が有る。勿論、将士自身は出場を望んでおり、喜多と手塚もそれを望んでいた。

「よし、トーナメント制覇して日本タイトルまで一直線だ!」

篠原会長の言葉に誰もが納得し、将士のA級トーナメント出場が決まった。

A級トーナメントだが、将士だけでなく隆明も出場する事となった。こちらはSフライ級となり、日本タイトルを取ったらバンダム級へと階級変更のつもりらしい。将士が熱くなる理由が次々と増えていく。

「中台君がトーナメント終わるまで、ちょっかい禁止!」

「破った人は、手塚と1日デートな!」

「篠原会長に喜多、それだと喜ばれないか?」

「……犯人面とのデートは……」

「我慢するしかないか……」

「……清隆にお願いしても……無理だろうな〜……」

「……何故にみんなでガッカリと?」

手塚の不敏さは、この際考えない事にしよう。


練習は特には変わらない。3月10日に試合となっただけで、ここからはいつもと変わらないのである。しかし、勝ち続けた結果が違う。チャンピオンカーニバルで日本タイトルに挑戦出来るのである。ちなみにだが、バンタン級は4人の出場となった。Sフライ級は8人、将士も隆明も頑張り所である。


11月末、篠原会長の提案で将士と隆明の合同合宿が行われた。場所は拳王ジムである。

「中台と隆明の合宿か〜……記者達呼んで、金が取れるな?」

西田会長の言葉に、

「馬鹿!お前にはそれしかねぇのか?死ね!!」

徳井は吐き捨てる様に言葉を発し、合宿を拳王ジムにお願いした。

「何だよ〜、可愛い冗談だろ?」

「可愛くねぇよ、このウスラ馬鹿!」

徳井、本当に西田会長が嫌いな様である。

「……馬鹿は死んでも……」

「喜多君、徳井君も分かってると思うよ」

「確かに分かってますけど……」

「徳井、馬鹿な会長持つと大変だな?」

「嬉しそうだな、手塚?」

「徳井、手塚は自分より馬鹿が居て嬉しいんだよ」

「あ〜、成る程!」

「納得するな!喜多、馬鹿とは何だ馬鹿とは?」

「手塚君、高速に対抗してマッハだもんね……西田2世にならないでね」

「篠原会長まで……」

総じて、手塚もそれ程頭は良くないらしい。

「何だと?」

……あくまでも、周りの評価だからね……


合宿が始まると、ロードワークから激しくなった。

将士と隆明がお互いを意識し、決して引こうとはしない。どんどんペースが上がり、2人共に激しい息遣いとなるが、それでも激しく競り合っている。きっと、哲男に刺激されて次は自分だと共に考えているだろう。悪くない光景である。

お互いに競るのは、ジムワークでも変わらない。シャドーボクシングから動きに気合いが入っており、サンドバッグを隣り合って打つ時になると一切手を抜かない。勿論、ミット打ちとなると更に激しくなる。篠原会長の狙い通りといった所だろうか。

ここまでが午前である。合宿が拳王ジムである。将士は合宿所に住んでいるし、隆明もそれ程遠くない。初日から午前中の練習が出来ている。こうなれば、午後の練習にも熱が入る。それこそ、肉体を精神が凌駕し始める。初日から、熱気が物凄い。

「さて、スパーリングでもしようか?」

篠原会長の言葉で、将士と隆明はスパーリングとなるのだが、2人が直接スパーリングをする訳ではなかった。拳王ジムの他のプロボクサー、喜多に手塚、徳井が相手をする。2人にとって、かなり身の有るスパーリングとなる。

普通にプロボクサー数人とのスパーリングでは、何人もの違うタイプのボクサーと戦う為、その都度勉強となる。練習で競い合った2人には、既に体力的にも厳しい状態の為に更に勉強となる事は多い。

そこに付け加え、喜多・手塚・徳井もスパーリングに加わる。元世界チャンピオンの3人、将士と隆明には手に余るパートナーである。

手塚との対戦では、将士はその戦い方その物が参考になる。インファイトを主戦場とする手塚のコンビネーションや頭の振り方、その1発1発のパンチの打ち方が将士には勉強になる。また、手塚は出し惜しみするタイプではない。その為に短いスパーリングでも思いの他、身に成る事は多かった。

隆明には逆であり、インファイターと戦う時の擬似体験として参考となっている。結局、2人は手塚にやられているのだが。

喜多との対戦は、今度は逆である。隆明は参考とし、将士はアウトボクサーとの対戦の為の勉強となっている。

問題は徳井とのスパーリングである。ヒットマンスタイルという独特の構えから、フリッカーというこれまた独特の軌道を持ったジャブを使いこなす徳井。左ジャブばかりに注意していると、徳井は遠慮なく右を使ってくる。将士と隆明には、かなり厄介である。そこに徳井の性格が相まって、更に厄介さを増している。

徳井は元々、攻撃的な性格ではない。だからといって、ボクシングに向いてないとは言えない。どんな時も冷静で、打開策をきっちりと見抜いていく。そして、その打開策をしっかりと実行する。この誠実な性格を表したかの様な徳井のボクシングスタイル、誰もが一目を置く筈である。

更に、徳井は意外にインファイトが上手い。器用に腕をたたんで、近い距離でも打ち負けしない。将士と隆明には、高い壁である。それでも、将士も隆明も徳井に向かって行く。2人も大分、ボクサーらしくなってきた。


スパーリングが終わる。

「いや〜……2人共、弱いね?菅原君に、大分差を付けられてるんじゃないの?」

「「……………………」」

「図星か?」

「情けないな〜……ボクシング辞めるか?」

「喜多さん、言い過ぎです!」

「そうだよ!将士君、ロード行こう!」

「うん、絶対見返してやるから!」

将士と隆明、悔しそうな顔をしながらジムを出て行った。

「3人共、少し言葉が過ぎるんじゃないの?」

「徳井〜、これくらいで凹む奴等なのか?」

「寧ろ、跳ねっ返りだろ?なら大丈夫さ」

「意外に、徳井君は心配性だね?」

「そりゃあ……会長があれですからね……」

「「「納得!!」」」

これからの将士と隆明の事は分からないが、西田会長が問題児なのは間違いないらしい。

将士と隆明、熱くなりそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか鍛えがいがありますね! 西田が油売りに来ている間に、あの馬鹿も更に鍛えてそうです。。
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