成長は1人だけではない!
将士に続け!
将士がガンボアに勝ち、見事に日本ランクに入った。ライセンスを更新し、日本ランク7位となった。これで、喜多と手塚の当初の予定通り、A級トーナメントに出場可能となる。
「おら、将士休むな!」
「手を出せ手を!死ぬ気で打って来い!」
喜多と手塚、指導にも力が入っている。
拳王ジムは、確かに賑わい出している。プロの選手も多く在籍しているが、チャンピオンを出せていない。将士の日本ランクイン、確かに喜多と手塚が力が入るのは、仕方がないのかもしれない。
当の将士だが、こちらは特に意識している様ではない。元々練習を怠る男ではない為、喜多と手塚の無理そうな激にも、必死で応えている。この素直さが将士の強さの1つだろう。
そんな熱い時、もっと熱くなる事が起きた。
「うお!?……哲男が日本タイトルマッチ……」
「何だと?どれどれ……喜多、先越されたな……」
インターネットで発表された日本バンダム級タイトルマッチ、チャンピオン 岡本順之助vs日本バンダム級3位 菅原哲男 となっている。
「将士!練習だ!ボヤボヤしやがって~!」
「サンド終わったら、ミットやるぞミット!しっかり着いて来い!」
喜多と手塚、いつも以上に気合いが入っている。哲男の日本タイトルマッチが余程悔しいのだろう。
「2人共、私情は挟まない様に!」
篠原会長、ナイスタイミングでの一言である。
ちなみにだが、哲男の日本タイトルマッチを知った将士だが、
「遂にですね!……よし、A級に勝って、哲男君と戦うぞ~!」
何とも、将士らしい発言である。
一方、その熱さの元凶とも取れる哲男だが、
「サンドバッグ後3ラウンド……気合いが足りなければ、5ラウンド追加な」
「……増えてますよ?」
「負けるつもりなら、俺は構わんが?」
「……やってやりますよ!」
石谷トレーナーの言葉で、哲男は剥きになって練習している。川上ジム、佐伯以来のタイトルマッチである。熱気が凄い。当然、哲男も気合いが入っているのだが、
「何だそれは?やる気ねぇなら帰れ!」
「負ける奴に、教えるつもりねぇからな!」
普通なら、哲男のやる気を褒めるのかもしれないが、石谷トレーナーは厳しい言葉を投げ掛ける。この辺、世界チャンピオンを育てて来たトレーナーだけ有り、慢心させない事も含めている様である。最も、石谷トレーナーには更にその先が見えているのかもしれない。
兎に角、哲男の練習は将士に劣らず厳しい物であった。
もう1人、熱くなってる男が居た。
「くそ!先越された!」
隆明は一心不乱にサンドバッグを叩いている。
「隆明、ミットやるぞ」
「はい!」
徳井の言葉に、更に気合いを入れてリングに上がる隆明。将士の日本ランクインと哲男の日本タイトルマッチ、かなり刺激になっている。徳井のミット目掛け、力強いパンチが打ち込まれていく。
「弱い!もっと腰入れろ!」
「速く速く速く!」
「打ち抜け!」
徳井の激も激しい。徳井も気合いが入っている様である。
「徳井、バジリスクカレー、どう思う?」
「来たな馬鹿!バジルカレーだろ?バジリスクだと、化物になるだろ?って言うか、練習中だ大馬鹿!」
「だってよ~、佐伯が顔出してお前が居ると、俺のやる事無くね?」
「無くね?じゃねぇよ、お前、会長だろ?」
「おう、会長だ!徳井、言葉遣いに気を付けろ!」
「馬鹿に馬鹿って言って何が悪い?お前、ただの馬鹿だろ?」
「言葉を選べよ~、悪口に聞こえるぞ?」
「悪口だ、この馬鹿!」
色々な意味で頭の暖かい西田会長である。
そんな哲男に、強力?な助っ人が表れた。
「哲男、今日からスパーリングパートナーやってやるよ!」
表れたのは夏雄である。夏雄、なんやかんやと哲男の力になりたい様である。共々同じジムであり、気にはなるらしい。勿論、将士の事も気にはしている。
「俺が手伝ってやるよ!俺がチャンピオンになった時、忘れて帰ってたけどな?俺って心広いな!」
嫌味も言いたかったみたいである。
「何だよ~、甲斐に負けた奴に用事ねぇよ~!」
「あれは判定ミスだ!」
「KOだったじゃん?」
「SCな!」
「同じだろ?」
「違うわ!レフェリーが止めんの早いんだよ!」
2人が揃うと、この状況になるのは変わり無しである。しかし、夏雄のパートナーは正直有難い。元々、夏雄はオールラウンダーである。全ての距離をそつなくこなし、隙がなかなか見当たらない。今回の哲男の相手に、スタイルが酷似している。その上で、夏雄の方がレベルが高い。この上ないスパーリングパートナーである。
早速、哲男は夏雄とスパーリングをする事になるのだが、このスパーリングが哲男には納得のいかない物となっていた。
夏雄は無理に打ち合わず、距離を取って哲男をコントロールしていく。当然、最初こそ哲男も左の差し合いで応戦するのだが、夏雄の経験値等が哲男を圧倒する。焦れて前に出れば、哲男はカウンター気味に夏雄のパンチを貰う。離れて迷えば、夏雄は構わず距離を縮める。哲男がやりたい事を、夏雄は先に先にやっていく。
「チキショー!こんな筈ねぇ!」
「弱ぇんだよ!気合い入れ直して来い!」
石谷トレーナーに指摘され、ロードワークに行く哲男。
「……悪いな。試合が終わったら、天川会長によろしく伝えてくれ」
「いやいや、ご自身で伝えたら?」
「……池本の件が有るし……天川会長、うるせぇんだよ」
「池本純也そっくり」
「似てねぇ!」
「……そうしときます……しかし、危なかった……哲男、強くなったっすね~!」
「まだまだ、満足されちゃ困るんだよ……ボッコボコにしてくれ」
「……やれるだけ、頑張りますよ」
どうやら、夏雄を呼んだのは石谷トレーナーである。こちらも、篠原会長に負けず劣らず有能である。
「くそ~!絶対にリベンジしてやる!」
夏雄へのリベンジに燃える哲男である。
哲男の挑戦!




