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変われる拳!  作者: 澤田慶次
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対策は身体に聞け!

ガンボア戦に向けて……

ガンボアとの試合が決まり、確かに将士の練習にも熱を帯びている。将士の集中力も大した物ではあるのだが、それでもアマチュア世界チャンピオンは伊達ではない。喜多と手塚は頭を悩めていた。

「う~ん……今のままじゃ……」

「分かる!……しかし、どうしたら……」

喜多と手塚は、本日も解答が見付からない様である。

そんな時、思わぬ来客が表れた。

「よう、元気か篠原?」

「川上会長、お久しぶりです」

「喜多に手塚、相変わらず湿気た面してんな?」

「失礼ですよ!」

「……池本さんをああした張本人だけ有るな……」

「おい、池は元々あんなだぞ!失礼な!」

川上会長が拳王ジムを訪ねて来た。ボクサーを育てる事は石谷トレーナーに任せる事が多くなり、川上会長は一ボクシングファンとして楽しんでいる様に見える。

「丁度良かった。川上会長、この2人と話をして下さい」

「??……どうしてだ?」

「池本君の最後の試合の時……多分それが、この2人には必要だからですよ」

「池の時?…近くに居ただろ?」

「ボクサーとしてですよ。トレーナーとしては、見てなかったんじゃないかな?」

「そうか、川上会長なら!」

「おう、すいません。教えて下さい!」

「……何を教えるんだ?話が見えんぞ?」

喜多と手塚、川上会長にアドバイスを貰う事にした。


喜多と手塚が貰うアドバイス、将士をどう育てるかではなく、どういう心構えで選手と接するかという物である。

「俺は……池の時しか分からないから、その時の事で話すぞ」

「はい、それが1番必要です」

「「お願いします!」」

「……そうだな~……池については、お前等は良く知ってるだろ?」

「「はい!」」

「一言で言うと、恐るべき頑固な男なんだよ。言った言葉は曲げねぇし、やると言ったら死んでもやる……まぁ、馬鹿なんだよな」

「口悪ッ!」

「流石川上会長!」

「あのな~……しかし、ホプキンスの時は池にも迷いが有った。実際、やるかどうかを躊躇してたしな……しかし、あの馬鹿は自分が壊れる事も省みずに挑戦する事を決めた。更に、石谷も馬鹿に感化されて、かなり馬鹿になりやがって……」

「……確かにボクシング馬鹿だ……」

「納得……」

「……石谷、怒るぞ?……しかしだ。2人が倒れるのも一緒にと挑戦してるのに、俺だけ何もしないという訳にはいかんだろ?……なら、俺も全てをこいつ等に賭ける事にした。倒れるなら3人の方がいい。辛さや痛みは、3等分すればいい。そう思ったら、余計な考えは無くなった。最悪、俺が全部被ればいいんだしな!」

「……成る程……」

「全てを被るか……」

「「ありがとうございます!」」

喜多と手塚はすぐに2人で、これからの将士の練習について相談を始めた。川上会長は篠原会長に言われ、会長室に入って行った。

「……参考になったのか?」

「はい、かなりなったみたいです」

「お前が話せば良かっただろ?」

「僕は……あの時は第三者でしたから……」

「それでも、近くで見てたしジムの事をやってくれてただろ?」

「それでも、川上会長の言葉程の重みは伝わりませんよ」

「……昔から思ってたんだが……」

「何ですか?」

「お前が1番、先々の事を見てるのかもな?」

「辞めて下さいよ。僕は、ただのボクシング好きです」

「それなら、俺のが上だな!……所で、篠原から見て、この先はどうなる?」

「この先ですか?……順調なら、きっと楽しくなりますね。ボクシング馬鹿がプロに復帰して、その馬鹿を作った張本人はアメリカで対抗するボクサーを育てて、その張本人を作った大元は、こうして他のジムに協力して……僕は楽しみが増えてしょうがない!」

「……篠原、俺はお前が育てたボクサーも楽しみなんだが?」

「楽しみにして下さい!あの2人だけじゃ、僕も寂しいですからね!」

篠原会長、何かを企んだ様な笑顔である。


将士がロードワークから帰って来た。

「将士!これからトレーニングするぞ!」

「黙って付いて来いよ!」

「……どんな……」

「いいから黙れ!」

「反論は無しだからな!」

喜多と手塚、強引に将士にトレーニングさせる事にした。

トレーニングといっても、それ程変わった物ではない。両手に重りを持たせた状態でのスクワットやスクーターを押しての坂道ダッシュ、ファイティングポーズからの左右に捻ってのロープタッチ等の基本的なトレーニングを余計な事が考えられないくらいにやっているだけである。将士はこのトレーニングだけで、既に体力の限界といった所だろうか。

「おい、何寝てんだよ!?」

「まだまだ練習が残ってんぞ!」

「……分かってますよ……」

もとい、将士はまだまだ、口答えする力は残っている。

このトレーニングだが、暦が10月になるまで続けられた。約1ヵ月間、将士は毎日フラフラである。

「中台君、大丈夫?」

「大丈夫ですよ……脳筋2人が、容赦ないだけです……」

「あ~……金髪脳筋は、本当に何も考えてなさそうだね?」

杉田店長の手塚の評価、以外に低い。手塚は何処に行っても、困った男の様である。

確かに将士は毎日大変ではあったのだが、このトレーニングをしっかりとやり切った。この1ヵ月、本当によく耐えたと褒めたい所である。

「将士、明日から3日間休みな!」

「え?どうして?」

「どうせまともに動けねぇだろ?しっかり休んで、戻ったらスパー中心だ」

「俺がしっかりと揉んでやる!」

「逆に揉まれるなよ、手塚」

「お前よりはマシだ!」

「……何で揉めるんですか?」

「中台君、とりあえずは休みね……この2人は放っておこう」

「……心配ですけど、分かりました」

将士はこの日から、3日間の休暇を貰う事になった。

休み明け、将士にどの様な変化が見られるのだろうか。

トレーナー達の覚悟も決まりました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに一番のダークホースは篠原会長な気がしてきました。拳王ジムではどんな選手が育つのか、楽しみですね。
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