表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変われる拳!  作者: 澤田慶次
65/109

次の試合の前に、新たな嵐がやって来る!

将士、まだまだ!

合宿も終わり、将士にはいつもの日常が戻っていた。朝のロードワークに始まり、バイトが終わるとジムワークとなる。次の試合に向けて、今は毎日精進である。

そんなある日、1通の手紙が拳王ジムに届いた。

「中台君、手紙」

「僕に?……誰だろ?」

「女じゃねぇの~?」

「このスケコマシ!」

「な~に~、将士浮気~?」

「違ッ……っていうか、誰とも付き合ってませんよ~!」

「そうそう、将士はこれから私の物になるんだから!」

「違うって、私のだよ~!」

「……ここは練習の場!やるなら終わってからにしてくれる?」

「おお!篠原会長が怒った!」

「あの仏の篠原会長が!」

「……喜多君に手塚君、2人は茶化さないの!」

ジムは相変わらず賑やかである。

将士は練習が終わると、その手紙を開けた。差出人の所には、何も書いて無かった。


中台将士


俺だ、昇龍だ。

9月10日にプロテストを受ける。

お前とやる為に、バンダム級でやる。

お前はテストを見に来い。そして、俺を意識しろ。

待ってるからな。


何とも、短い手紙である。

「あ~……昇龍ね~……プロテストか~……」

将士が呟くと、横から喜多の顔が出て来た。

「おお!明日の事じゃねぇか!プロテストか~、昇龍って誰?」

「香港映画で活躍してる、若手俳優ですよ!」

「何と!?……将士、どうしてそんな奴と知り合いに?」

将士が企んだ様な笑みを見せる。

「中台君、喜多君を担いじゃいけないよ」

「あれ?分かっちゃいました?」

「??……俺は騙されたの?」

「喜多~、将士に馬鹿にされるなよ~!」

「うるせぇ!お前は顔が怖いから、親近感がねぇんだよ!」

「お?やるか、騙され男?」

「やってやるよ、悪人面!」

「……進歩の無い2人だね……」

「篠原会長、とりあえず明日は見に行って来ます」

「いいけど、誰なの?」

「う~ん……知り合い……かな?」

将士は明日、昇龍のプロテストを見に行くらしい。


翌日、将士はバイトが終わると後楽園ホールに向かった。プロライセンスで中に入る。これから、プロテストのスパーリングが始まる所らしい。

「来たな、将士」

「やぁ!……調子は悪くないみたいだね?」

「おう、絶対に受かってやる!」

「……バンダム級なの?」

「勿論!お前とやるからな!」

「僕より強い人はいっぱい居るよ。でも……楽しみではあるけどね」

「とりあえず、ゆっくり見て行けよ」

昇龍は将士から離れ、アップに戻った。

昇龍は3組目、早い段階でスパーリングを行う。立ち上がりこそ少し硬さが見られたが、最初のジャブが当たると動きがスムーズになる。面白い様に昇龍のパンチが決まり、2ラウンドにはダウンも奪う。間違いさえなければ、合格というスパーリング内容だった。

スパーリングが終わると、昇龍は将士の所に来る。

「どうだった?」

「いいと思うよ。しっかり練習したんだね?」

「おう、お前に負けたくねぇからな!」

「……いつか、リングの上で会えるといいね?」

「ああ、必ずやろう!」

将士と昇龍、固い握手をした。

昇龍のスパーリングを見た後、将士はジムに戻って練習した。本日の将士、いつも以上に気合いが入っている。昇龍の事で、将士にも少なからず影響が出ている様である。


翌日、昇龍はテストに合格した。これで名実共にプロボクサーである。そしてこの日、将士のプロ3戦目が決まった。6戦3勝3敗のオーソドックスのボクサーであり、将士よりも4歳年上である。

「……これは、しっかりと勝たないとな?」

「誰が相手でも、しっかり勝ちますよ!」

「言うね~……だけど、その考えは命取りかもな?」

「どうして?」

「戦績が全てじゃない……16連敗してから、チャンピオンになった奴も居る。リングの上に、簡単な相手は居ない。軽はずみな言葉は避ける事さ」

「軽く言ったつもりは有りません!しっかり勝たないと、みんなに置いて行かれます!」

「……みんな?」

「哲男に隆明?」

「いや、他にも居ます。遅れを取る訳にはいかない!」

「……中台君の覚悟、なかなかいいね~!……喜多君に手塚君、君達も見習う様に!」

「「はい……頑張ります……」」

将士、決して軽口を叩いた訳ではなかった。ライバル達に、しっかりと刺激を受けている様である。


将士の試合は11月5日、約3ヵ月後である。ここから将士はボクシング一色になっていくのだが、それを許さない者達が居た。

「将士〜、何処か遊びに行こうよ〜!」

「私と行こう!」

「私と映画はどう?」

アリサを始め、片瀬と高田も将士と出掛け様としている。篠原会長的には、ボクシングウィーク前の気分転換にいいのではと思っているのだが、喜多と手塚はそうは思っていない。

「遊んでいる暇は無〜い!」

「目指す所はもっと先だ!目指さないなら、福島に帰れ!」

「勿論目指しますよ!遊びは何時でも出来るから、今は後回し!」

『え〜〜〜〜〜!』

一同からはブーイングだが、本気で将士は上を目指している。池本にも1発を入れたい所だろうが、喜多に追い付きたいというのが本音だろう。

「所で将士、お前は俺を目指してるよな?」

「手塚さんを?……どうして?」

「ほら、戦い方なんかクリソツだろ?」

「戦い方がクリリン?……僕、亀仙流じゃないですよ?」

「……わざと間違えてるよな?」

「技と閃きのレーパートリー?…何を言ってんですか?」

「……かわし方が池本さんみたいだ……絶対におちょくってる……」

最近、将士は大分慣れて来たと思う。あの手塚でさえ、適当にあしらっている。手塚は、確かに単純ではあるのだけれど……

ライバルは確実に育ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ライバルの存在は大事ですね! レジェンドも佐伯というライバルかつ大親友があってこそですからね。将士もこれからが楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ